12.天界最強の俺、Eランクを目指す
「…その冒険者ランクA級ってのはどのぐらい強いんだ?」
『冒険者ランクはFからSSまであってだな…Aは上から3番目だな。』
「そんなに強かったのか?!」
『ハハハ!なーに、上には上がいるさ。』
ルークが戦ってるところをいままで見たことがなかったが…。
「今度是非手合わせしてくれ!」
目をキラキラさせながら身を乗り出して言った。ルークは少しびっくりしていたがすぐに笑顔になった。
『ああ!いつでも受けて立つ。…さぁ、筋力から調べるぞ!』
ルークは改めて冒険者カードを魔石の台座にある溝にカチッとはめ込むと魔石に浮き出てきた4つ選択肢の中から筋力の項目をタッチすると横にある測定器の前に立って拳をグッと握った。
《魔力を込めずに行ってください。魔力を検知すると再測定になります。…OK》
「何言ってるんだ?魔力を込めずって…魔力って魔素使う力のことだろ?」
『あーたしかにそうなんだが、魔力には魔素を使う行為としてでも使われるからちょっとややこしいよな。』
ルークはグッと握った拳の力を解いたこちらを向いたが、すぐにまたグッと力を込めた。
『…ふぅ…ふんっ!』
〝ドゴーン!〟ハーファンのところにまでルークの風圧が届いた。
「人間の割にすっげぇな…」
〝ピピピピピ…ピロン〟
魔石にはでかでかと数字が浮かび上がった。
《784》
『おっ!半年前より16上がってる!』
【784…それって凄いのか?】
ハーファンは魔石が置いてある机の側面のフックにかけてあった大きなカードを手に取って目を通した。
「…各ランク項目別目標値…」
見出しにはでかでかとそう書いてあり、下には測定での注意点がいくつか書き記されていた。
「裏面ランクアップ推奨値…まずはCを目指しましょう…か。」
カードを裏返して見るとそこには表が書いてあった。
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筋力 魔力量 瞬発力 体内魔素量
SS 1500~ 45000~ 65~ 15000~
S 1000~ 30000~ 50~ 10000~
A 700~ 24000~ 40~ 8000~
B 550~ 15000~ 35~ 5000~
C 400~ 10500~ 30~ 3500~
D 300~ 6000~ 25~ 2000~
E 200~ 4500~ 20~ 1500~
F なし なし なし なし
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「これってランクを上げるためには全部あげなければいけないってことなのか?」
『そうとも言えるし、そうでもないとも言える。』
ルークは冒険者カードを外してハーファンの元へやってきた。
『ランクアップするためには4つの項目の内2つがランク推奨値を超える必要がある。そして、それプラス1つ以上の項目で1ランク下の推奨値を超えている必要がある。つまりだな、最低でも3つの項目をバランス良く育てなきゃ行けないってわけだ。』
「これは優先順位を決める必要があるってことか…?」
『そうなるな…多くの者は体内魔素量はあまり力を入れないな。』
「それはなんでだ?」
『体内魔素量には成長するスピードが極端に遅くなる段階が来る。つまり成長の限界があるってことだな。』
「なるほどな…わかった。とりあえず、まず筋力の項目200以上を出せればいいんだな!」
『そういうことになるな。ガッハッハー!』
ハーファンは魔石の台座に冒険者カードをはめ込むと測定器の前に立った。
『ちなみに自分が自身のある筋力でいいから、足を使って測定してもいいんだぞ。過去には頭で頭突きしたやつもいた。』
「頭で…いや、俺も拳でいく。」
正直自信があった。天界でやった親父との稽古では風圧だけで木をなぎ倒したことだってあったからだ。
【もしかすると俺いきなりSSだなんてことも有り得るのか…?】
《魔力を込めずに行ってください。魔力を検知すると再測定になります。…OK》
「よし、…ふんっ!」
〝ピピピピピ…ピロン〟
「え?」
正直自信があったんだ。しかし目の前にある数字に絶望した。
《184》
「…184?」
『初めての測定にしては高いじゃないか!』
「ど、どこが高いんだ!」
『ん?なんで落ち込んでいる?普通、冒険者になりたてのやつは基本100が相場だぞ?そこから1年くらいかけて200まで鍛え上げるんだ。なりたてで180は凄いことだぞ?』
「でも俺は!」
【…そうか、俺は今人間だ。神と人間が同じなわけない。】
「今年中には200を超えてみせる。」
『今年中か…今は9月だからあと4ヶ月か!それは頑張らないとだな!ガッハッハー!』
「あぁ…」
ハーファンは手のひらを見つめるとグッと握った。
【この感覚は懐かしい…タウロネスに負け続けた80年間を思い出す。ワクワクしてきたぞ!!】
ハーファンはルークの方を向くと問いかけた。
「80年あったらどれくらい強くなれるんだ?」
ルークはその問いかけに笑いながらバシバシと背中を叩いた。
『80年?冗談言うなよ!だいたい現役で言ったらあと50年だろ?』
「50年?なんでそんなに短いんだ?」
『なんでって…70歳になったら個人差はあるが冒険者引退する人が多いんじゃないか?』
「引退?」
ハーファンは嫌な予感がした。
「ちょっと待て…さっきのおじいちゃんあの人は何歳だ?!」
『さっきのおじいちゃん…あぁローレンツのじいさんか!あの人は確か今年で87歳だったと思うぞ!』
「87歳?!おい、人間ってあのまま老けていったらどうなるんだ?」
『こんなこと言うのもあれだが…寿命がくるんじゃないか?』
「寿命?!…ってことは死ぬのか?」
『まぁ…そうなるな。』
「親父が言ってたこと冗談だと思ったけど本当だったんだ…」
『なんだ?お前の親父さんがなんか冗談言ったのか?…よく分からんが、次の測定始めても大丈夫か?』
「あ、あぁ…」
ルークはまた魔石の前に立つとカードを差し込み瞬発力を選択した。そして、右耳に何かを引っ掛けると角度を調節し始めた。
「それはなんだ?」
『これは測定器だな、ここを押して角度をこっちに合わせて…よし!準備完了だ。』
そういいながら魔石に表示されたスタートの文字に触れた。すると音がなり始めた。
〝ピピピピピ…スタート〟
ルークは視線を素早くあちこちに動かしているがハーファンは何が起こっているのか全く分からなかった。
〝ピコン〟
音が鳴ると魔石には数字が表示された。
《42》
「42!変化なしか…くっそ〜!」
『お、おい!何をやってたんだ?』
ルークは自分の耳につけていた測定器を外すとハーファンに手渡した。
「説明するからとりあえずそれを耳につけてスイッチを押してみろ。」
言われた通りに耳にかけ、横にあるポッチを起きた瞬間だった。赤色の光の線が前に向かって伸びていった。
「自分のみてる所とその光をピッタリ合わせるんだ。魔石の真ん中に黄色の小さな丸があるだろ?そこを見つめながらピッタリ合わせるのがおすすめだ。」
「黄色の丸…あぁ、あれか。」
ハーファンは丸を見つめながら光を移動させた。そしてピッタリ揃えた。
「できた!で、どうやって測定するんだ?」
『とりあえず数字を1から順番に見つければいい。ただそれだけだ。見つけたらその数字が消えるまで見る必要がある。まぁ、だいたい見た瞬間にすぐ消えるがな。』
「なるほど…」
『とりあえずやってみた方がいい。』
「分かった、やってみる!」
ハーファンはスタートの文字に触れると身構えた。
〝ピピピピピ…スタート〟
魔石に10近くの数字が浮かび上がっていて、ひとつ消えるとひとつ増える方式だった。また奥行きがあったり文字が小さかったり見つけずらくなっていた。
気がついたら《終了》の文字がでかでかと現れた。
〝ピコン〟
《24》
「24!…ってのはすごいのか?」
『おぉ!Dランクレベルだな!やるじゃねーか!』
「そ、そうか!」
ハーファンはカードを手に取ると瞬発力に印字された24という数字を誇らしげに見つめた。




