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第7話 魔女がむしった羽のあと
退屈していた魔女は、電子の世界の蝶の羽をむしる。
可哀想だとは思わない。
魔女は、そんな感情に価値を見出さないからだ。
異世界におりたった私の前に、蝶があわられた。
綺麗な蝶だ。
手を伸ばしてみた。
そうしたら、蝶は消えてしまった。
まるで幻みたいだった。
夢を見ているのかと思った。
けれど、それは、夢じゃない。
悲劇の始まりで。過酷な現実。
私は、どうして、異世界にきてしまったのだろう?
誰か、その理由を教えてほしい。
誰か、私に説明してほしい。
私は、最初から最後まで、何も分からなかったのだから。
「知らない場所にいる。ここどこ? どうしてこんなとこにいるの?」