第三話
バリ━━━━━━━━ン!!
瞼を開ける前に鋭く大きな音が響いた。
周囲を見ると、何かの遺跡のようだ。そして辺りには何かの結晶が散らばっていた。
(何があった?)
そう思い、記憶を探る。
あの男の言うとおりであれば、俺の記憶の中にあいつの記憶があるらしいからだ。
記憶を探ること数分、
(これか。)
ついにそれらしき記憶を見つけた。
あの結晶は、俺の今の体を封印するための術の媒体らしい。かなり高度な術式の為か、この結晶もとても高価な代物だとか。
記憶ではだいたい戦闘機3台分か?
これでここはよくある転生後のファンタジー系の世界だと分かった。
というか何で封印されてるんだよ。
そう思い、もう少し探る。
すると、何か細長い黒いものが目の前に現れた。
「ん?蛇か?」
そう思いよく見ると、それは鱗の類は一切無く、とても滑らかな、そしてつるっとしている印象を与える。
そして先端は針のように鋭くなっている。
また、よく見ればそれは二本、俺の視線の右と左に位置している事に気がついた。
しかも、両方が頭らしきものでは無く、鋭い先端が視界に入っている。
「どうなっているんだ?」
そう思い、それに触る。すると、
「うおっ!」
触った瞬間に驚き離す。
何故ならその細長い謎の物体は触ると、そこに触られたような感覚が鈍くではあるが伝わってきたからだ。
そしてもう一度触る。
「やっぱりだ・・・」
やはり触った感覚がその細長い物体から伝わってきた。
そうだと分かった途端に後ろを見る。
すると、何かの大きな黒い翼が・・・・
「えっ!?」
そう思いもう一度見た。
何しろ黒い翼が背中から生えているし、その細長い物体も背中から生えていたからだ。
そしてよく見れば長く、そして太い何か・・・いや、何かでは無く鱗らしきもので覆われていた尻尾が生えていたし、額に触ると何か固いもの、恐らくあの男に生えていた角があった。
「なるほど、封印されていた理由はこれか。」
そりゃ封印されるな。
浩介はそう思った。
恐らく俺はよくある魔人になったのだろう。
名前は、カリギュリウスというらしい。
俺の知っている魔人は人間にとっては悪であり、滅ぼす対象となっているという印象だ。
それに俺の前の奴はやはり色々暴れたらしい。
国を滅ぼしたりとか国を滅ぼしたりとか国を滅ぼしたりとか。
・・・なんか凄いな。
というか前の俺の体大丈夫かな?
とりあえず記憶を探る。
え?魔道具を用意してある?
何それ欲しい。
とりあえずある場所を探す。
この遺跡のどこかに扉があるからその奥にあるらしい。
「どこだ?」
扉を探し10分、ようやく扉を見つけた。
そこには石で出来ている?扉があり、普通の人ならすぐに入れるだろう。
しかし浩介は、
(・・・何とか入れるかな?)
そう思っていた。
何しろ背中から生えている翼が俺の体をすっぽりと覆うくらいに大きいからだ。
しかも羽根とかはナイフみたいになっており、めちゃくちゃ硬いからだ。
もしかしたら引っかかるかも?
そう思いながら扉をくぐる。
何とか通った。
よく見ると羽根が当たった所がえぐれている。そこには金属のようなものもあった。
かなり威力があるようだ。
(こりゃ要注意だな。)
そう思い奥に進んでいく。
そしてすぐに広間に出た。すると、
「倉庫・・・か?」
浩介はつい呟いた。
しかし呟いた理由が、思ったよりもでかかったからだ。
例えるのであれば、格納庫が近いだろう。
そう思わせる理由に、奥の方では何かの大きな物体、前世でいう戦車のようなものが見え隠れしているからだ。
なんかほんとに使ってもいいのかとは思ったが、
「とりあえずここで何か探すか。」
あいつが本当に用意したのか、たまたまあったのかは分からないが、とりあえず気に入ったものを手に入れようと思った。
とりあえずあいつの記憶を探る。
この世界に来たばかりの俺は何がいいのか分からないが、あいつだったら何か良い物を知っているだろうと思ったからだ。
そして、それを便りに一つの指輪を見つけた。
派手な装飾は一切無いが、色が何の色も混ざっていない銀色で、よく見ると字のようなものがある。
『アイテムリング』
それがこの指輪の名前だった。
効果は単純で、これに魔力を通しながらものに触れると、道具を収納でき、いつでも出すことが出来るというものだ。
因みに制限は無い。
それと、1回魔力を通せば、その魔力の持ち主以外は使うことができず、そして逆にその魔力によって相手を焼き殺すというとんでもない効果だ。
しかも灰となって。
(なかなかえげつないな。)
そう思いながら魔力を通す。
魔力の通し方はあいつの記憶を便りにしてできた。また、ここの魔道具は全て持ち主がいないため、使っても大丈夫らしい。
そのためすぐに登録することができた。
そしてアイテムリングを指にはめる。・・・左手の薬指にははめていない。
そして他の物を探す。
そして、1着のローブを見つける。
『神喰狼の護り着』
それがこのローブの名前だ。
この世界で生きる生物の頂点に位置する狼、神喰狼の毛と皮、そして砕いた魔石を使って仕立てられたローブだ。
魔石とは魔物の体内の心臓に一個だけ存在する力の源、コアのようなものだ。
効果は、魔法攻撃、物理攻撃によるダメージを殆ど無くすという遮断能力ともともとの神喰狼の特性のどんな環境でも過ごせるという効果、そして受けた攻撃の威力の3割を2割の確率で跳ね返すカウンター効果だ。
なんか魔王が着ていそうだな。
でも翼があるからカウンターいるかな?
そう思いながら魔力を通し・・・いや、これは素材そのものの効果なので通す必要は無い。通り抜ける効果は他の素材による効果だが、それも外の魔力を吸って作動している。盗まれても防衛効果は無いが。
次の物を探す。
と、そこで気になった。
(俺、これ着れるのか?)
かなり大切な事に気づいた。
何しろ俺をすっぽりと覆えるくらい大きな翼である。普通であれば入るどころか通りもしないだろう。
そう思い、記憶を探る。すると、
「あ、なんだ。」
ついそう呟いてしまった。
だってこれ伸縮可能で、しかも持ち主の体の形に合わせて形状が変化することもできるらしい。だから翼があってもそれを袖を通すかのように通すことが出来るとのこと。
しかも出るべき所はちゃんと通り抜けてじゃまにならないというどうしてそうなるのか分からない凄い効果があった。
だから翼とかもちゃんと通り抜けて使えるだろう。
「悩まなくてもよかったな。というか、何でもありだな。」
そう思い、
『ベヒモスの崩靴』
次はこれだ。
効果は、どんな悪路でも進むことができるのと、足技の威力を2割上昇させるのと、敵の足場を破壊するといものだ。
ただ、足場を破壊するともう一度使うのに一日待たなければならないらしい。
「なんかこれが普通かな?」
さっきまでが凄すぎたので何だかこれが普通に見える。
とりあえずこれにも魔力を通して次のを探す。
5分程探して見つけた。
『偽装の腕輪』
これはそれを装備している者の姿を普通の人間と同じにし、装備している物の価値も特になんでもない物にするという素晴らしい物。
だってこの姿じゃ他の人に怖がられるじゃん。
そう思いながら装着する。するとみるみるうちに翼や角、尾、触手みたいのは消え、自分では見えないが特になんでもなくなった。
「これは・・・凄いな。」
そう思ったとき、
「でもこれをしてると翼とかは使えないのか。」
ということに気がついた。
当たり前である。無い物は使えない。
あいつの記憶によるとあの翼とかものすごく使えるだとか。
(じゃあこれはもう少し後に装備するか。)
そして腕輪を外し、元の姿に戻ったのを確認して、
(でも、例えば町とかに行ったときに凄く不便だな。)
そう思うと少し憂鬱になった。
10分程経ち、気を取り直してもう一度探索を開始した。
なんか装備とかすごいのになってしまいました。