6.天界最強の俺、150歳になる その5
「ゴホッゴホッ…おい、だれだ!いきなり何なんだよ!ゴホッゴホッ」
モルディアは砂ぼこりを避けるように顔を両手で覆い、咳き込みながら問いかけた。
『はっはっはー!俺だ!久しいな!』
その声を聞いた途端、分かりやすくモルディアは落ち込んだ。
「げっ」
『なんだ息子よ、その反応は!元気にしておったか!』
「…あぁ、それなら今ちょうど体調を崩したところだ」
『なんだ元気そうではないか!良かった良かった!』
そう言って男はモルディアの頭をワシャワシャ撫でた。
〝チッ〟
「なんで親父がいるんだよ…」
なんと、天井から登場したのはモルディアの父、創造神アル=エルディアだった。エルディアは今年で3128歳。だが、その姿は全くその年齢を感じさせないものだった。また、彼は天界アストラエルで最も身長が
高くエルディアの1.5倍程だ。そして固く立派な筋肉をしている。近くで見るとものすごい迫力だった。
『なんで?そりゃもちろん、お前の150歳の誕生日を祝うために決まってよう!』
そう言ってエルディアはニコッと笑った。
少しの沈黙の後モルディアは作った笑顔になった。
「…親父は今忙しいんじゃなかったのか?もう誕生日なんて祝わなくていいから、早く戻った方がいいと思うんだ。」
モルディアは父の体をくるっと反対に向け、背中をバシバシ叩いて帰るように促したが全く動こうとしなかった。
『何を言うか!今日は150という節目の誕生日をもうすぐ迎えるお前を俺は祝いにきたんだ!プレゼントもちゃんとある!!』
「プ、プレゼント?」
『そうだ!!』
モルディアは顔を青くすると首を横に振って「いらない!いらない!」と叫んだ。
モルディアは今まで、誕生日の度に父からのプレゼントに悩まされてきた。趣味の悪い服に、お世辞にも上手いとは言えない父が書いたモルディアの似顔絵、練習不足すぎる歌、酷い時には驚かせようとしてモルディアを爆発させてことだってある…正直良い思い出の方が少なかった。
【今年のプレゼントも絶対ろくなもんじゃない!】
『なんだ?遠慮しているのか??』
「してないしてない!本当に大丈夫!」
『いやいや、遠慮するな!あと1時間でお前の誕生日になる!ちょうどぴったりにプレゼントをあげようと思っておったのだ!!』
モルディアは何度かこのやり取りをして察した【もう諦めるしかない】と
「…分かった、じゃあ今すぐ見せてくれ!!」
モルディアは諦めてプレゼントを受け取ることにした。しかしこの時、まさかこれが後に大変なことになるとは思いもしなかった…
プレゼントまで案内してくれている父の足が止まった。
【なんだ?ついたのか…?】
目の前にいる父の体が大きすぎるためか、モルディアには何も見えなかった。覗こうとして横から顔を出したが、それが見えた瞬間におどろいで駆け寄っていた。
「なんだこれ!!」
モルディアの目の前には宙に浮く黒い渦があった。
『ああ、これが父からのプレゼントだ!』
エルディアは手をパッと広げながら言った
「お、親父、プレゼントって言ってもこれはなんだ?」
少しの沈黙の後エルディアはニカッと笑うと自信満々に言った。
『それは秘密だ!』
「…は?秘密って…」
モルディアが続けて問いかけようとしたが鐘の音によって遮られた。
〝ぼーーーん、ぼーーーん〟
『お!お誕生日おめでとうエルディア!!そして…これからしばらくは自分の力で頑張るんだぞ!!』
「え、それはどういうことだ??」
エルディアその質問に答えることはなかった。それどころか、モルディアを抱えあげると渦の中に放り投げた。
「へ?」
モルディアは情けない声をあげ、そのまま吸収されていった。
「うわぁぁぁああああああ!!!」
モルディアは渦から這い出ようともがいたが渦はだんだん小さくなって言った。
「くそっ!!!ここから出せって!!」
渦の穴から見えるエルディアは満面の笑みでモルディアに手を振っている。
「こんの、クソ親父ぃいい!!!」
〝シュポンッ〟
ついに渦は完全に閉じきってしまった。
こうしてモルディアの150歳は最悪なスタートを迎えた。




