ごめんね領主様。
それからの領主様の動きは早かった。すぐに情報収集を開始させて、私兵に指示を出し、反乱に組する人物のリストアップを済ませた。横にいたディエゴさんは武器や防具のセールストークをはじめていた。商魂たくましいっていうレベルじゃないと思う。
さて、ボクも行動に移らないと。とりあえずのところは――
「あ、ボクは帰ってもいいですか? ここにいてもお邪魔なだけしょうし」
帰らせてもらうことにした。
――――――
「師匠! 反乱だって! アタシの出番あるかな?」
「あー、多分あるけど落ち着こうラグ。まずは状況を確認しないといけない」
血気盛んなラグを落ち着かせて、集まったみんなと現状の確認をしようとする。あれ、ちょっと待てよ? ボクの生徒の中に所謂参謀役っていうのがいなく無いか……?
ラグは個人の技量と戦闘に関する知識については問題ないけどそれだけ、ルドは魔法の火力一点集中(勿論使える種類も飛び抜けているけど)、リーズは諜報担当、レイシアは財政担当、ユアンは内政全般……。これは権謀術数を張り巡らせるタイプの人間を探さないとダメだな……。
今はどうしようもないのでボクがそのポジションということにしておこう……。
「ラヘンさん、情報の方まとめてもらえました?」
「もちろんでございますよ、魔王様」
「その呼ばれ方はどうにも慣れませんね……。まあいいです、状況の説明を」
「現在、領主の次男、ミゲルがロイユ島を本拠地として領主に対しての反乱を起こしていますな。要求は一つで、自らを次の領主とさせることだそうです」
長男は人柄もいいし能力も高いから、自分が相続する可能性は限りなく低いもんな……。恐らく暗殺を企てていないのは、以前試みて上手くいかなかったからとかそんな感じかな?
「相手の戦力はどんな感じ?」
「はっ。どうやら反乱に賛成するものだけでなく傭兵を雇ったりもしているようで、およそ500人ほど軍勢がいるようですな。領主派が周囲の海域を封鎖しようとしていますが海賊の妨害でうまくいっていないようです。最悪海賊も向こう側の味方と考えたほうがよろしいかと」
「補給ができるんなら兵糧攻め出来ないじゃんー。やっぱ正面から斬り込むしかないよな!」
「……大火力魔法、発射?」
こらそこの二人、物騒なことを言い出さない。この二人が本気をだすと諸島から島が一つ消えかねないので本当にヒヤッとする。勘弁してくれ。育てたのはボクだけどさ。
そもそもとして、今回の目的は反乱軍の鎮圧ではないのだから島ごと消滅されたりしたら困るのだ。ボクだってこの半年間何もしていなかったわけではないのだから。というかそうと気づかれないように思考を誘導するのがどれだけ面倒だったことか。
「……アーカー先生、そろそろ今回どう動くか教えていただきいのですが。まだ確認事項があるのですか?」
規格外二人のことについて嘆息していたらレイシアに早く説明して欲しいと言外に示されてしまったので、さっさと話を進めることにする。
「ごめんね。それじゃあ今回の最終目標を発表するね。それは、このフルエンス諸島を我らが手中に収めることだよ」
あ、空気が固まった。気にしないで説明続行だな。
「勿論、段階は踏んで行くけどね。ただこの件が終わればフルエンス諸島は魔族の国になると思うよ。そのためにまずボクらがやることは、領主の次男ミゲルの反乱を成功させることだ」
皆一斉に怪訝な顔になる。そりゃ魔族区別派の反乱を助けるなんてボク達の立場を考えればメリットはないように思えるからね……。と、ユアンが気付いたようだ。
「なるほど、確かに領主のダリオ様は島の方々から大変人気がありますものね先生?」
「そういうこと。この諸島を手に入れるためには領主が邪魔になるけど、武力で追い出すんじゃ正当性が無いし、かといってボクが領主になるのは到底不可能。となれば追い出す正当性を作るしか無い」
「でもでも、ミゲルがいくらクズでも血統としては間違えてないと思うんだけどー。そこら辺どうなのせんせー?」
リーズもいいところに気づいてくれる。やはり情報収集を担当しているとこういう物の見方も身につくのかもしれないな。
「簡単な話さ。魔族が反発してアホな領主を追い出してしまえばいい。無論、領主になるのは魔族じゃなくて非区別派の人間だけどね」
「師匠、悪い顔してるぜ」
「悪いこと考えてるからね」
今の説明で全員が今回の大まかな動きを理解してくれたようだ。頭の回転が速い娘たちで本当に助かる。
「それじゃ、個別の仕事割振説明するからね。その後、反乱軍に挨拶しに行こうか」
それじゃ、状況開始と行きますか。
キリが悪いので短いです
5/10 誤字修正
5/12 誤字修正




