4/82
第4話 ただの人間
私は、普通の人間。
特別な人間なんかじゃない
だから異常な物語に巻き込まれてしまっても、何もできない。
私は無力だ。
ただの無力で普通な人間。
「お弁当持った?」
「もったよー!」
「忘れ物してない?」
「してないってば」
「水筒とハンカチは?」
「もー、ちゃんと持ってるってーー!」
どこからどうみても、特別なところなんてなにもない普通の人間。
「いってきます!」
「いってらっしゃい」
でも、だからって舞台だけ整えられても困る。
私は、そんな異常な舞台には順応できない、ただの、普通の、小さな、無力な人間なのだから。