リナリーの悪巧み20
リナリーのイタズラはうまく行くのでしょうか。
楽しんで読んでいただけたら嬉しいです!
この二週間は目まぐるしく過ぎていった。
結婚の儀の準備がほぼほぼ終わっていて本当に良かったとリナリーはふぅと息をついた。
今日はいよいよ舞踏会当日である。
「アン。今日は思いっきりやっちゃってちょうだい!」
「かしこまりました。リナリー様。徹底的にリナリー様を美しく整えさせていただきます。」
リナリーはニヤリと笑った。
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辺りは夕闇に包まれ、空は夜の帳を下ろす。
人間の国王城ではファンファーレと共に来賓が優雅に入場していく。
そして、主役である第二王子と婚約者である侯爵家の令嬢が国王の紹介によって姿を現した。
皆が拍手で迎え、歓喜の声が上がる。
第二王子であるアランは、婚約者であるクレアをリードし、優雅にダンスホール中央へと進んだ。
「クレア。とても美しいよ。」
「アラン様。アラン様もとても素敵ですわ。」
オーケストラが二人が仲睦まじく手と手をとった所で演奏を始めた。
二人が踊り始めた所で周りもダンスホールに入りおどり始める。
アランはクレアと踊りながらもつい、会場を見回してしまう。
その時であった。
突然会場に冷たい風が吹き、煌々とあたりを照らしていた蝋燭が全て消えた。
「な、、、何事だ!蝋燭に火を灯せ!」
雷が轟き、稲光があたりを照らす。
悲鳴があがり、皆がバートナーと寄り添い、様子を伺う。
蝋燭に、一つ、また一つと緑の炎が妖しく灯る。
人々は震え上がる。
空気が氷る。
吐く息は白く、キラキラと揺れ、消えた。
そう思った直後、入場扉の前方に大きな恐ろしいほどの火柱が上がり、あたりの空気が一気に熱に包まれた。
皆が階段上の入場扉の火柱を凝視した。
炎が消え、そのに現れたの者を見た瞬間、皆が息を呑んだ。
カツ、カツとヒールの音が響き、優雅にその女性は頭を下げ、一礼をする。
漆黒の闇に星を散りばめたようなドレスは、スカートが揺れるごとにキラキラと光を反射する。
首元には大きなルビーの真っ赤なネックレスに、耳元には揃いのイヤリング。
銀色の髪は美しく結い上げられ、大胆に背中の空いたドレスは、その美しい首筋に思わず目がいってしまう。
目元は妖艶に紫のアイシャドウで彩られ、口元は真っ赤なルージュがひかれている。
まるで闇の女王の様に妖艶でいて、美しい姿に、ただただ皆が視線を外せなかった。
「リナリー、、、。」
思わずアランはそう呟いた。
しかし、次の瞬間、背筋が凍りつく。
闇の女王を自らの物であると見せしめるように、漆黒の闇の髪を持ち、真っ赤な怪しい瞳の美丈夫は、腰に手を回し、こちらを見下ろす。
「ま、、、、、魔王城より、シバ・ロイ陛下、ご婚約者リナリー・ガボット公爵令嬢のおなーりー。」
入場の紹介の声が響き、皆がざわめいた。
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