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第1話 一番目の世界
かつて、一番目の白の世界が語られた。
その白の世界は、全てが無に還り、誰も救われる事なく、何の意味もなく終わった。
登場人物たちは、全て余すことなく、不幸になり。
その世界に生きる者達は、一人残らず死滅した。
誰かがその箱庭を用意し、登場人物と舞台を整えた。
その誰かの目的は、器を作り出す事だった。
しかし、彼の目的は実験が終わった今でも、果たされていない。
だから、次の舞台が用意されるのは必然だったのだろう。
彼はまた繰り返す。
語る必要のない物語を。
何の意味もない物語を。
報われる事のない物語を。