1.天界最強の俺、下界に落とされる
『うわぁああああああ!!』
そんな叫び声を上げながらひとりの男神が天界から下界へと降りて…いや、落ちてきた。
ドシャッ
「いってぇ〜…」
男は腰から落ちたのか痛むところをさすっていた。そして、自分の手を見て驚いた。
「…な、なんだこれ!この赤い液体はなんだ!!まさか…俺の身体から出てきているのか?!」
初めて血を見たようで、酷く驚いている。
男は手から腰に視線を移して傷の確認をすると共に違和感を感じた。そしてその方向に目をやると再び目を見開いて驚いた。
「ここはどこだ!!」
男は身体ごと捻りながら辺りを見回した。
「こんなとこしらねぇ!どういうことだ!」
ずっと周りをキョロキョロしている。
そこに
ヒュー ぽこんっ
「いてっ」
男の頭にひとつの丸められた紙が落ちて来た。
少しの間それを見つめていたが、男はそれを手に取って紐を解き、丸まったままの紙を恐る恐る広げた。
そして、そこに書かれた文章を読み始めた。
「なになに…?お前は下界を知らなすぎる…しばらくそこで生活しろ…だと!?…お前の今の肉体は…」
くるるっ
「うわっ!」
紙の端の文字を見ようとして端ギリギリを掴んでいたためか手を離してしまい、紙が丸まりながら地面を跳ねた。
「クソっ!」
男は紙を再び手に取り広げようとするが、なかなか上手く広げることができずついに足まで使って紙を広げた。
「…どこまで読んだっけ…肉体…肉体…あった!お前の今の肉体は下界に適応した私が作った特別製の肉体だ…??どういうことだ??」
男は困惑しながらも最後まで読むことにした。
「人間と同じ肉体な上、神聖力を身体に留めて簡単には使えないようになっている。お前は人としてその世界で生き延びよ。いずれ時が来たら天界に戻す…だと?!」
男は困惑していたのだろう。ぐしゃぐしゃに紙を丸めて地面に力強く放り投げた。
「なんなんだよ!ほんとに!!あのクソ親父の仕業なのは確定だ!あんヤロ…いたっ!!」
男は初めて感じる腰の痛みに顔を歪めてその場で座り込んだ。
「い、いてぇ…」
しばらくそのまま固まっていたところに
ヒュー バリンッ
また何かが降ってきた。
「いてぇー!冷めてぇー!今度はなんだ!」
そう言って下を見ると男の辺りの地面には粉々になったガラスが沢山落ちていて、少し地面が湿っていた。
ぽこんっ
「くそっ!またか」
頭を1度跳ねた筒状の紙を男は咄嗟に掴んだ。
そして、慣れた手つきで紙を広げた
「それは傷を癒すとっても貴重なものだ。大切に使え…って」
再び地面を見た男は叫んだ。
「もう粉々になってんだよ!」
そう言って紙を丸めて地面に投げつけた。
ふぅふぅと息を荒くしながらしばらく空を睨んだが、はっとした。
「…でもたしかに、痛みが無くなった。赤いベタベタはまだ残ってるけど。」
男は少しだけニコッと笑うとまた疲れた顔に戻った。
「はぁ」とため息をついたあと、空気をいっぱい吸ってから空を見上げた。
「ふざけんっじゃねぇー!クソ親父ー!!!」
周りの木々に止まっていた鳥たちがバサバサと羽を鳴らした。
この時から男、いやモルディアの下界での生活がはじまった。




