アメリカ本土攻撃
-北米防空司令部-
「この世界規模での攻撃によって、各国の混乱はかつて無いほどの規模を示している。イギリス地域では、黙示録の世界が出現したと騒ぎ出し、首都では暴動も発生しているそうだ。」
北米防空司令部でも、混乱は出ている。今や、落ち着いている国など存在しなかった。
「わが国でも、首都こそ平静を保っているようですが、西海岸などでは一部で暴動が起こっているそうです。フランス地域は早期に戒厳令を発令した為、被害を抑えられたそうです。」
「ドイツ地域ではベルリンを封鎖したそうです。その他、各都市も軍が出動して警備している模様。」
「こちら、第四帝国追従者達。もうじき、目標に到達します。」
『了解。成功を祈る。』
一機のB1がレーダーを掻い潜って低空侵入を行っている。進路上には、北米防空司令部が存在している。
「目標、肉眼で確認。攻撃態勢。」
そのB1の垂直尾翼には、鉤十字が描かれていた。
「投下。」
B1の爆弾倉から、爆弾が次々に投下されていった。
「どうした?何があった?」
突然の揺れに、基地司令官が驚く。
「ば、爆撃です。B1が、基地を爆撃しています。」
「何だと!?」
レーダーなどが破壊され、司令部の建物にも爆弾が降り注ぐ。
「こ、国内に亡霊共を入れたと言うのか?この、アメリカに。」
司令部が完全に破壊され、北米の空の監視は消え去った。
-グラーフ・ツェッペリン3世-
「トール中将、作戦は成功した模様です。レーダー波を探知できなくなりました。」
「フフフ、アメリカは空の守りを地上に任せすぎだ。攻撃部隊を出せ。飛行空母艦隊から、攻撃隊をノーフォークに向かわせろ。」
「了解しました。」
命令を受け、飛行空母艦隊から攻撃隊が発艦した。
「全飛行船はアメリカ合衆国首都、ワシントンD.Cを目指せ。」
-アメリカ国防総省-
「ノーフォーク基地、壊滅。北米防空司令部並びに、各空軍基地とも連絡途絶。」
「たった今、各陸軍基地・州兵基地より正体不明の敵と交戦中との報告あり。」
国防総省では、混乱が更に増した。
「大西洋に展開していた空母艦隊との連絡途絶。もう、何がなんだか分かりません!!。」
「サンディエゴ海軍基地、並びにハワイとも連絡途絶。」
次々と来る悪い報告。そして、これが止めを刺した。
「わ、ワシントンD.C南140km地点を飛んでいる民間機より、緊急連絡。首都へ向かう、謎の飛行船団を確認。」
「ひ、飛行船団だと!?」
「はい。内、2隻は明らかに主砲を積んでいる軍用戦艦だと。」
「一体、このアメリカに何が起こっていると言うのだ。」
-グラーフ・ツェッペリン3世-
「艦長、各飛行船に回線を開け。」
「了解。」
回線を直ちに開いた。トールはマイクを持ち
「諸君、我々は来た。宿敵、アメリカを倒しに来た。大英帝国は既に自国民によって崩壊寸前だ。残るは、アメリカのみ。」
それと共に、各マイクから雄叫びの様な声が聞こえてくる。
「諸君、アメリカの言う正義を潰してやろう。トマス・ジェファーソン記念館は燃やせ。像は倒せ。ホワイトハウス、連邦議会議事堂、ワシントン大聖堂は爆破しろ。各博物館は吹き飛ばせ。」
「第二次世界大戦記念碑他、各戦没者慰霊碑とかはどうします?」
「木っ端微塵にしろ。欠片も残さずにな。」
「了解しました。」
全員が整列して聞いている。
「とにかく、この首都を灰にしてやるのだ。奴等が、ベルリンにしたのと同じように。跡形も残すな。」
首都、ワシントンが見えてくる。少しずつ、形になっていく。夜間と言うことで、明るい。非常に。
「各艦、戦闘用意。諸君、首都を灰にするぞ。焼き尽くし、焼き払うぞ。全てを灰に変えようではないか。建物・・・いや。人っ子一人残さずに首都を消滅させろ。」
主砲が、それぞれの目標を狙い始める。飛行空母からは艦載機が飛び立つ用意に入った。飛行母艦は船体を開いた。そこから現れたのは、V1ロケット。そして、後ろに控えるV2ロケット。
「降下猟兵隊も用意させろ。全員、戦闘体勢だ。私も必要とあらば出る。」
そう言って、トール中将は拳銃を取り出す。いや、拳銃とは形容できない。銃身2mはあるワルサーP38を拳銃とは形容できない。
「では諸君。首都を、灰に変えるぞ。」