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魔人になった俺の道  作者: クロッキー
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第九話

鳥を潰してから10分後、ギウスとシグマは先ほどの駆け足ではなく、本格的に走っていた。

理由は辺りが本格的に暗くなってきたためだ。

この世界に来てから何時間か経っている。そして来た時の時間は恐らく昼時だろう。

そのため暗くなる事は当然であった。


「やばいな、早くしないと他の魔物達が出てくるな。」


この世界には当然夜行性の生き物はいる。それは魔物にも該当することだ。

そのような生き物たちは基本的に凶暴で手強い。

さっきから魔物との連戦と駆け足で移動していたギウスは多少なりとも疲労しておりそれに腹も空いている。

今戦闘をしようとは思わなかった。


ちなみにスパイラルドリルと遭遇したのは、ほぼ反射的に倒していたので対して疲れておらず、これにはカウントされていなかった。


そして、それはエンシェントゴーレムであるシグマと同じで、


「ハイ。ワタシモハヤクデナイトマズイデス。ネンリョウノマセキガナクナリソウデス。」


と訴えてくる。

エンシェントゴーレムは今のゴーレムとは違って魔石を燃料として動く。

勿論その燃料が無くなれば動けなくなる。

そうなったときはアイテムリングに入れて動かせばいいが、


(シグマがいなくなったら魔物が出てきたら少し難しいかも知れないな。)


ヴィシャスウルフもタンクタートルもシグマがいるから簡単に倒せた。

勿論一人でも負けなかっただろうが、怪我をしていたかも知れない。

そうなれば次に魔物と戦う時は厳しいだろう。


(そうならないためにも早く森を出ないと。)


幸い後もう少しで森を出る。

そうすれば一応ではあるが休むことが出来、尚且つ自分の食事とシグマの燃料補給をする事が出来る。

勿論すぐに休むところが見つかるとは思わないが、森にいるよりも大分楽になるだろう。


「んじゃ、もう少しペースを上げて───」


そうシグマに話しかけようとしたとき、

バキバキバキッ!!!!

突然木が倒れる音が隣からしてきた。


「うおっっ!!」


すんでのところで前方に回避し、そのまま走る。

横に回避すれば木の直撃を間違いなく喰らっていたからだ。

そして木を倒した存在に目もくれず走る。そしてシグマに、


「このまま走れ!先に森を抜ける!!」


「リョウカイ!」


と命令し、先程よりもペースを上げて走って行く。

理由は、ここら辺が木は少なくなったが、地面から飛びでている石や岩、そして背の高い草が原因だろう。

ギウスはまだ良いかもしれないが、シグマの持っている武器は槍だ。先程までの戦闘は木はあったものの全て開けた所で行われていたので問題は無かったが、そのようなたくさんの突起物が多いところで戦闘をするのは難しい。

そしてギウスは良いかもとは言ったが、ギウスは自分の腰辺りに生えている尻尾が邪魔をする。

下手に動けば尾が岩などに辺り動きを妨げてしまう。

最もその岩は砕けるが。

勿論無茶をすれば戦闘する事は出来るが、今はシグマの燃料の問題があり、あまりしたくはなかった。

そのための行為だ。


走っている間に、


「ボァァァ!」


と鳴き声がし、何かが走る音が後方から響いてくる。恐らくはこちらを追ってきている。

ギウスは内心舌打ちを支度なる気持ちを抑えた。

本当は戦闘をせず、逃げ切れれば最善と思っていたがこちらを追ってくるというのは殆ど必然であろう。

魔物が腹が空いているときに目の前に現れたご馳走を逃がすわけが無いのだから。


そのまま走り続けて数分、


「ソロソロデレマス!」


後ろから追いかけてくる者の鳴き声を聞きながら逃げていると前方が開けていき、それが森の出口に近いとこちらに認識させる。

そして今森を抜ける!!そう思ったとき、


「ブモォォォ!!!」


とつい先程よりも大きく、また威圧が増した鳴き声が聞こえ、同時に木が倒れてきたときよりも冷たいものが背中に走る。

ほぼ反射的に横に跳ぶ。


ズドオォォン!!


突如何か大きい物がついさっきまでギウスがいたところに直撃し、近くにいたシグマと躱したギウスが衝撃波によって吹き飛ばされる。


「ぐうっ」


吹き飛ばされたときの衝撃と軽い痛みによって呻き声を上げるもののすぐに空中で体勢を立て直し着地する。

かなり無理のある体勢で普通は戻すのに難しい状態だったが、この体の身体能力と翼があってからこそ出来たことだった。


シグマの方を見るが何の問題も無く着地していた。

それに安心し、こちらを先程までの追いかけ、攻撃した存在に目を向ける。

まず目に入ったのは大きな斧、それは見るからに切れ味は良さそうだが、何より破壊力の高さを連想させる。その証拠に地面が割れ、隆起している。

そして巨大な人のような体を確認できる。大体3メートルちょい位だろう。

そしてその体は黒い色を発しており、腕には灰色の刺々しいタトゥーのようなのが見える。そして筋骨隆々で、またそいつは上半身は裸で着ている物は腰にある何かの毛皮のような物のみだ。

またその腰からは牛の尾が生えている。

頭部はこれは闘牛のような顔をしており、口には人のような歯をしており、犬歯が特に鋭く肉食の生き物のようで、額から生える角は二本でタンクタートルの角より立派で頑丈さ、または破壊力を上回るように見える。

全体的にはタンクタートルよりも小さいが恐らくタンクタートルよりも強いだろう。

その魔物は前世でも神話等に出てくるとある生物に似ていた。


「ミノタウロス?」


ギウスがそう呟くと、


「イエ、ソノジョウイシュノ『アークミノタウロス』デス。」


シグマがそう訂正してきた。


『アークミノタウロス』

ランクBの非常に強力な魔物。

手に持つ斧は魔道具化しており、非常に強力で鉄でできたフルプレートアーマーも紙のように引き裂く。

またアークミノタウロス自体も力は凄まじく、人くらいなら片手で簡単に握り潰す。そしてその筋肉は半端な攻撃であれば容易に弾く。

魔力も通常のミノタウロスよりも多くそれを使いこなす。

しかし魔法は自身への強化魔法しか使えない。

ただそれでも強化されるのは変わらず倒すのは厳しくなる。

雑食で大食らいでなんでも食べる。

これらのことから第一級危険生物として発見され次第即急な対処を要求される。

腸以外は全て素材として扱われる。


「これ・・・勝てるか?」


「ワカリマセン。デモタオサナケレバズットオッテクルトオモイマス。」


ギウスの呟きにシグマが答える。

確かにここで倒さなければ絶対に追ってくるだろう。

逃げて振り切れる可能性は低いし、ずっと逃げているとシグマの燃料が補給出来ず、動かなくなるだろう。

そうなればこの世界に来たばかりのギウスではこいつを相手にするのは難しかった。

また、アークミノタウロスも逃がす気は無く、このまま追い続けようと思っていた。


その状況でシグマに聞く。


「後どれ位動ける?」


「ダイタイアト10プンクライデス。」


そう言われて、死鉤(クロー)を構えながらギウスは決めた。


「こいつを倒そう。恐らくこのまま逃げても逃げ切れない。それにあいつも逃がす気は無いらしいし、あの斧も欲しいしな。」


ここで軽くジョークを言い、戦闘に集中する。

相手がやる気だと気づいたのだろう。


「モオオオオオオ!!!」


どこまでも響きそうな声を上げてアークミノタウロスは斧を振りかざし、叩きつける。

それにシグマが割り込み、盾を構え、ぶつかる。

それと同時に盾の能力が発動し、


「グモゥ!?」


アークミノタウロスの腕が上へ弾かれる。

しかし、そこまでダメージは受けていない。

もともとミノタウロスは物理攻撃に強く、そのため衝撃にも強い。

確かに衝撃は大きかったが、アークミノタウロスにとっては耐えられる衝撃だった。

しかし隙を作ることは成功し、


「うおお!」


そこにギウスの右手の死鉤が襲いかかっていき────────


とても長くなりそうなので、アークミノタウロス戦は次回に引き続けさせていただきます。

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