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新たな契約

「このままでは俺もお前も借金地獄から抜け出せない」カイロスが提案する。「ペット契約でも結んで、一緒に借金返済を頑張らないか?」


「ペットじゃなくて相棒だろ?」


「相棒...」カイロスの目が潤んだ。「5000年生きてきて、初めて言われた言葉だ」


「え?今まで友達いなかったの?」


「竜王候補時代は政敵ばかりだった。追放されてからは一人でこの遺跡を守り続けていた」


なんだか可哀想になってきた。5000歳で友達がいないなんて...


「よし、じゃあ俺たちは借金仲間であり、相棒だ」


俺はカイロスに手を差し出した。カイロスは巨大な爪で俺の手を優しく握った。


「ああ、相棒よ。共に借金地獄を乗り越えよう」


「おう!」


こうして俺は古代竜カイロスという最強の相棒を得た。借金は増えたが、一人じゃない。これは大きな収穫だ。






豪邸建設と現代家電



「おお、素晴らしい家だ」カイロスが感心する。「これなら竜王の俺にも相応しい」


「カイロス専用の着陸バルコニーも作ったからな」


「ありがたい。久しぶりに安住の地を得た気分だ」


俺は建物の中を案内しながら、【神器創造】で次々と家電を作り始めた。


「あ、そうそう。光熱費の心配はいらないぞ」


「光熱費?」


「電気代とかガス代とか。まあ、魔力でどうにかなるから実質無料や」


俺は手をかざして、【神器創造】を発動した。エアコン、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、炊飯器...現代日本の家電が次々と現れる。


「な、なんだこれは...!」カイロスの金色の瞳が驚愕に見開かれた。「この箱から冷気が...!」


「エアコンや。夏は涼しく、冬は暖かくしてくれる魔法の箱やで」


「し、信じられん...5000年生きてきたが、こんな便利な魔法器具は見たことがない」


俺はさらに家電の説明を続けた。


「こっちは冷蔵庫。食べ物を冷たいまま保存できる。で、この洗濯機は服を自動で洗ってくれて...」


「自動で...?まるで魔法だな」


「まあ、スキルで作ってるから魔法みたいなもんやけどな」


そして最後に、俺は一番の自信作を案内した。


「で、これが...トイレや」


「便所か。まあ、普通だな」


「待て待て、まだ終わってない。このボタンを押してみろ」


カイロスが恐る恐るボタンを押すと、温水が出てきた。


「お、おおおお!!!」


カイロスの声が山に響いた。5000歳の元竜王候補が、ウォシュレットに完全にノックアウトされている。


「な、なんという心地よさ...!これは...これは革命だ!」


「ウォシュレットっていうんや。日本の技術の結晶やで」


「ウォシュレット...」カイロスは感動で声を震わせた。「レオよ、俺はもうここ以外では暮らせそうにない」


「大げさやなあ」


「いや、本気だ。竜王の座を捨てて追放されたことを、初めて感謝している。このウォシュレットに出会えたのだからな」


「そこまで言われると、作った甲斐があるわ」


俺は満足げに頷いた。999億セルンの借金は相変わらずだが、こうして仲間と快適な生活を送れるなら、それだけで価値がある。


「それにしても、これらの家電はすべて魔力で動くのか?」


「そや。【神器創造】で作ったもんは、俺の魔力を源にして永続的に動く。電気代もガス代も水道代も、ぜーんぶタダや」


「素晴らしい...まさに理想の住まいだな」


カイロスは改めて豪邸を見回した。現代の利便性と異世界の魔法が融合した、この世に二つとない特別な場所。


「借金999億セルンを背負った俺らには、もったいないくらいの家やけどな」


「いや、レオ。仲間と共に過ごすこの時間は、借金以上の価値がある」


そう言ってカイロスは、またウォシュレットのボタンを押した。


「ああ...極楽だ...」


これがレオネス荘の始まりだった。借金まみれでも、仲間がいれば億万長者級の幸せを感じられる―そんな特別な場所の誕生である。



町への帰路


豪邸の建設を終えた俺たちは、一度町に戻ることにした。ミアちゃんに生存報告をしないと心配をかけてしまう。


カイロスは移動中は燃費節約のため50センチサイズになっている。俺の肩に乗っかって、まるでペットの小竜みたいだ。


「しかし、竜を倒してないから依頼の報酬はもらえないな」俺が嘆く。


「まあ、仕方ない。守護者を仲間にしたのだから、ある意味成功だろう」


「そうだな。金では買えない友情を得た」


「その通りだ。これから一緒に借金返済を頑張ろう」


歩きながら、俺たちは今後の方針を話し合った。カイロスの5000年の経験と俺の127個のチートスキルを組み合わせれば、きっと効率よく借金を返せるはずだ。





ギルドでの報告


ノルム町の冒険者ギルドに戻ると、ミアちゃんが受付にいた。俺の姿を見るなり、安堵の表情を浮かべる。


「レオさん!無事だったんですね!」


「ただいま、ミアちゃん。約束通り生きて帰ってきたよ」


「本当に良かった...心配していました」


肩の上の小さなカイロスを見て、ミアちゃんが首を傾げる。


「その子は?」


「ペット...じゃなくて相棒のカイロスです」


「可愛いドラゴンですね」ミアちゃんがカイロスを撫でようとする。


「おい、気安く触るな」カイロスが抗議するが、小さいので威厳がない。


「あら、喋った!賢いドラゴンなんですね」


「まあ、そんなところです」


依頼の結果を報告すると、ミアちゃんは困った顔をした。


「竜を倒していないということは...報酬はお支払いできません」


「やっぱりそうか」


でも仕方ない。カイロスという最高の相棒を得たんだから、それで十分だ。

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