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シリーズ外短編

妹から姉への手紙

作者: 榎本あきな

アラトリウス杯に参加する作品です。

なんとなーくで書いたものなので、なんとなーくで読んでいただけると嬉しいです。


それでわ↓

 魔の月破の日


 おねえちゃんがイエを出てから いちしゅうかんがたちました。

 わたしは元きにやってます。

 おねえちゃんの方はどうですか?


 ベンキョウをしにイエを出たとききましたが じゆんちょうですか?

 おねえちゃんにはわるいけど はやくベンキョウが終ってほしいです。

 それで はやくかえてきてほしいです。


 大好きなおねえちゃんへ


***

 破の月亡の日


 いつも、おとうさんがよんでるむずかしいカミのたばを、ないしょでよんでます。

 でも、おねえちゃんはどこにものってないです。

 やっぱり、ちょっとでいいから、おねえちゃんを見たいです。


     さびしいです。


 私のおねえちゃんへ


***

 亡の月碌の日


 このまえ、おとうさんに見つかりました。

 おこられたけど、おねえちゃんのいるところのしんぶんをとりよせてくれました。

 いっぱいのしんぶんの中をさがしたら、おねえちゃんの名がちっちゃくありました。


 なにかの位みたいで、きいたら、「上からべんきょうでよかった人から位がつくやつだよ」と言ってました。

 おねえちゃんは1ばん上だから、とってもよかったんだね!

 おねえちゃんがうれしかったら、私もうれしい。それは、とおくにいてもかわらないよ。

 がんばってね。


 がんばりやなおねえちゃんへ


***

 碌の月拒の日


 きのう、おかあさんにいわれたの。

 「おねえちゃんのことはわすれなさい。カセになるから」

 おねえちゃん?カセってなに?私は、わすれなきゃいけないの?おねえちゃんのことを?


 ヤダよヤダよ!わすれるなんてイヤだ。

 だって、おねえちゃんはたった1人の私のおねえちゃんなんだから。


 だからおねえちゃんも、私の事、わすれちゃやーよ?


 たった1人のおねえちゃんへ


***

 拒の月夜の日


 この前、お姉ちゃんのいるまちで、たいへんな事がおきたと聞きました。

 お姉ちゃんはだいじょうぶですか?

 私は、それがとてもしんぱいです。


 だって、お姉ちゃんはたにんのために自分をギセイにする人だから。

 お姉ちゃんが出て行ったのだって、かぞくのためなんでしょ?


 私、もう知ってるんだから。文字だっておしえてもらって、かしこくなった。

 お姉ちゃんと同い年になって、りかい力も上がった。

 もう、お姉ちゃんに『不幸』な思いはさせないよ。


 でも、お姉ちゃんを『幸せ』にするには、まだまだ時間が足りないの。

 だから、もうちょっとまってね。


 『不幸』なお姉ちゃんへ


***

 夜の月惨の日


 お姉ちゃん、卒業、おめでとう。

 私は今、とっても嬉しいよ。


 結局、お姉ちゃんの卒業の姿も見れなかったし、今の今まで、会えていないけれど。

 それでも私は、お姉ちゃんが変わらず、大好きだよ。


 帰ってきてほしいとも思うけれども、まだお姉ちゃんと会うには、私の時間がまだ足りないの。

 だから、もうちょっと待ってて。

 絶対、後悔はさせない。


 それまでお姉ちゃんは、楽しんで、幸せになっていて。

 最後に私が、お姉ちゃんに最高の幸せを用意してあげるから。

 だから まってて。


 卒業したお姉ちゃんへ


***

 惨の月逃の日


 勇者様が召喚されたらしいね。新聞で見たよ。


 結構かっこいい人だったね。

 「恋のハーレム!?」って書いてあったから、お姉ちゃんはああいう人が好みなのかな?

 お姉ちゃんとずっと話してないから、今の私じゃわからないや。


 そういえば、お姉ちゃんも勇者一行に選ばれたんだね。

 いつか、私の所にも来る時が来るのかな?


 ……いや、たぶん来るんだろうね。魔物退治の旅だもの。全部周らなきゃ、意味がない。

 お姉ちゃんがここに来るのは、2年後かな?5年後かな?それとも……もっと遅く?速く?

 私にはわからない。けれど……


 私はずっと、勇者一行じゃなくて、お姉ちゃんとしての帰りを、待ってるから。


 魔法使いなお姉ちゃんへ


***

 壱の月零の日


 お姉ちゃん!この前怪我したって新聞に書いてあったけど、本当!?

 本当なら、今すぐそばに行きたい。


 けど、私は、お姉ちゃんが今どこにいるのかすらもわからない。

 新聞には、そこまで書いてないし。


 とても歯がゆい。

 ……妹なのに、大切なときに傍に入れないなんて、妹失格だね。

 でも、もう少しだけ。せめて……お姉ちゃんと会う時まで、私を妹でいさせてください。


 ただの、私のわがままなのだけれど。


 大切なお姉ちゃんへ


***

 零の月妹の日


 今頃、お姉ちゃんはどの辺だろう。

 たぶん、そろそろ魔王城あたりなんじゃないかな。


 もうすぐ最終決戦なんだね。すごいなぁ。お姉ちゃんは。

 私なんか、とってもひ弱で……いつも友達に助けられてばかり。

 お姉ちゃんが勇者一行の一人に選ばれたときと、同じ年だっていうのに。


 やっぱり、姉に勝る妹はいないっていうのは、本当なのかな。

 いや、私だけなのかな。

 でも、それでもいいや。私は、お姉ちゃんに勝ちたくはないもの。





 そろそろ、時間かな。私の所に、お姉ちゃんが来る。

 ずっと、この時を待ってた。お姉ちゃんが来る、この時を。


 会いたかったんだ。本当に。涙が出るくらいに。


 もうすぐ 会えるね お姉ちゃん


 もうすぐ会える、お姉ちゃんへ


***

 妹の月姉の日


 この手紙を書き始めてから、どれくらいたったのかな。

 わからないや。いつも私は、月と日にちしか書いてなかったから。


 ずっと会えなかったけど、お姉ちゃんの様子は、新聞とかでわかったから。

 だから私、寂しかったけど、悲しくはなかったよ。

 だって、いつか、お姉ちゃんに会えるってわかってたから。


 それだけを糧に、私は今を生きてきたの。


 でも、それも今日で終わり。

 お姉ちゃんの幸せのために、私はお姉ちゃんを糧に生きることはできなくなるから。


 それでも、私はいいんだ。

 お姉ちゃんが幸せなら。お姉ちゃんが笑顔なら。……お姉ちゃんが、生きているなら。

 だから、今からお姉ちゃんの元へ会いに行くね。


***


 きれいな洋服を着た少女は、憂いを帯びた瞳で、今まで書いていた紙に、何かを小さく付け足した。

 クルクルと手慣れた仕草で紙を丸めて、紐で縛る。その色は、群青色。


 並べてある紙の束に、これまた同じように、先ほど縛った紙を並べる。

 そして、これまた大事そうに、壊れた懐中時計を眺め、その上に優しく置く。


 そうしてから少女は、髪をなびかせながら扉の方へ振り返り、扉へと手をかざした。

 少女が何かを呟くと、扉のカギ穴が光り、次の瞬間、少女は部屋から消えていた。

 




 五人ほどの人がいる謁見の間に、少女は転移した。

 コンッ……という音を響かせて着地すると、それに敏感に反応した五人が、少女の方を向いた。


「誰だっ!!」


 そのうちの一人……唯一の男であり、身の丈程もある大剣を両手に持った黒髪の青年が、叫んだ。

 それに答える様に、少女は片足を半歩下げ、スカートを摘まんで淑女の礼をする。

 とてもきれいなお辞儀に、五人が警戒を解きかけたとき、少女が言葉を発した。










「初めまして。私、群青の魔法使い様の腹違いの妹であり……魔王で御座います」



















次回予告


「お前は……人間なのかっ!!それとも…………魔物なのか」


―――自身の仲間であるはずの人物を、疑う勇者

―――それを否定する、魔法使いの物悲しい嘆き


「私は今、姉にしか私を殺せない血の盟約魔法を施しました」


―――たった今知った妹か、仲間の信頼と平和か

―――どうしても自分の手柄にしたがる妹である魔王に、姉は疑問を覚えながらも剣を突き立てる


―――仲間から疑心の目を向けられながらも探索した魔王の部屋で、魔法使いは、自分にあてられた手紙を見つける。

―――魔王が書いたと思われる、十の手紙。


「……幸せにしたいなら、生きて、貴方自身が私を幸せにしなさいよぉ……」


―――自分へと届かない手紙を書き続けた妹の、本当の思いと真実を知った姉は、十一通目の手紙を、妹に代わって書き綴る。


次回「姉から妹への手紙」













なんてのは嘘です。はい。

別に続きません。なんとなーく書いたものなので。


ちなみに、設定としては

・妹の母親が先代魔王で、姉の母親が人間。両方の父親が人間で、父親は先代魔王に見初められて、連れて行かれた人。

・父親は、先代魔王に囚われの身。魔王を恨んでいたが、生まれた子供に罪はないと、妹には愛情を注ぐ。その際に、姉の事を教える。

・見知らぬ姉に思いを寄せる妹。もちろん、姉は妹の事なんてこれっぽっちも知らない。

・妹は、届かないと知りながら、姉へと手紙を書く。ちなみに、手紙に出てきた母親は姉の母親。

・姉の母親は、妹が姉を知っているのを知って、「姉の枷になるから、あなたは忘れなさい」という。

・徐々に世界を知って、自分が悪い物だと知ると、平和のために死ぬから、お姉ちゃんが殺してと思う。で、姉が殺せば、名誉や地位が姉のものになり、幸せになると思い込み、そのための布石を打っていた。時間が足りないというのは、そういう意味。



こんな感じですかね。自分でも大雑把に考えていたので、正直よくわかっていません。ま、いっか。


それでわ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 素晴らしいかったです。 短編なのが惜しまれるぐらいに素晴らしいかったです。 [一言] 最後のオチはドナ・バークさんの「HEAVENS DIVIDE」を脳内放送しながら読ませて頂きました。…
[一言] 可愛らしい妹ちゃんだと思っていたら、まさか魔王だったとは! 手紙は最後にきちんと届いたのでよかった、のでしょうか。 とても次回が気になりました。
[一言] サプライズだらけ。心揺れまくり。面白かったです。
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