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第三話:よろしい。ならば戦争だ

私は大人。

私は年上。

我慢、我慢……。

「……すみません。……その、おれ……アレが立たなくなったんです」


絶句。何も言えなくなって、固まってしまった。

カズくんは、もう少し真面目な人だと思っていたけど、思い違いだったようだ。


「すみません、本当なんです、ユキさん。真剣に悩んでるんです」


その真剣な様子に我に返って、詳しく話を聞いてみると……。


……うん、何と言うか、リア充爆発しろって感じ?


社会人一年生の、春から一ヶ月ほどの大事な時期でありながら、その間の月曜から金曜までのうちの2~3日は泊まりもアリのいちゃラブをしてるらしいし、土曜の夜は確定で泊まり込み、日曜はずっといちゃラブ三昧だそうな。


そりゃそうだ。単純に、いちゃラブやり過ぎて疲れちゃったんだよ。


半笑いで睨み付ける。

彼氏イナイ歴イコール年齢で未だにキスも未経験な処女の私に対して、当て付けか?ふざけんな。

よろしい。ならば戦争だ!


鼻息荒く、そう意気込んだものの……。


「すみません。みちるが、おれの元気が出ないのは自分のせいだと思い詰めていて……」


いや、実際その通りだと思うよ?

暇か?大学生暇なのか?遊ぶ金欲しさにバイトしてるって言うから、こっちからの連絡も控えてたのに。


ああ、イタズラ心が顔を出しちゃいましたよ。


「ウナギ、ヤマイモ、卵に……マムシ。あとは……」


「えっ?何ですって?ウナギとか?」


精のつく食べ物をあげていったら、何故か戸惑っていた。

理由、本気で分からないのかな?

これは、何だろう?新手の嫌がらせ?

彼氏イナイ歴更新中の私に、嫌がらせ?

カゲちゃんはちょいと天然入ってるようでいて、計算高くズルいところがあるから、たぶん、今回のカズくんの相談は、カゲちゃんの差し金だろう。


『ユキ先輩ならー、きっとなにかイイコト知ってるよー?』


そんなこと言ったに違いない。


本当に頼っているのか、

無理難題を押し付けられて困る私を見たいのか。


カゲちゃんの本性を知ってからは、少し距離を置こうとしたけど、向こうからぐいぐい来るんだ。

完全な縁切りをするなら、仕事辞めて携帯変えて引っ越すしかないと思う。

そこまでは嫌ってないけれど。

……ないけれど、ちょっと考える余地があるなあ。


「そ、それを食べれば、ダメになったおれの分身も、また立ち上がることが出来るんですか!?」


近い近い近い。ドアに押し付けられるように寄られても、知らんよ。上手いこと言ったつもりかよ?

実際に試したことなんか無いんだし。

……試す相手も居ないんだし。


……あ、何かムカついてきた。


てゆーかさ、若者のいちゃラブしすぎ問題を、彼氏イナイ歴イコール年齢の喪女に相談する?普通はしないでしょ?


……ああもう、結果を聞いて爆笑するカゲちゃんのことを想像できてしまいますよこれが。


「あ、あの、ユキさん。おれの分身がまた立ち上がることが出来るように、力を貸してください。お願いします!!」


息が触れるほどの至近距離から勢いよく頭を下げ、私のささやかな胸に頭突きしやがった。ゴツって音がした。痛い。


「あ、す、すいません。痛かったですよね?ごめんなさい」


痛いの痛いの飛んでけーと私のささやかな胸をさするカズくん。


パニックを起こしているのか、

それともわざとなのか、

あるいは、知識がエロ方面に振り切れているカゲちゃんの入れ知恵か。


とにかくさ、私、そろそろキレても良いと思うんだ。


「……でも、みちるならゴツって音しないよな……。なんというか、こう、ぷにゅっと受け止めてくれる感じで……」


こんな風に追い討ちしてくるからさ、仏も鬼になりますよ?阿修羅に逆戻りしますよ?


可哀相な者を見る目を向けるんじゃないよ。


……もう許さん。よろしい。戦争だ!!


「リア充爆発しろやあぁぁぁーーー!!」


股間にアイアンクローをぶちかました私は、きっと悪くない。


素手でリンゴを割る私の握力で股間を握り潰されそうになったカズくんは、速攻で泡を吹いて気絶した。ざまぁ。

この後、メチャクチャ説教した。

喪女の怒りを思い知れ。

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