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空想自傷

作者: 豆々駄

自傷とは…自分で自分の体を傷つける行為。




私は学生の頃から頭の中に言葉がたくさん詰まっていた。

それは、目に入った物の情報処理だったり、未来への不安だったり、過去の反省だったりした。

それらはどんどん膨れ上がっていって、やがて私は息苦しくて仕方なくなる。


黒いドロドロとしたものが喉のすぐそこにあるはずなのに吐き出せない。肺がうまく動かない。心臓が重い。

どうにかして楽になりたい。ゆったりと空気を吸いたい。


そう思った時に頭の中で自傷した。


銃で頭を撃ち抜く。

ナイフで喉を掻っ捌く。

電車に轢かれてバラバラになる。


とにかく体のどこかに穴があく空想。

そうすると少しずつ毒素が抜けて落ち着いた。


本当は痛いのも怖いのも苦手。

実際に試そうと思ったことはない。

けれど、なるほど。リストカットでスッキリする理由がなんとなくわかった。




私の空想の自傷は大人になってからも変わらずあった。

住んでる場所が変わり、通勤時間が長くなった時は特にひどかった。


長い時間ボーッと運転していると不意に自傷をしたくなる。

もし、このまま車の速度を上げて突っ込んだら。

もし、右手を扉に何度も、骨折するくらい打ち付けたら。


空想はどんどんリアルになっていた。

今までは宙を眺めてしていた自傷も、いつからか右手をジッと見ながらするようになった。




話は変わり。

私は昔から体のあちこちがよく痛んだ。

頭も、肩も、腰も。

神経質だったから、体中に力が入っていたのだと思う。

実際、肩は軽く触れられるだけで飛び上がるほど痛み、リンパなど触れるのも恐ろしかった。


それが大人になるにつれ痛み方が変わってきた。

頭、肩、腰は変わらず痛いけれど、それに加えて左半身が特に痛くなった。

外側というよりも中側。

神経が攣る感じ。


腰だけだったものが、足まで、つま先まで。

肩だけだったものが、腕まで、指先まで。


ある日突然痛み、気づくと痛みが消えている。

痛みがある時はそちらに集中していて、体の中のドロドロとした感情は忘れる。


痛いか、気持ち悪いかのどちらか。

気分のいい日がだいぶ減った。




ふと思う。




私の自傷ははたして空想で止まっているのか。

傷のない体は現実のものなのか。

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