表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/42

ギルド登録と現実

受付嬢は19歳くらいの可愛らしい女性だった。栗色の髪をポニーテールにまとめ、親しみやすい笑顔を浮かべている。


「初めまして!私、受付のミア・ハートフィールです!冒険者登録でしょうか?」


「あ、はい!広瀬レオです。よろしくお願いします」


「レオさんですね!では、こちらの用紙にご記入を...あ、まず登録手数料の100セルンをお預かりいたします」


レオの顔が青ざめる。


「あの...実は現金を持ってなくて...」


「あら、でしたら魔物の素材でも大丈夫ですよ!」


ミアは優しい笑顔で対応してくれる。レオは安堵して、先ほど討伐したスライムの核...あ、もう消えてしまった。


「あ、えーっと...」


慌てて森に戻り、再度スライムを狩る。今度は現金化せずに持参した。


「失礼しました!これで」


「ありがとうございます!それでは能力測定をさせていただきますね」


ミアが魔法の測定器を持ってくる。レオが手を置いた瞬間...


バチバチバチ!!


測定器が派手に火花を散らして爆発した。


「きゃー!」


ミアが慌てて魔法で消火する。


「す、すみません!機械が壊れてしまいました...こんなこと初めてです」


「あ、大丈夫ですか?」


「ええ、でも測定ができないので...とりあえずFランクからスタートということで」


こうして、レオは冒険者として登録された。ギルドカードには「広瀬レオ、Fランク冒険者」と記載されている。


「Fランクですか...まあ、実力は後で証明すればええか」


「それでは、こちらが依頼掲示板です」


掲示板を見ると、小額の依頼ばかりが並んでいる。


『薬草採取:報酬50セルン』

『荷物運び:報酬30セルン』

『お使い:報酬20セルン』


「これじゃあ借金返済は無理やな...」


ふと、隅の方に別の掲示板があることに気づく。そこには「危険度S級依頼」という看板がかかっている。


『古代遺跡「エルドラドの墓所」探索』

『報酬:5億セルン』

『条件:Aランク以上推奨』

『注意:生存率10%以下』


「5億セルン!?」


レオの目が輝く。


「レオさん、それは絶対にダメです!」


ミアが慌てて止める。


「Fランクの方が挑戦したら、確実に死んでしまいます!」


「でも、5億あれば借金が大幅に減る...」


「借金?レオさん、借金があるんですか?」


「実は999億セルンの借金があって...」


ミアの目が点になる。


「999億...そんな...」


「やるしかないんです。30日以内に返済しないと、恐ろしいことになってしまう」


ミアは震え声で言った。


「そ、それは転移者の課金システム...」


「知ってるんですか!?」


「噂でしか聞いたことないですが...神様に騙されてスキルを大量購入してしまった人がいるって...」


レオは苦笑いする。


「まさにそれです。127個も買ってしもうた」


「127個!?普通は1個ですよ!」


「今となっては後の祭りですわ。でも、この依頼を受けるしかない」


ミアは必死に説得しようとしたが、レオの決意は固かった。


「ミアさん、心配してくれてありがとう。でも、俺にはこれしか道がない」




決意と旅立ち


依頼を受注したレオは、ギルドを後にした。古代遺跡「エルドラドの墓所」は、町から北に100キロメートルの場所にある。


「【時空操作】があるから移動は問題ないやろう」


しかし、心の奥底では不安が渦巻いている。生存率10%以下という情報は、決して軽いものではない。


「でも、やるしかない。仲間はいないけど、127個のチートスキルがある」


ミアから渡された地図を確認しながら、町の外へ向かう。


「30日後...それまでに何とかしないと」


振り返ると、ギルドの窓からミアが心配そうに見送ってくれている。レオは手を振って応えた。


「絶対生きて帰ってくる。そして、この借金地獄から抜け出してやる」


夕日が西の空に沈んでいく。レオの長い借金返済の旅が、今始まろうとしていた。


【万能解析】で周囲を確認しながら、森の奥へと歩を進める。


「999億セルン...途方もない金額やけど、諦めるもんか」


「俺には仲間はいない。でも、スキルがある。知恵がある。そして何より...」


レオは拳を握りしめる。


「絶対に諦めない心がある!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ