魔人ふたり
おそらくこの作品はなろう内の「2024つまらない作品オブザイヤー」で1位を獲ると思うので、みなさんは読まないでください。私は楽しいので何回か読みます。なんかイカ読みます。なんかイカよう見ます。
「あーあ、解決難易度の低い殺人事件でも起こんねーかなぁ」
彼女の名は峰本鈴香。近所の高校に通う生徒で、才色兼備で誰にでも優しく、クラスのマドンナ的存在である。部屋で蛾を大量に飼っている。
「あーあ、今日みたいに暇な日に女の人の悲鳴でも聞こえてこねーかなぁムシャムシャ」
鼻をほじりながら独りごちる鈴香。鼻くそを口に入れた直後、部屋のドアが開いた。
「こら鈴香! また寝転がって蛾食べて! お行儀悪いわよ!」
「うるせーババー! 今鼻くそとのマリアージュを楽しんでるとこなんだから口出しすんじゃねーよ!」
「あ? 今オレのことババーつったか?」
「ババーにババーって言ってなにが悪いんじゃクソババー!」
ピンポーン
「(*」´□`)」はーい」
ドアも閉めずに玄関へ駆けていく鈴香の父。
「うめームシャムシャメチョメチョ」
片想い中の乃辺紀太のサングラスを思い浮かべながら蛾と鼻くそを咀嚼する鈴香。その横顔は妙に色っぽいものであった。
「キェェェェェェェェェェェェ!!」
突然、耳をつんざくような悲鳴が窓から入ってきた。
「うるせぇぞ!」
窓から身を乗り出して激怒する鈴香。
「あたふたあたふた」
小柄のおばあさんと大柄なおばあさんと、大柄なおばあさんと大柄なおばあさんが道で狼狽えている。1番大きなおばあさんは恐らく2メートルを超えており、小柄なおばあさんは30センチくらいだった。
「なんだ、事件か?」
「そうなのよう。事件なのよう。私たちの夫が死んじゃったのよう」
「一夫多妻制なの?」
「そうなのよう」
「⋯⋯チッ」
4ババの声を揃えての発言にイライラし始めた鈴香は、腕まくりをして家を飛び出した。
「死ねオラ!」
鈴香のパンチが命中し、1番大きなおばあさんは帰らぬ人となった。
「鈴香ちゃん、あなたの力を貸してちょうだい!」
「おばあさんたち、あたしの名前知ってるの? あとあたし、そんなに力ないわよ?」
「そりゃ隣の家だからね。あと、力と言ってもパワーの力じゃないのよ」
「あたし、権力もないわよ?」
「それでもないの」
「推理力なのよう」
どうやら彼女らの夫は誰かに殺されたようで、犯人を探していたところなのだという。
「いいでしょう。力になりましょう」
ちょうど暇だった鈴香は彼女たちに協力することにした。
現場に行くと、中にはすでに5人の同級生が到着していた。彼らもまた、暇を持て余しし者たちなのだ。
「なんだ、鈴香ちゃんぢゃないか」
彼の名は羽川恒夫。運動もスポーツもてんでダメで、おまけに運も悪いため、いつも青い球体になんとかしてもらっている。
「気安く話しかけんなカス。ウンコが」
鈴香は彼のことが嫌いなので、彼女の身体をベタベタと触っていた恒夫の手を捻りながら遠ざけた。
「鈴香たんこんにちは!」
彼の名は弗亜門。魔人である。
「⋯⋯チッ」
鈴香は彼のことが嫌いなのでいつも無視している。
「鈴こん」
彼の名は出加杉酷才。体がデカくて、いつも同級生に酷いことをするのでみんなから嫌われている。また、ものすごくバカである。
「ラジコン」
バカには適当に返事をしておけばいいので、鈴香はいつも彼には4文字以内で返事している。
「鈴香ちゃん、野薔薇珍歩助さんを殺した犯人を一緒に突き止めよう!」
彼の名は乃辺紀太。鈴香の片想いの相手。サングラスがトレードマークで、某音楽番組の司会を務めたことがない。また、人間によく似ているが、正体はカメムシである。
「紀太さん⋯⋯!」
カッコいい紀太に見とれる鈴香。
「鈴香ちゃんは誰が犯人だと思う?」
彼の名は 神田隆志。亜門と同じく魔人である。
「え、知るわけないやん。今来たんだよ?」
隣の家の主人が死んだとあって、少しイライラしている様子の鈴香。
「あれ、よく見るとダイイングメッセージみたいなのない?」
弗亜門が無い指で珍歩助の指をさして言った。
「本当! なにか書いてあるわね!」
1番小さなおばあさん・ 探田菜々が壁に向かって叫んだ。
「でかしたぞ亜門」
ぬほぬほ顔で遺体に近づく鈴香。
「ん? なんだこれちっちゃ」
鈴香の目線の先の珍歩助の指の先の近くの床のとこには、黄緑色の文字で小さく「たすけて」と書いてあった。
「げ、これ鼻くそで書いてあんじゃん。食いもん粗末にしてっから殺されんだぞ? って聞こえてねーか、ミャハハ」
「鈴香ちゃん、なんで鼻くそって分かったの?」
「紀太さん」
「なに?」
「聞いちゃいけないことは聞かないでね」
この時の鈴香の顔はとても恐ろしくそして、とてつもなく恐ろしいものだったので紀太は失禁し、帰宅した。恐ろっし。
「それにしても、ダイイングメッセージが『たすけて』だなんて、なんのヒントにもならないじゃないの」パリン
部屋の窓を割りながら鈴香が怒りをあらわにした。
「ということなので、帰ります! こんなキモイ事件解決しなくても誰も困んないんで! あばよ!」
「待たれい!」
「うっせバーカ!」
天井裏に潜んでいた町長の引き留めも聞かず、名探偵鈴香は己のベッドへと帰って行った。
「えっ、これで終わり!?」と思ったそこのあなた。
タンバリンとマラカスでクマを撃退したことはありますか? ありませんよね?
私もありません。
(・∀・)人(・∀・)ナカーマ!