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無謀な対策

-皇居-


「それで、太平洋に入ったジェネラル・R・フォードはどうする積りです?進路は完璧に我が国を目指している事は明白です。」


緊急御前会議では、突然現れた謎の軍と、占領されたジェネラル・R・フォードの処遇を検討していた。


「アメリカの声明によりますと、占領されたジェネラル・R・フォードはたった一人の手によって占領されたことが分かりました。また、生存した艦長以下乗組員の証言で、敵は恐ろしい超科学的兵器を保有しているとの事です。」


外務大臣が説明する。


「次に、海軍の意見を申しますと。アメリカのジェネラル・R・フォードの防御火器はかなり優れており、艦艇での接近は困難です。」


その時電話が鳴り、連絡員が取って、話を聞く。


「アメリカが制圧軍を組織し、ハワイからヘリで出撃。制圧軍は、洋上にて撃墜された模様です。」


電話を受けた連絡員が、一同に言う。


「空母の搭載兵器でか?」


「いえ。甲板に居る、たった一人の人間のマスケット銃で迎撃された様です。」


「そ、そんな馬鹿な!?マスケット銃で、ヘリを撃墜だと?」


一同は騒然とする。


「陛下、敵はやはり。」


「恐らくは、報告にあった超科学的兵器。噂は聞いていますが、恐らくは魔弾と呼ばれる銃弾でしょう。実在したとは、予想外ですが。」


高御座(たかみくら)に座っている、今上天皇は言う。


「では、やはり我が国近海で攻撃して沈めるしか。」


「我が国はそれで良くても、空母はアメリカの物。そう易々と沈める訳にはいかないのが、政治の世界です。」


「しかし、我が国安全保障が。」


会議は一向に決まらない。接近する空母、それを迎え撃つ案が決まらない。


「セオリーなら、空母の出動させて総攻撃で撃破。これが、最もいい方法なのですが、沈めずに取り返せとなると難しいものです。」


会議に参加している初瀬が言う。


「ほう?、では良い案があるのですか?斉藤殿。」


「陛下、この空母の処理を。私に一存して頂きたい。必ずや、陛下のご期待に添う結果を齎してみせましょう。」


今上天皇も暫く考える。確かに、今現在有効な攻撃手段が無い。


「必ず、制圧できるのだな?」


「はい。お任せを。」


「そこまで言うなら良かろう。何か、用意する物でもあったら遠慮なく申してくれ。」


「では、航空技術研究所への向かうので。そこの許可を頂きたい。」




「凄いですね。」


初瀬の後ろに三隈が続く。


「陛下にも臆する事も無く発言して。」


「陛下よりも重鎮共だ。陛下はこの国の事を第一に考えるが、重鎮共の何人かはこの国の事を考えず、自分たちの事だけを考えている。そんな連中が、政治家なのだ。この国も駄目になっていく。」


初瀬は早歩き気味だった。


「急ぎます。一分一秒を無駄に出来ないので。」


急いで車に乗り込み、航空技術研究所に向かった。




-航空技術研究所-


空軍大臣から渡された許可証を使って中に入る。別に、身分証明書を使えば入れるのだが、ある機体を使うために発行させた。


「こちらが、ご所望の機体です。」


格納庫の電気を付けると、照らし出されたのはSR-71だった。


「こちらはアメリカ空軍が開発したYFー12Aです。っと言っても。外見は同じですが、中身は別物です。スペースシャトルに使われている特殊強化ガラス、ジェットエンジンを外し、ロケットエンジンに変え、ミサイル搭載機構などを廃止して速度を極限まで上げました。」


研究員が説明していく。


「それで、速度はどの位出ます?」


初瀬は核心に迫る。


「そうですねえ、未だ限界速度まで試しておりませんが。マッハ4は確実に超えます。」


「素晴らしいな。その速度で脱出は?」


「貴方の様な、常人じゃない人なら可能ですよ。」


「常人じゃあ無いとは失礼ですね。」


「マッハ8の実験ロケット飛行機に搭乗して、機体を大破させて無傷で生還した貴方が、常人と言えますか?」


「ちょ、ちょっと運が良かっただけよ。」


研究員と初瀬のやり取りを聞いていて、三隈は唖然としている。


「とにかく、こいつを借りるわよ。たぶん、一生戻ってこないと思うけど。」


そう言って初瀬は格納庫を開けさせる。


「待ってください。こいつは複座機ですよ。もう一人は?」


「そこに居るわよ。」


っと、初瀬がそう言いながら三隈を指差す。


「ええええ!?」


もはや、逃げられない。家の時も、言われてから逃げ出せれる余裕など無かった。今回も。


「な、何で執事さんたちが僕を取り囲んでいるの?」


「逃げない為です。」


(こ、こいつ。可愛い容姿なのに、やる事が酷い。)


もはや、三隈は新聞記者では無くなっていた。



「航続距離はどうするんですか?」


研究員が機体のチェックをしながら言ってくる。


「空中給油機を用意して。ギリギリまで近づいたら、猛スピードで空母の飛行甲板に突っ込む。私と彼は空中で脱出。空母を制圧するわ。」


パイロットスーツに着替え、刀を鞘持ちで左手に持ちながら言う。三隈も、半ば無理やりで着替えさせられた。それに、帯銃もさせられた。


「マッハ4からの脱出なんて、死ぬ。絶対僕は死ぬ。」


「安心しなさい。垂直降下で、全くブレーキを掛けずに降りるから。マッハ5は確実に超すわ。」


「鬼!!。悪魔!!。」


「私の取材許可が下りたことを、後悔するのね。」


「鬼!!。悪魔!!。」


三隈の言葉は、完全に無視されるのだった。




「滑走路、用意完了。全機、離陸用意。」


滑走路には、YFー12A改以外にも、陽動を担当する72式戦闘機が増漕と対艦ミサイルを積んで待機している。


「空中給油機2機とも離陸用意良し。」


後ろに、空中給油機のKC135を実験機空中給油用に改造した機体と、KC46が待機する。


「各機、健闘を祈っている。」


初瀬はそう言い、スロットル全開で滑走し始める。他の機も、それに続いて大空へと舞い上がったのだった。

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