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07.再会の兆し

おねぇさんに彼のヒントをもらったティアナは、彼が組合(ギルド)に所属しているかを確認することを決め、まずは組合(ギルド)の建物に向かっていく。

で、組合(ギルド)の入口にある程度近づくとティアナがキョロキョロと落ち着きなく周囲の様子を何度も見回して警戒している。

まるで盗みにでも入るような様子のティアナにエレーヌが問いかける。


「ティアナ、何してるの?」

「もしかしたらその辺でばったり会うかもしれないから・・・」


どうやら今会ってもティアナの心の準備ができてないから、会わないように警戒しているらしい。

ティアナの「お悩みオーラ」は消えたままになったが、普段のどっちかって言うと、ちょっとのんびりした感じから不審者感がMAXな感じになっている。


ティアナの横でその様子を見ていたエレーヌは頭を抱えながら心の中で思った。


(あー、これは早めになんとかしないと・・・

一緒にいる私も不審者に見られそう・・・)


やっと組合(ギルド)の建物の中に入ったティアナの胸にはまだ少し躊躇(ためら)いと不安が残っているようだ。

とりあえず目立たないように隅の方のテーブルに座ると、食事処で話し合った受付のお姉さんにどういうふうに話しかけるかを再確認している。


「ほら、ティアナ、訊いてみるんでしょ?」

「うん……」


エレーヌがギルドの依頼受付窓口を指しながら、ティアナに「早く行け」と半分呆れながら促す。


(なんでそんなに緊張してるのよ。

受付のお姉さんとは普段も話してるでしょうに・・・)


ティアナは大きく息を吸い込み、「きっと大丈夫」と意を決して受付に向かう。


(マントとお金を返すんだから、このまま立ち止まるわけにはいかない)


窓口でのやり取りはエレーヌと何度も練習したので問題ないはずだ。


「あのー、すみません」

「あ、また何か一人で受けたい依頼あった?」


いつも依頼を受ける申請に来ているので受付のお姉さんはいつものように対応する。


「ギルドの登録冒険者にゲルマさんっていますか?身体の大きくて、なんか憮然としていて傷だらけな方なんですけど……

お借りしたお金を返したくて……」


少し緊張しながら、決めてきた通りの台詞をいうと、受付のお姉さんは少し驚いた様子で訊いてきた。


「お金借りたの?怖くなかった?」

「はい、ちょうど困ってるときに偶然近くにいらして……

少し怖かったですけど……

あのー、それで、ゲルマさんっていらっしゃいますか?」


ここまでは台本通りだ。

嘘は言ってないし、お金も返したいとも思っている。

少し受付のお姉さんが予定外のことを訊いてきたけど、大丈夫。


「ゲルマさんね、今の時間はいないかな」


受付のお姉さんはすこし申し訳なさそうにそう答え、言い足した。


「朝早くか夕方以降に来るかも?

でも掲示板見て面白いのないとすぐ帰っちゃうから……」


目的の答えをもらうことができた。

ここで話を終わらせても良かったが、さっきの答えの中に少し気になることが有って、つい訊いてみる。


「面白い依頼?」

「そうそう。すごい高難易度の依頼を仲間の人と争うように請け負っているの。

普通なら5人くらいで受ける依頼を一人で・・・

それで、難易度高い分報酬もすごく良いの」


(すごい高難易度?)


「そうなんですか、その仲間の人と同じPTに入ってるんですか?」

「PTは組んでないわね。

仲間というより競争相手(ライバル)みたいな感じ?

仲間の人も高難易度な依頼だけ請けてて、月に一度くらい仲間みんなで飲みに行ってるみたい」


受付のお姉さんは普段依頼の受け答えだけで誰ともあまり話さないからか、すごく色々話してくれた。

後ろに依頼を受ける人が来たみたいなので、その場を後にする。


「はい、色々わかりました。ありがとうございます~」

「ま、彼ならお金には困ってないと思うからそんなに焦らなくても大丈夫よ~」


少しホッとした気持ちで窓口を離れ、エレーヌの元へ戻る最中、顔には自然と笑みが浮かんでいた。

恥ずかしいのでやらないけど、スキップで戻りたい気分だ。


(やった、やった♪)


「聞くまでもないけど、どうだった?」

「わかった、わかった。

やっぱりここに登録してた。どの時間帯に会えるかもおおよそわかった」


ニコニコ顔のティアナが答える。

ティアナのこんなに嬉しそうな顔を見るのは久しぶりなきがする。

午前中死にそうな顔をしていたのがウソみたいだ。

会えるとなればあとはどういうふうに会話するかだが、これはティアナの問題なのであまり口を出さないほうがいいかもしれない。


「じゃあ、あとはなんて話しかけるかだけね」

「うん・・・」


ティアナは彼に会える可能性が高くなったことに嬉しさを感じつつ、どんな言葉をかけるかや、ちゃんとした服装も考えないとと不安も募っていた


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