サブ話 神々の企み その2
『覚えてるっすか?あの日、えっと…モルディアが夜遅くなっても帰ってこなくて大騒ぎになった時のことっす!』
エルディアはジェミルの問いかけにすぐに応えた。
「もちろん覚えている!確かモルディアが18の時だな…」
『そうっす!結局アリエルスが見つけて解決したけど、実はもっと早くに見つけてたみたいで…』
アリエルスはずっと申し訳なさそうな顔をしながらジェミルの話を聞いている。
『アリエルスがモルディアを見つけたとき、あいつ泣いてたみたいで陰で様子を伺ってたらしいっす。んで、そん時独り言で【父さんは俺より下界の人間が大切なんだ…!】ってブツブツ言ってたみたいっす。』
その話を聞いてエルディアは驚いた顔をした。
「それってもしかして…」
『そうっす、嫉妬っす。あの日、エルディア様モルディアとの稽古を無しにして下界のダンジョンメンテナンスしてたじゃないっすか。』
「…あのできごとでモルディアが嫉妬か…」
エルディアは照れくさそうにポソッと言った。アリエルスは『エルディア様には秘密って約束してたんです〜!すみませ〜ん…』と慌てながら説明した。
その様子を全く気に停めることなく、ジェミルは話を続けた。
『そこで俺から提案なんすっけど、あいつ下界に落としませんか?』ジェミルはとても意地の悪い顔をしている。
少しの沈黙の後エルディアとタウロネスは声を揃えて言った。
「『えっ???』」
『それはどういうことだ?ジェミル?』
タウロネスの問いかけに自信満々にジェミルは作戦を説明し始めた。
『あいつは下界に興味が無いんじゃなくてただエルディア様に気にかけて貰えてる下界に嫉妬してるだけ。だから俺たちが下界に興味を持つように言ったって正直効果はないっす、嫉妬してるので。けど、下界に落としてしまったら興味うんぬん言ってられないんで強制的に学習させられるっすよ。』
ジェミルは親指を立てるとグッと前に突き出した。
『しかし、神は下界に降りられないぞ?』
タウロネスは首を傾げながら質問を投げかけた。
ジェミルはニコッと微笑むとまた自信満々に説明し始めた。
『それは俺たちみたいな神の話っすよ、でもあいつは特別っすから。』
タウロネスは〝はっ!〟とすると『面白い』と呟いた。まだ理解できないエルディアは2人に向かって助けを求めた。
「まてまて!俺にもわかるように説明してくれ〜!」
『もちろんっす!』
ジェミルの丁寧な説明を聞くエルディアの顔は徐々にキラキラと輝いていく。
「いい…良いぞ!ぜひやろうではないか!…っとなると、俺はその日までに下界に適したモルディアの体を作る必要があるな。」
『そうですね!あと、成功させるならモルディアに下界のある程度の知識をしっかり入れ込む必要がありそうですね…無知で行くには危険ですし。』
タウロネスがこれはまた大変だと頭を抱え始めたが、アリエルスが手を挙げて話し始めた。
『あ〜…それならわたしがモルディアさんに毎日声をかけま〜す!』
驚いたジェミルは『え、お前できんの?』っと素早く突っ込んだ。
『私も貢献します!秘密もまだ有効ですし、時には厳しくです!』
と拳にグッと力を入れて決意をした。
「はっはっはー!!面白くなってきたではないか!…正直可愛い息子を下界に落とすのには少し抵抗がある…だが!俺にも時間がない!この作戦で息子を、モルディアを優秀な神に仕上げようではないか!」
エルディアは少しだけ真剣な表情に変え、話続けた。
「期限までに息子の体を作るのには神聖力をそれなりに消費してしまう…皆には迷惑をかけるが協力してくれるか??」
『『『もちろんです!』っす!!』で〜す!』
3人は声を揃えて返事をすると他の神々にもこの話を伝えに走った。
こうして、モルディア更生計画が始まったのである。




