表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/28

第14話 海岸 前編

挿絵(By みてみん)


 朝の静けさが広がる部屋で、一つの香りだけが重く空気を支配していた。

 それは料理の香り。

 ヴィクトルが独りでキッチンで何かを作っている。



「今日くらいは、僕に任せて。」



 彼の言葉に、私はおとなしく布団にくるまる。


 だがその甘い香りが鼻孔をくすぐり、安寧の中で再び目を閉じることは叶わない。

 心には昨夜のことがよみがえり、悠然とした時間に紛れて思索する。


 地下での黒い炎の光。

 その光が彼の体に何をもたらしたのか。

 その影響で体調が崩れていると彼は言っていた。

 宝玉があれば、治してあげられたのだろうか。彼の体調の異変に心が痛む。


 いつもの彼と違う何か。触れられない距離感。

 それでも彼の手を握り、安心して眠れるようにと願った。


 回想は突如、恥ずかしさに変わる。

 昨夜の私のセリフ、真剣な彼の目。

 あれはまるでプロポーズのようだった。


 頬が紅く染まる。

 布団を引き上げ、恥ずかしさを隠す。


 だが心の中で、あの瞬間を噛み締める。

 ヴィクトルの真剣な瞳。彼の言葉。



―― 私と一緒に生きたいって、言ってくれた



 あれって、私のことが好きってことだよね。

 そう思うと、どうしても顔が緩んでしまう。



「準備ができたよ。」



 ヴィクトルの声に、私は手櫛で前髪を整え、声の方に向かった。



  ・

  ・

  ・



 朝食の余韻をほんのりと舌の上に残しながら、窓の外に広がる砂浜へと出た。

 雨でも降ったのか、シェルターの前の地面が濡れていたが、今日は快晴だ。

 夜空もきっと綺麗に見えるだろう。

 潮の香りが漂う風が、昨夜の約束を思い出させる。



「夜空を見よう。そして、帰ろう。」



 ヴィクトルの言葉は、彼の真剣な瞳と共に、私の心に響いた。

 それは一つの約束であり、この楽園のような時間がいつか終わることへの認識でもあった。


 海の冷たさを裸足で感じたい。

 それがなぜか、故郷を思い出させてくれるような気がしていた。


 かって私たちは水と共に生き、海が皆の心を結びつけるものであったとお祖母様が教えてくれた。

 しかし、それは遠い過去の話だ。今、海は海獣のもの。我々の故郷は失われた。



「今日は晴れてるね。夜空、きれいに見えるといいな。」



 彼の言葉が、昨夜の約束を思い出させる。



「うん、私も楽しみ。」



 私の返事に、彼は嬉しそうにうなずいた。


 彼は地底都市から来た、海を知らない少年。

 私はかつての海を追われ、陸上で暮らす人魚の少女。

 異なる世界から来たふたりが出会い、心を通わせた。


 彼の手が私の手に触れると、昨夜交わした言葉の重みと温かさが胸を満たす。

 彼の顔がちょっぴり赤くなり、私も恥ずかしくてうつむいてしまった。


 波打ち際を並んで歩くと、彼がちょっとしたいたずら顔で私に向かって水しぶきを飛ばした。それに、私も笑って応戦しする。

 塩の味が笑顔について、楽しさがふたりの間に広がる。



「楽しいね、アリア。」



 彼の真剣な瞳に見つめられ、私の心はときめく。



「うん、すごく楽しい」



 とにっこり笑い返す。

 その感情を、言葉で伝えたくて。


 私たちの足跡は波に消えるかもしれない。

 でも、この刻んだ時間、感じた愛情は、私の心に永遠に残る。


 彼の笑顔、彼の声、彼と過ごしたこの特別な時間。

 夢のような時間も、いつかは終わりを迎える。


 でも、彼との思い出は、私の中で永遠に生き続ける。


 私たちが見た景色、感じた温かさは、これからの未来への力となる。


 心の中で、彼と共に未来を歩んでいく覚悟を決める。

 それが、今日、この海辺で交わした約束だ。







=====

エ様『いい感じではないか。』

門東『ええ、そうですね。記憶かぁ、記憶ねぇ、、。』

エ様『・・・何をするつもりじゃ?』

ブクマ評価感想いいね、ありがとうございます。とても嬉しいです!

面白い、続きが気になる、アリアとヴィクトル今後どうなるの!と思っていただけましたら


・↓の★★★★★評価

・ブックマーク


で応援いただければ幸いです! 今後も投稿を続けていく『大きな励み』になります!


Twitterで更新連絡行っています。フォローいただけると嬉しいです:

 https://twitter.com/kadoazuma



同じ世界の違う話を、ノクターンノベルズで連載しています(R18です)

ご興味を持っていただけたら、ぜひ遊びにいらしてください。

性と愛の女神エロティア様が対活躍します。


・【巨根ハーフ】巨根で絶倫のハーフエルフの少年が、性と愛の女神より祝福を授かり世界を巡る

 https://novel18.syosetu.com/n3442ih/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ