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20.華やかなお茶会

 とにかく一度話し合わないと、とイヴリンは考えていた。


 裁縫箱を取り出しながら考えている。何か口実をもうけて外出し、ウィリアムに会いに行きたい。そしてジェフリーとエセルをどう結び付けるか、今後の相談をしたかった。


「なんて手触りのいいリネンなんでしょう!」 


 偽装婚約者とどうやって会おうか悩むイヴリンの思考を、ガヴァネスの声が破った。グレイ先生の両手には真新しい白い布が一山のっている。


「本当にいいんですか、こんなにいい布地を使ってしまって。私のために」

「……え、ええ。ぎりぎりまでエセルを教えてもらうんですもの、グレイ先生には。手伝うと約束しましたでしょう、トルソーの支度を」


 トルソーというのは嫁入り支度のことだ。ドレスや下着などの衣類はもちろん、ハンカチやタオルにナプキンにベッドシーツなど、新婚家庭で使われる布製品も花嫁側が式の前に用意する。そして婚約が決まったグレイ先生のため、イヴリンとエセルもその支度を手伝うことにした。


 令嬢と家庭教師で、本来逆の立場だが。だが二人とも、特に優しすぎるエセルは気にしていない。にこにこしながら嬉しそうに言う。

 

「それに先生は友達みたいなものだわ。ねえ、イヴリン姉様?」

「そうね、エセル」


 グレイ先生へのお祝いにと、なんとか費用をねん出し、新しく買ったばかりのリネン生地。それをどう裁断して使うか、相談しながら決める。裁断し、端をかがったり刺繍を施したり。嫁入りの支度は大変だが、心浮き立つ作業でもある。

 本当ならエセルのためにやるはずだったのにと思いながら、イヴリンも前向きにとらえることにした。


(これは予行演習よね。これはそう、エセルの時のために練習しているの)


 ほとんど言い聞かせているに等しいが。内心の落胆を隠しきれないイヴリンの様子を、エセルが心配そうに見ていることには気づかなかった。


 そして三人でせっせと針仕事をしていると、執事が来て、父男爵がイヴリンを呼んでいるという。


「お父様が?」


 放置されている普段が普段だけに、なんだか不安になった。



 白漆喰で花綱模様をかたどり、さらに金箔を押して彩った天井と壁。部屋は明るく、大きな窓がいくつも並ぶ。その窓には草色の緞子のカーテンが下がり、寄木細工の床の上には高価そうなペルシャ絨毯が敷かれている。部屋の至るところに飾られた華麗な生花は中国製と思しき花瓶に生けられ、それらを載せるテーブルや棚はすべてお揃いの猫足。壁の一方には大きな鏡がかけられていた。


 室内には大きなシャンデリアもあるが、今この部屋を照らすのは天窓から降り注ぐ陽光だ。時刻はちょうど、午後のお茶会(アフタヌーンティー)を開く頃合い。


「――ああ、あなたね。ようこそ、待っていたのよ」

「ご、ごきげんよう。今日はお招きありがとうございます」

「お入りなさい」


 見るからに豪奢なしつらえの応接間。そこでイヴリンを迎えたのは、嫣然と微笑む貴婦人だ。花柄を織り出したブロケードのティーガウン姿でゆったりくつろいだ様子。招待主でもある彼女、セジウィック伯爵夫人アリスはイヴリンを優しく招き入れる。


 イヴリンを先導するため背中を見せたアリスだが、すぐに振り返った。イヴリンの後ろには付き添いとしてグレイ先生がついて来ていたのだが、彼女を見て少し目を細める。


「あら。付き添いがいるの?」

「は、はい。妹のエセルのガヴァネスですわ、名前はグレイ先生」

「紹介はいらないわ。使用人の待機部屋は別にあるの、メイドに案内させるわね」


 軽くそう言うと、アリスはメイドを呼んだ。女主人の命令通り、グレイ先生は待機部屋へと連れて行かれてしまう。せっかく連れて来た付き添いといきなり引き離されてしまった。


「さあ、あなたはこっちよ、イヴリン。イヴリンと呼んでいいわね?」

「え? はい、どうぞ」

「呼びたかったらわたしのこともアリスと呼んでいいのよ。今日は自由に振る舞う日なの、来ているのは気立てのいい女の子たちばかりだから」


 いらっしゃい、と招き入れられた部屋にはアリスの言う通り、若い娘ばかりがそろっていた。少女たちは上流階級の出身らしく、昼間用のドレスで着飾っている。しかもみながみな、非常に美しい容姿だ。


 だがその中でもアリスは別格だと、イヴリンも思う。この緑の目の貴婦人は麗しい。すらりと背の高いイヴリンと比べるとかなり小柄で華奢なのだが、これでも二児の母親なのだそうだ。


 そしてイヴリンは今日、この伯爵夫人アリスのサロンへと招かれた。父男爵を通じ、昨日いきなり招待状が渡されたのである。面識はあのロイヤルオペラハウスで会った一度きりで、とても急な誘いだ。父親によると、アリスのサロンに招かれるのは社交界でも特別なことだそうで、ぜひ行ってこいと勧められた。


(でもどうしていきなり? この前だって直接しゃべってないのに)


 理由もよくわからず招かれたイヴリンは、困惑しながら少女たちの中へと進み入る。


 他の娘たちの紹介はアリス自身が行ってくれた。侯爵令嬢ミルドレッド、伯爵令嬢ソフィー、どこかの銀行家の令嬢エルシーにジュリアの姉妹などなど。珍しいところでは、さる王家の血を引くという姫君までいた。中にはイヴリンが元から知った顔もある。


「あら、ミス・イヴリン。最近会いませんでしたわね」

「ごきげんよう、レディー・ソフィー。そうでしたかしら」


 知った顔のうちのひとりと、お互いの正式な称号付きで呼び合う。伯爵以上の貴族の娘は「レディー」をつけて呼ばれるが、子爵以下は平民と同じく「ミス」だ。わざわざそれで呼んだソフィーは、格が違うと言いたげだった。


「わたくし、あなたはてっきり田舎に帰ったものと思っていましたのよ。違ったの?」

「ソフィーったら、急ぎ過ぎだわ。話はイヴリンが座った後でいいでしょう。こっちに来てちょうだい」


 お茶会の女主人はそう言うと、手招きし、みずからが座る長椅子へとイヴリンを呼び寄せた。使っていない茶器を手に取り、お茶を淹れて渡してくれる。にっこり笑いながら。


「ありがとうございます。……」


 礼を言って受け取るイヴリンだが、それ以上何を言えばいいのか。何のために今日呼ばれたのか、少なくともひとつは心当たりがある。しかしいきなりその話を出していいものなのか。


「――ねえ、ケイティ。それはマージョリーの店のドレスじゃない? とてもかわいいわ」


 するとアリスは、まったく別の話題を出して別の少女に話しかけた。『マージョリーの店』という名前はイヴリンも知っていた。腕が良いと評判のドレスメーカーで、最先端の型でドレスを作ってくれるという。値段の問題があり、イヴリンは行ったこともないが。


 そこではっと気づく。他の少女たちのドレスは、アリスの物もふくめてみな流行の形だ。高価なレースやリボンをふんだんに使い、色も型も洗練されていて、優雅な彼女たちによく似合っている。


 褒められた少女は頬を染めて喜んだ。


「そうですか? わあ嬉しい、アリス様からお褒めの言葉をいただけたわ!」

「ふ、ふん。ねえアリス様、わたくしのはいかが? パリで誂えましたのよ」

「ソフィーのも気に入ったわ。明るい水色がよく似合っていてよ。よかったわねえ、どなたにパリまで連れて行ってもらったの? お父様? それともあの有名なお兄様かしら?」

「お母様ですわ。妹たちも一緒で、面倒みないといけなくてとってもつまらなかったんですけど。でも我慢したら、ドレスを一着作ってくれるっていう約束だったの」


 自慢げにソフィーが言うと、今度はうす黄色のモスリンドレスの侯爵令嬢が参戦する。


「一着だけですって? わたしなんて今年で三着は作ったわよ!」

「あら。わたくしなんて昼用と夜用で二着ずつよ。それでも足りないくらいだけど。昨日なんて帽子を二つも買っちゃったわ!」


 他の少女たちも加わり、どこの店がいいとか、ああだこうだとおしゃべりする。華麗な部屋の風景と彼女たちの装いのお陰で、伯爵夫人のサロンはとても華やかな空間となる。


「……」


 だがその中で、イヴリンはほとんど話に加われない。


 お古のドレスをどう直して着続けるかという話なら乗れる。しかしアリスたちの話題は新しく作りたいドレスをどこで作るかとか、それをどう親にねだるかに集中している。パリで作るのがみんなの共通の願いらしいが、センスの良い侍女に任せるのもまた良いらしい。そしてアリスはアリスで、彼女たちに着こなしの助言をしたりしている。


「イヴリン、あなたのドレスはどこで作ったの?」


 そこで問いかけてきたのは、銀行家の娘だというエルシーだ。ずいぶん裕福らしく、四着作っても足りないと話していた。 


 気は進まないが答えないわけにもいかない。飾り気のない白のサージのドレス。これはもともと亡き母が戸外で遊ぶ時用に作った代物だった。動きやすいが、シンプル過ぎてここではとても浮いていた。


「たぶん侍女に作らせたんじゃないかと。これは母の物ですから」

「お母様の!? あらまあ、どうりで」


 どうりで、の後に何と続いたのかはわからない。高く甘いアリスの声が、エルシーの口をぴしゃりと封じたため。


「エルシー、よしなさいな。イヴリンが可哀想じゃないの。ただでさえお古のドレスなんてひどい物を着せられているのよ? そういうことを尋ねては作法に反するわ」

「はあい。悪かったわ、イヴリン」

「……いえ」

「お気の毒ね」


 他の少女からはイヴリンのドレスへ、同情の視線が寄せられる。

 いたたまれない。イヴリンは、自分の顔が赤くなるのを感じた。


 話題を変えなければと思ったのだろう。ケイティと呼ばれていた某王族の姫君が言う。


「それにしてもアリス様はお優しいわ。わたくしは言われなければ気づきませんでしたもの」

「ねえ。素晴らしい方よね、さすが社交界の華と呼ばれるお方は違うわ」


 美しいサロンの女主人へと、少女たちが憧れのまなざしを注ぐ。そんな視線を浴びる当のアリスは、可愛らしくはにかむ。


「よしてちょうだい。昔のことだわ」

「昔だなんて。フラドック侯爵令嬢アリス様といえば、みんなの憧れの女性だったんでしょう。アリス様の結婚が決まったときは、社交界じゅうの独身男性がみんな失恋したって」

「みんな、なんて大げさよ。がっかりさせてしまった方は何人かいるけれど」

「まあ! じゃあ一週間に三度も求婚を受けたって本当ですか!?」

「そうねえ……そんなこともあったかしら。でも昔の話よ。だって今のわたしには夫と子どもが一番大事なの。愛する夫と可愛い子ども、この世にそれ以上望むものがあって?」


 深くうなずきながら語るアリスは、本当に幸せそうだ。円満な夫婦生活と子どもにも恵まれ、幸福の絶頂にいるとでも言いたげな。


「素敵だわ……。いいな、わたくしもいつか結婚したら、アリス様みたいになりたいです」


 そんな伯爵夫人の様子に、少女たちはますます憧れるらしい。偶然だろうが、本人とイヴリン以外の全員が同時にため息をついた。


 イヴリンは内心で思う。

 

(この集まりって……)


 このサロンはアリスを褒め称えるためあるのだろうか。優雅で美しく、さらには裕福な貴族の夫まで得ている。ドレスやアクセサリーの合わせ方のセンスもよく、パリの流行にも詳しいようだ。確かに憧れるだけの価値はある。


 それはよくわかったが、イヴリンはついて行けない。一緒に褒め称えようにも、アリスのことをよく知らなかった。本物の社交界の華だったらしいが、聞いたことがない気がする。その理由というのが――。


「アリス様はインドにはどのくらいいらしたんですか?」


 先日会った時の会話を思い出し、尋ねたイヴリン。伯爵がインドに赴任していて、今年春先に戻ったばかりだから知らなかったのだろうと思い出す。だが尋ねられたアリスの反応は驚くべきものだった。


「……さあね」


 ひとこと、冷たく言い返された。さらにアリスは追い打ちをかけるように告げる。今までの微笑みとはうって変わって、氷のような視線を投げながら。


「インドのことは思い出させないいただけるかしら? ミス・イヴリン」

「え? は、はい。……失礼しました」


 失敗だったようだ。何がまずかったのかわからないが、あまりに険しい返答だったので思わず謝る。何か嫌な思い出でもあるのか、触れてはいけないところだったようだ。


 寸の間、気まずい空気が流れる。少女たちのおしゃべりも止まり、イヴリンには無言の非難に感じられた。こういう空気を消せるのはこの場の主役だけである。許すようにアリスは言った。


「いいのよ。――あら、ちっともお菓子を食べていないわね、イヴリン。お口に合わないかしら?」

「とんでもない。とてもその、美味しそうですわ」

「なら召し上がって」


 低いテーブルには、銀のお皿にお菓子類が並んでいる。手袋のまま軽くつまめるビスケットやショートブレッドもあったが、イヴリンはあえて小さなパイを選んだ。油で手袋を汚さないよう、さりげなくそれを外す。アリスが今日自分を呼んだのは、これが理由ではないかと思いながら。


「――あら! その指輪は」


 反応はすぐに起こった。しかし予想していた相手からではない。

 イヴリンの左手の指輪に真っ先に気付いたのはソフィーだ。目を丸くしている。


「ミス・イヴリン!? どうしたの、その指輪は!」

「婚約指輪ですわ。わたくし、婚約しましたの」

「婚約? いったいどなたと」


 一度アリスに目を向けてから答えた。どう反応するか気になったのだが、別段、顔色を変えた様子はない。すでに相手を知っているからか。


「ランバート子爵、ウィリアム様と」

「うそ!」


 ソフィーはよほどショックを受けたのか、淑女らしい嗜みを忘れて強く否定する。ちなみに彼女は、以前イヴリンとウィリアムが出会った舞踏会で『社交界の女王』の陰口を叩いていた少女のひとりである。

 そんなソフィーをケイティが笑う。


「いやだ、ソフィーったら知らないの? わたくしは聞いたことがあってよ、噂ですけれど。ねえアリス様」

「そうらしいわね」


 指輪のエメラルドを見ても、アリスは特に表情を変えない。指輪に見覚えはなさそうだ。人違いだったのかしらとイヴリンは首をかしげたが、そんな彼女にアリスは微笑みかける。


「彼ってとても優しいでしょう、昔からよ。わたしとウィリアムは遠縁で、幼馴染なの。一番の仲良しだったわ」

「そうだったんですか? 子爵とアリス様は遊び相手でしたの?」


 その告白を聞いて問い返したのはエルシーだ。憧れの貴婦人の少女時代がどんなものか、気になるらしい。


「ええ。小さい頃はいつも一緒に遊んだわ。優しいし、楽しい人でしょう? 一緒にいると時間を忘れたわ」

「もしかして……実は初恋の人だったりして?」

「まあ、エルシー。違うわよ、兄みたいなものだから。だって彼ったら、なんでもわがままを聞いてくれるんですもの。でもそうね、大好きだったのは本当ね。今ではそう思うわ」


 伯爵夫人は、小さい頃の思い出を愛おしむように語る。すてき、となぜかエルシーがはしゃいでいる。

 次はケイティが口を挟んだ。


「でも驚きましたわよね。ランバート子爵と言えば、独身主義で有名でしたのに。他にもいろいろ噂はお聞きしてましたし、絶対に結婚しないんだと思っていましたわ」

「……そうね」

「ねえ、イヴリン。気になるわ、教えて下さらない。いったいどうやって彼を捕まえたの?」

「え……捕まえたって」


 ケイティの質問はいっそ無邪気なほどで、イヴリンはとっさに言葉に詰まる。まさかあからさまにこんなことを尋ねられようとは、思いもよらなかった。


「それはたまたま」

「偶然出会ったの? それでその後どうしたの?」

「それで、その」

「どちらから言い寄ったんですの? あなたから?」


 たまたま出会って茶番に付き合って命を救って今は偽装婚約していますと、ありのままを語ったらどうなるか。ちょっと知りたいとは思った。しかしできるはずない。


「……彼のほうから。申し込みを」

「本当に? 信じられないわ」


 さすがに唖然とした。「信じられない」とは、あんまりな言われようだ。


 大きな声でそう言ったアリスを、イヴリンはまじまじと見つめてしまう。これには他の少女たちも驚いたらしく、全員がアリスを見る。本人も自分の失言に気付いたのか、取り繕うように笑う。


「だって昔からああなんですもの、ウィリアムは。楽しい人だけど、あまり物事を真剣に考えないのよね。わたしは綺麗な女の子なら誰でも好きよ、だからイヴリンに幸せになってほしいと思うわ。あなたが後悔しないよう、よく考えた方がいいと思って。結婚してからでは遅いのよ?」

「後悔、と言いますと」

「わたしからは言えないわ。でも……そうね。夫が毎晩どこのベッドで眠っているか、年中悩んで苦しんでいる友達を知っているわ。あれこそ最低の結婚よね。

さ、この話はこれでおしまい。そろそそお芝居の相談をしましょうか、チャリティの」


 ずどんと落とし込むような発言を最後に、アリスはむりやり話題を切り上げた。そしてこのサロンで今度開くという、素人芝居の打ち合わせを始めてしまう。慈善事業だそうだ。


 しかしそのイヴリンをその芝居の仲間に入れるつもりはないらしく、彼女はぽつんと話題から取り残された。


(……いいんだけど)


 ウィリアムの所業について、何を聞かされても構わない。偽装だから。だが。


(最低の結婚って)


 ウィリアムが最低の夫だと言わんばかりだ。ここまでくるとイヴリンも察する。少なくともアリスには、幼馴染の結婚を祝福する気持ちはないらしい。内心ヒヤリとする。


 そして。




 伯爵夫人の豪奢な居間にはひとつ、仕掛けがあった。壁の一方にかけられた大きな鏡は実はマジックミラーになっていて、隣の部屋からこの居間が見えるのだ。その隣室には、美しい少女たちが気ままにおしゃべりする光景を、興味を持って覗く人間が一人だけいた。


「――思った通り、なかなかの美しさだ。『社交界の女王』などと呼ばれているから、ただの思い上がりの田舎娘かと思っていたが」


 仕掛けのことなど何も知らず、語り合う令嬢たち。観察者の視線はそのうちの、金髪緑眼の娘に向けられていた。ブラント男爵令嬢を観察する男は、酷薄そうな笑みを浮かべる。

 

「気に入った。悪く思うなよ、ランバート」




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