5.天界最強の俺、150歳になる その4
「おかしい…」
モルディアは腰を低くして壁にピッタリと背中を張り付かせながら辺りを警戒した。
最近はこのくらいの時間になるといつも笑顔でアリエルスが迎えに来ていた。しかしどうだろう、ここ3日間はアリエルスどころか十二神の誰からも授業を受けるように言われなかった。モルディアはこの突然の静寂に小さな恐怖を抱いていた。
「なぜ誰もこない…?やっぱり何か企んでるのか…?…いや、もしかしたらこの間で12日間やりきったからもう受けなくてもいいってことなのかもしれない…よな?」
ずっと怪しんでいたモルディアだが、僅かな希望が生まれた途端徐々に口角が上がっていった。
「…ふ、ふ、ふ、はーはっはー、…はーはっはっはー!やっとあの地獄のような時間から解放される!!」
モルディアは天に両手の拳を高く突き上げて、豪快に笑った。
「はーはっはー!!もう何にも邪魔されない!やっとまた自由を取り戻したんだ!!さいっこーじゃな…ぃ…。。。か?」
モルディアは豪快に開けていた口をポカンっと開けたまま拳をゆっくり降ろしていった。
ぽてぽて、ぽてぽて
「こ、この足音…い、嫌な予感がする…!」
モルディアは音のする方にゆっくり視線を移した。
「やっぱりだ…」
『は〜い、お久しぶりですよ〜。モルディアさ〜ん』
モルディアは声のする方に素早く体を向けると声を荒らげた。
「ア、アリエリス!!何の用だ!授業はもう終わっただろ!今更なんの用だ!!」
アリエルスは番犬のように吠えるモルディアを見て驚き何度か瞬きをしたが、すぐに笑顔になった。そして、手をぽふっと合わせると言った。
『今日は特別授業ですよ〜。この授業を受けてくだされば本当に終わりになります〜。本当にで〜す。』
モルディアはアリエリスをキッと睨んで言った。
「それは本当に本当なのか?」
『ほんとうにほんとうで〜す。』
「嘘じゃないだろうな?」
『は〜い、嘘じゃありません〜。』
「本当の本当だな?信じていいんだな?」
『ほんとうのほんとうで〜す。信じてください〜。』
少しの沈黙のあとモルディアは警戒していた姿勢を戻した。そして、アリエリスを信じて諦めて授業を受けることにした。
「分かった…受けるよ授業。…本当の本当のほんっと〜に最後だからな!」
アリエルスはモルディアの言葉に満面の笑みで答えた。
『は〜い。ほんとうのほんとうに最後の授業になりますよ〜。さいごの…』
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『では〜しばらくの間ここでお待ちくださいね〜。』
アリエルスはモルディアをいつもの席に座らせると足早にその場から離れた。
ぽてぽてぽてぽてっ
やがて足音は完全に聞こえなくなった。
「はぁ…なんなんだよ本当に…」
そうため息をつき机に突っ伏し初めてすぐの出来事だ。
ッドガァーン!!
「な、なんだ!!」
モルディアの目の前の天井が大きな音を立てて崩壊した。そして立ち上げる砂ぼこりの向こうには誰かの影が映っていた…。




