表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

under 500

煮たものフーフー

これは何だ?


すごくいい香りが漂う。


鍋とフタの僅かな隙間から、溢れ出す蒸気。


グツグツと音をたてて煮えたぎる。


覗いてみると、幾つもの茶色い物体が苦しそうにしていた。


蒸気が顔の皮膚に張り付き、しっとりさで覆ってゆく。



妻の料理上手の一面は知っている。


妻の珍しいもの好きも知っている。


妻のイタズラ好きも前から知っている。


でも、妻が煮ているものが何だか分からない。



「出来たわよ」


妻に呼ばれて、食卓に着いた。


そこには、どんぶりご飯と大皿に盛られた大量の煮込んだ茶色が積み上げられていた。


ご飯と煮物だけなのはまだ許せる。


でも、いつもはもっとカラフルだ。


いつもはニンジンやパプリカがあって賑やかだ。


こんなに地味なのは、初めてかもしれない。



「どうぞ。熱いからフーフーしてね」


そう言われ、言われるがまま息を放つ。


すると、茶色はみるみる変化していき、レインボーカラーに落ち着いた。


「これ、少し冷ますとカラフルになるの」


「そ、そうか」


妻が、未来人ではないことを、祈らずにはいられなくなった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ