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首都攻防 前編

-ワシントンD.C-


「おい、あれは何だ?」


市民達も、首都上空に滞空している飛行船団を見る。


「映画の撮影かな?こんな時期に。」



-グラーフ・ツェッペリン3世-


「攻撃開始!!」


トールの命令で、各飛行船が一斉攻撃を始める。飛行戦艦が主砲を放ち、国立アメリカ歴史博物館を破壊した。


「航空機、発艦します。」


飛行空母からは大型爆撃機他、対地攻撃機などが飛び立つ。上空を飛行していることもあり、飛行甲板の幅と長さがある程度あれば大型機でも発艦は可能である。


「V1改を発射しろ。」


「了解しました。」


飛行母艦から、V1改が発射された。高性能炸薬に換装され、誘導性能も向上している。命中率は、現代のミサイルと同レベルである。


「第一目標、全弾命中。」


情報を処理して、報告する。


「次はどうします?V2改に変更しますか?」


「いや。V1改をもう一度放て。降下猟兵は降下用意。」


グラーフ・ツェッペリン3世とヒンデンブルク2世は拡散弾に変更して、砲撃を続ける。飛行母艦『ボーデンゼー』と『ノルトシュテルン』はV1改を再び装填する。


「ワシントン記念塔に向かって発射しろ。」


主砲が旋回し、ワシントン記念塔に狙いを定める。


「撃て!!。」


放たれた主砲弾は、ワシントン記念塔に命中して崩壊させる。




-飛行輸送船『ザクセン』-


「降下部隊、降下開始。」


飛行輸送船の下部ハッチが開き、隊員がパラシュートを使って降下していく。


「どんどん降下させろ。戦える者は全員行く。」


パラシュートで隊員は首都に降下する。重火器なども、パラシュートを取り付けて投下する。




-ホワイトハウス-


「首都が攻撃されている。」


ホワイトハウス、大統領執務室の窓から見える、炎上するアメリカ首都ワシントンD.Cを眺めるアメリカ大統領。


「大戦以来、一度も外国からの攻撃を受けたことが無いこの首都が今、燃えている。」


消防車のサイレン音が聞こえるが、それよりも銃声の音が聞こえる。


「今、首都に他国軍が侵攻したのだな。」


「大統領、ここは危険です。早く、避難を。」


大統領補佐官が大統領へ避難を促す。


「何処に逃げると言うのだ?空は、既に奪われている。地上も、いつ敵に出くわすか分からない。」


「何とか、ポトマック川まで行ければいいのです。そこに、ロサンゼルス級原潜『シャーロット』が待機しております。それを使えば、脱出可能です。」


「潜行できるだけの水深はギリギリだ。爆雷でも落とされたら、沈められる。」


「それでも、脱出はそれしかありません。」


「・・・・仕方が無い。副大統領をはじめとする人間をそれで避難させなさい。」


突然の大統領の発言に、補佐官は戸惑う。


「だ、大統領は?」


「私はここに残る。私は、この強いアメリカの大統領である。私が逃げたら、国民から永久に汚い大統領と言われるだろう。別に、名誉は要らんが、汚名を着たまま死ぬのは御免なのでな。」


「だ、大統領。」


補佐官も、大統領の決意を知る。


「でしたら、私も残ります。」


「ば、馬鹿なことを言うな。残るのは私一人で十分だ。君は、避難したまえ。」


「水臭いですよ。大統領。」


副大統領を含む、アメリカ政府首脳陣全員が入ってくる。


「一人で死なせません、大統領。」


「そうです。どうせ、脱出できる見込みはありませんから。」


「ポトマック川まで行くのは危険でもあるが、近くでもある。君達まで死んだら、一体誰がアメリカを引っ張っていくのだ?」


「私たちを避難させようとしても無駄ですよ。たった今、シャーロットは脱出させましたので。」


副大統領が言う。


「本当に、大馬鹿だな。馬鹿は一生直らんと言うが、なら馬鹿のまま、天国へ行こうじゃないか。」


「お供します。大統領。」


もう、大統領も説得を諦めた。それは、副大統領達も一緒だった。



-グラーフ・ツェッペリン-


「ボーデンゼーより、V2改をホワイトハウスへ撃ち込むか否かで、発信がありましたが。」


トール中将の下に、連絡員が来る。


「いや。ホワイトハウスは兵で落とす。大統領を含む閣僚全員を皆殺しにしろと通達しろ。」


了解ヤボール。」


連絡員は早速トール中将の命令を伝えた。


「艦長、着陸したまえ。占領したロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港に着陸し、私を降ろせ。」


「了解しました。」


「地上での戦闘は終息しておりませんが、中将なら大丈夫でしょう。」


側近の一人がそう言う。


「フン。私を舐めるなと何時も言っているだろう。私は優良人種だぞ。」


「分かっております。」


「でも、死ぬときは死ぬんだよね。」


っと、今まで誰も居なかったトール中将座上の椅子の後ろから、ロキとフェンリルが現れる。


「ロキ。お前は相変わらず口が減らんな。少しはフェンリルみたいに、無口になったらどうだ?」


「え~、だってフェンリル。話しかけても答えてくれない時が多いんだもん。」


「外見は似せれても、中身を似せることは出来なかったか。」


「無理だね。絶対に。それと、僕なりには別に中将は死んでも構わないよ。むしろ、死んでくれた方が僕達にメリットがあるしね。」


ロキは笑みを浮かべながら言う。


「そこのフェンリルは何時も怖いよ。死んだとき、そいつは一番怖い。」


「安心してよ。骨も残さないから。」


ロキは笑みを崩さずに言う。


「・・・・・ロキ、時間。」


「分かってる。じゃ、トール中将。本音を言えば死んで欲しいけど、ここは敢えて。生きて帰ってきてね。」


「そっちを本音にして欲しいよ。」


トールがそう言った時には、ロキとフェンリルは既に居なかった。


「あ、チュール少将の事。聞くの忘れてた。」


トールはすっかり忘れていた自分を悔やんだ。

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