表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/28

第9話 海ほど美しいもの

挿絵(By みてみん)


――― 潮の香りを嗅ぐ前に、海が近いことは分かった。

――― 丘のを登ると、広い水平線が見えた。



 ヴィクトルの手をしっかり握りしめ、一緒に丘を登っていく。

 草の匂い、鳥の声、そして心地よい風。

 しかし、その全てが待ち受けている光景に比べれば些細なこと、ヴィクトルに耳を傾けると、彼の胸の高鳴りを感じることができるようだった。



「もうすぐだよ、ヴィクトル。」


 

 ヴィクトルの手の温もりに目を閉じる。

 彼の期待感、緊張感が伝わってきた。


 それは新しい体験への興奮だけでなく、彼が私を信頼しているという実感でもあった。



 丘を越え、眼前に広がる壮大な海景色に目を見張る。

 無数の光が海面で跳ね、まるで宝石のように輝いていた。


 一瞬、息を呑んだ。

 そして、ヴィクトルの手をぎゅっと握りしめながら、



「見て、ヴィクトル。これが海だよ」



 と優しく声をかけた。


 ヴィクトルの驚愕の表情、その目に映る自分の姿、そして一面に広がる海。

 これらすべてが、私の心の中で一つの絵を描いていた。



  ・

  ・

  ・



 波が静かに砂浜をなぞり、ヴィクトルと私はその美しい情景をただ見つめていた。

 太陽が海面に投げかける、きらびやかな光。

 静けさが全てを包み込む。


 静寂を破ったのはヴィクトルの声だった。



「アリア、見て、海の色。それと同じくらい美しいものが他に何があるか、思いつく?」



 彼の瞳が私を見つめていて、微笑みながら問いかける。

 それに対し、私はふと考え込み、首を傾げる。



「海ほど美しいもの?それは難しい問題ね、ヴィクトル。」



 彼が何を指しているのか、私は心の中で色々と考えてみる。

 何となく予感がして、彼の言葉には海の風景以上の何かが含まれていると感じるのだ。

 それを見透かしたかのように、彼は笑った。



「君の目、アリア。

 君の瞳の色は、まさにこの海と同じ。広大で、深く、そして何より綺麗だよ。」



 彼の言葉は、またしても私の心をぴょこんと跳ねさせた。

 繋いだ手に、つい力がこもってしまう。


 自分の瞳が海の色と似ているなんて、今まで思ったこともなかった。

 でも、ヴィクトルがそう言うなら、きっとそうなのだろう。


 驚きと共に、心の中で彼の言葉を消化しようとする。



「ヴィクトル、ありがとう。」



 気恥ずかしさに目を反らしつつ、私は感謝の言葉を口に出す。

 彼が私の目を、海と同じくらい美しいと言ったのだ。


 他の誰もそうは言わないだろう。

 でも、ヴィクトルがそう感じてくれるのなら、それは私にとっての最高の賛辞だ。



  ・

  ・

  ・



 海を見るたびに、ヴィクトルの言葉を思い出す。

 彼の言葉は、私に自信と勇気を与えてくれた。


 私の瞳は、彼が言ってくれたように、海と同じように美しい。

 彼がそう感じてくれたなら、私にとってそれは何よりの宝物だ。



――― 海と同じくらい美しい。



 それは、ヴィクトルが私に与えてくれた、最高の賛辞だった。





=====

エ様『短くないか?』

門東『スミマセン。』


ブクマ評価感想いいね、ありがとうございます。とても嬉しいです!

面白い、続きが気になる、アリアとヴィクトル今後どうなるの!と思っていただけましたら


・↓の★★★★★評価

・ブックマーク


で応援いただければ幸いです! 今後も投稿を続けていく『大きな励み』になります!


Twitterで更新連絡行っています。フォローいただけると嬉しいです:

 https://twitter.com/kadoazuma



同じ世界の違う話を、ノクターンノベルズで連載していますk(R18です)

性と愛の女神エロティア様が大活躍します。

ご興味を持っていただけたら、ぜひ遊びにいらしてください。


・【巨根ハーフ】巨根で絶倫のハーフエルフの少年が、性と愛の女神より祝福を授かり世界を巡る

 https://novel18.syosetu.com/n3442ih/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ