第二話 怖い人はやっぱり怖い
昨日のフードの男はネロアといい、この国に来る前は俺が知らないような所でスパイのような仕事をしてたそうだ。そこそこ活躍してたとか。
この国は一度戦争に巻き込まれて、多くの人間が土に帰った。
異能力なんてものは、見かけは良くても結局のところ人間の争いのきっかけになっている。事実だ。
今はヒーローが活躍しているから平和?
これは裏を返せば、ヒーローが居ないとダメなんだ。
異能力を使う犯罪者、異操者が増えている。
だから、犯罪率も上昇傾向にある。
こういう犯罪を抑止しているヒーロー、犯罪に用いられるのは異能力。
なら俺は、ヒーローとして悪い振る舞いをして
ヒーローの評価を下げながら、悪いやつを狩るしかないよな。
「それは、凄いことですね..」
結局俺はフードの男、ネロアがこの国では悪いことをしていないと知ったため、喋りながら家まで連れて帰ることにした。
こいつは、この国へ来たばっかりで住む場所もないらしい。
「ていうか、その強者みたいな話し方やめろよ?
怖いぜ?」
確かにと納得したような顔をして、話し方を変えた
仕事で敵に怖がられるように話しているのがくせになったらしい。
ふと、彼の大きなリュックに目がいった。
冷蔵庫が一個入りそうな大きさに、何が入っているのか疑問に感じた。
「そのリュックには何が入ってるんだ?重たいだろ」
道の脇で彼がリュックを下ろして、中を見せてくれた。
彼が使うであろう武器と、、大量の札束、、
見た感じホンモノである。
「お前ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ???!!!???」
「やっぱりこの国でもやらかしてるじゃねぇか!
やっぱ顔怖い奴はなんかやらかしてるのか!?
その金は俺が貰っとくから自首するんだぁ!」
俺のテンションとは違って、ネロアは冷静そうに見えた。
「師匠、、、」
彼が悲しそうに言った。
俺は酷いことを言ってしまったのだ。
引きこもりの俺には人との距離感や接し方が難しい。
まずは謝罪だ、、
「ご、ごめ、、」
俺の言葉は彼に遮られた
「さっき話しましたよね?
俺はスパイだったって言いましたよね?
そして、ある程度活躍してたとも言いましたよね?
ある程度は稼いでますって
あなたも優しさを見せたくせによくそこまで罵れますね、やっぱり顔がいい奴は性格が悪いんですか?
これは世界共通なんですか?あぁ??」
え…?
これは、あきらかに、かれのほんねである。
うん、怖い。
もう外の世界怖い。
「うん、、ごめん、、」
ネロアもやらかしたと言葉がなくても伝わるような顔になった。顔が真っ青である。
「す、すみません!師匠にそこまで言われると思わ
ず、つい本音が出てしまいました!」
本音でも言わんでええ。
俺は気を使う関係は好きではない。
一方的なものより、お互いに友達みたいな関係が良い。
「俺は、勝手に師匠にされてるけど、別に怒らんから
本音で話してええよ」
「師匠、、、」
ネロアも安心したような表情に変わった。
「外面が良い方に、内面も良い方はいるんですね」
あんまりそんな完璧な奴いないけどな、、
俺はどっちも別に良くないし、、
「それはどうかな、、、ハハハ」
気を使わないで良いと分かり、我慢していたものを口からこぼすように質問をしてきた。
「先ほど使われた能力はなんなのですか?」
能力?さっきも言ってたな、、俺は能力なんて使った覚えはないぞ。
「俺は能力なんて使っていないぞ」
信じていないようにネロアが苦笑いした。
「あんな高速移動は誰にもできませんよ?
今まで見た中で一番に並ぶ速さでした」
え、ただの瞬間移動はみんなにできない、、
そんなバカな、、ただの移動だぞ
「俺の瞬間移動は誰にもできない??」
瞬間移動ができると聞き、ネロアが驚いた顔になっている。
「えぇ!瞬間移動ができるんですか!?
そんなことができる人は見た覚えがないです!」
えっ?
えー???
えぇぇぇぇ!?!?!?
瞬間移動ってみんなできないのぉぉ!!??
「瞬間移動ってみんなできないのか!?」
ネロアが変質者を見るような目で俺を見る
そんな目で見るなや
「えぇ、できないでしょ、、」
俺はやっと自分の持つ能力に気づいた。
みんな、こんなこともできないのかよ、、
引きこもりによる弊害である。
世間を全く知らないのである。
ただのイキリアホなのである。




