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絶望の課金請求

突然、空中に巨大な魔法陣が現れた。金色に光る文字が浮かび上がる。


『セルンバンク課金システム』

『お客様ID:転移者No.2847』

『お客様情報:広瀬レオ様』


「なんや?銀行?」


魔法陣がさらに大きくなり、詳細な情報が表示される。


『ご利用スキル一覧』

『【万能解析】- 80億セルン』

『【時空操作】- 90億セルン』

『【完全回復】- 85億セルン』

『【絶対命令】- 95億セルン』

『【神器創造】- 88億セルン』

『その他122個 - 計561億セルン』


『合計請求金額:999億セルン』


レオの顔が青ざめる。


「は? せいきゅうがく? 999億って...桁間違ってるやろ!?」


『月利:15%』

『初回支払期限:30日後』

『最低支払額:149億8500万セルン』


「月利15%って...ちょっと待てや!年利にしたら180%やんか!ヤクザもびっくりの金利やで!」


慌てて計算してみる。999億に15%をかけると...


「149億8500万セルン!?一ヶ月でこんなん払えるわけないやろ!」


システムは無慈悲に続く。


『返済不可の場合、魔導スレイブ契約を自動発動いたします』


『魔導スレイブ契約内容』

『期限内の支払いが完済できなかった場合、恐ろしいことが起こる』

『利子の支払いが出来なかった場合、恐ろしいことが起こる』

「恐ろしいことって...なんだよ...マジかよ...」


レオの足に力が入らなくなる。せっかく異世界に来て、チートスキルも手に入れたのに、待っていたのは地獄のような借金生活。


「ちょっと待てや!スキルが有料やなんて聞いてへんぞ!」


しかし、システムは一方的に通告を続ける。


『本契約は転移時に同意済みです』

『契約書第127条:転移者は課金システムに自動加入』

『異議申し立て期間:転移後24時間以内(期限切れ)』


「そんなん聞いてない!てか、契約書なんて読んでへん!」


営業をやっていたくせに、契約書の内容をろくに読まずにサインしてしまう悪い癖が、異世界でも発動してしまったのだ。


『30日後、午前0時に自動査定を実施』

『返済額不足の場合、魔導スレイブ契約発動』


魔法陣が消える。森に静寂が戻った。


レオは膝から崩れ落ちる。


「999億セルン...チートスキルもらったのに人生詰んだ...」




現実逃避と前向きな決意


しばらくの間、レオは森の中で呆然としていた。頭の中で数字がぐるぐると回る。


999億セルン。月利15%。30日後。


「無理や...絶対無理や...どうやったってこんな金額...」


しかし、営業マンとしての経験が、彼を現実逃避から引き戻した。


「いや、待てや。まだ諦めるのは早い」


立ち上がって、深呼吸をする。


「127個のチートスキルがあるんや。普通の冒険者にはできないことができるはずや」


【万能解析】で周囲を再調査する。今度は、より詳細な経済情報を求めて。


『薬草スライム:討伐報酬100セルン』

『森オオカミ:討伐報酬500セルン』

『森の魔熊:討伐報酬2000セルン』

『古代遺跡:高額報酬の可能性あり』


「ほーん? 倒すと金がもらえるんやな? さすが異世界! よし!まずは手近なところから稼いでみよう」


薬草スライムを発見。緑色のぷるぷるした可愛らしい生物だ。


「ごめんな、生活かかってるんや」


【絶対命令】


「動くな」


スライムが瞬時に硬直する。そこに【神器創造】で作った剣を一撃。


『薬草スライム討伐!スライムの核を獲得』


手に取った瞬間、スライムの核が光って消失した。


『100セルンヘンキンシマシタ』


機械的な音声が森に響く。


「え?え??金が勝手に消えた!?」


慌てて借金残高を確認する。


『残借金:998億9999万9900セルン』


「100セルンずつって...9億9900万回狩らないとあかんやんか!」


一瞬、再び絶望に襲われそうになる。しかし、レオは首を振った。


「あかん、もっと効率的な方法があるはずや」


【料理マスター】を使って、森オオカミの肉を調理してみる。見事な手つきで、美味しそうな料理が完成した。


「うまい!」


久しぶりにまともな食事を口にして、少し気分が良くなる。


「そうや、もっと高額な依頼もあるはずや。町に行って冒険者ギルドを探そう」


【神器創造】で冒険者らしい装備を作る。革鎧、剣、盾、そして背負い袋。見た目だけは立派な冒険者の完成だ。


「よし、これで準備万端や!30日で999億...無茶苦茶やけど、やったるで!」




希望への第一歩


【万能解析】で最寄りの町を探す。北東に30キロメートルの距離に、ノルム町という中規模の町があることがわかった。


「30キロか...歩いたら一日がかりやな」


そこで気づく。


「待てや、【時空操作】があるやんか!」


スキルを発動してみる。空間が歪み、一瞬で数キロメートル移動できた。


「おお!瞬間移動できるやんか!」


数回のテレポートを繰り返し、あっという間にノルム町に到着した。


町は中世ヨーロッパ風の建物が立ち並び、人々が活気よく行き交っている。露店では様々な商品が売られ、冒険者らしき装備をした人々も多く見かける。


「おお、本格的な異世界の町や!」


【万能解析】で情報収集。


『ノルム町:人口約3万人』

『主な産業:農業、冒険者関連サービス』

『冒険者ギルド:町の中央広場近く』

『通貨:セルン(銅貨1セルン=約10円相当)』


「よし、冒険者ギルドや!」


町の中央に向かって歩いていく。すると、大きな看板を掲げた建物が見えてきた。


『冒険者ギルド・ノルム支部』


「ここや!」


建物に入ると、中は活気に満ちていた。掲示板には様々な依頼が貼られ、冒険者たちが情報交換をしている。


受付カウンターには、明るい笑顔の美しい女性が立っていた。


「いらっしゃいませ!冒険者ギルドへようこそ!」


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