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フィリピンからの撤退

-アパリ-


バブヤン海峡一帯に展開した大和海軍第一主力機動艦隊以下、全12艦隊累計2400隻あまりが参加した大規模撤退戦。後の歴史書に『フィリピン大撤退戦』と記される史上最大の撤退戦であった。


「まだ、敵は来てないわね。」


上陸した初瀬は、戦車の上に立って双眼鏡を覗いている。


「はい。報告では、敵の侵攻を抑えるべく、フィリピン軍が展開して防戦を行っているそうです。」


戦車長が、報告する。耳をすませると、確かに爆音が聞こえてくる。


「戦況はどうなっているか分かる?」


「いえ。ただ、通信途絶が多いので、良くは無いようです。」


初瀬は海岸を見る。ボートやホバークラフトで民間人が揚陸艦や輸送艦などに向かっている。


「攻撃隊が帰還ね。かなり、遣られているけど。」


双眼鏡を見ると、航空援護に向かわせた攻撃隊が煙を吐きながら帰還してくる。


「未帰還機が半分以上とは。楽な戦いでは無さそうね。」


「初瀬中将、民間人の収容を完了しました。」


「了解、輸送船は直ちに退避。他の艦艇も、順次撤退用意に入って。」




-ラル=ロー-


「雑魚ばかりだな。」


例によって、シュバルツ・パンターの通った後は死体と残骸の山である。


「この戦車2台にこのキルレシオ。ちょっと不釣合いじゃないかな、フェンリル?」


「・・・・・」


「ムッ。なあ、フェンリル、答えてくれよ。悲しいんだけど。」


2台のシュバルツ・パンターはアパリ目指して進み続ける。フィリピン軍の装備する大東亜6号戦車、全く歯が立たない。


「戦乙女中将は、一応返事はしてくれるけどね。君、無口すぎる男も嫌われるぞ。」


「・・・・それ以上言うと、喰う。」


赤い目をロキに睨み付け、威嚇する。ロキも、それには身をすくめる位しか出来ない。アパリまで、あと数分の位置に迫っている。



「フィリピン軍は、全滅ね。」


待っても、防戦を行っていたフィリピン軍は戻ってこない。初瀬は、全滅と判断して後退させる。


「艦に戻るわよ。直ぐに用意して。」


初瀬は降りて、待機しているヘリに乗り込む。UH60のライセンスを取得して、国内向けに改造して生産しているUH60J。それを改良して現代でも運用できる様にしたのがUH60J2。


「戦車は早く母艦に戻って。敵が来るわ。」


「了解。」


戦車はエンジンを掛け、ホバークラフトになって水上を走っていく。


「早く上げて。」


初瀬もヘリのパイロットに言い、窓の外を見た。


「あれは?。そう、彼がこの作戦の指揮を執っていたのね。」


窓からは、走っているシュバルツ・パンターがよく見える。そして、それに乗っているロキとフェンリルもはっきり見えた。




「初瀬!!」


ロキは、上昇するヘリを見るなり、M61を構える。


「今度会った時は、殺すと言ったよな!!」


銃身が回転を始め、ロキが狙いを定める。が、


「があっ!!」


狙撃される。M61を落とし、車内に沈んだ。




「命中です。」


甲板には、M700を甲板に固定して構えている三隈が居た。


「すごいです、三隈さん。一発で命中させるなんて。」


横に居る高天原は、双眼鏡で確認する。


「こっちも驚いてる。多少、グアムでクレー射撃とかはやった事あるが、まさか一発で命中させるとは。」


薬莢を排出して、次弾を装填する。


「でも、多分次は外すな。そう何度も、マグレは続かないから。」


スコープを覗いて、もう一台の方を見る。しかし、もう一台のほうは車内に隠れてしまった為に狙えない。そればかりか、


「不味い。砲身が仰角を取り始めた。こっちを狙っている。」


砲身が仰角を刻み始めた光景を、目にする。




「よくも、よくも。」


車内に入ったロキは、射撃照準儀を使って狙いを定める。


「お返しだ。さっきの弾道で、位置は分かっている。甲板ごと、木っ端微塵にしてやる。」


自動装填装置のスイッチを操作し、榴弾を込める。


「発射!!」


2台同時に主砲を放ち、砲弾が弧を描きながら高天原目指して飛翔する。



「退避!!」


甲板では、着艦してきた機を整理していたが、甲板作業士官の合図で作業員たちは散り散りバラバラ。ある者は艦橋内へ。ある者はエレベーターを操作して格納庫内へ退避する。


「命中!!」


榴弾は、甲板に二発とも命中。榴弾の為に甲板は貫通しなかったが、それでも火災が発生する。


「消火急げ!!」


退避した作業員や、応急修理班が出てきて消火活動に当たる。着艦していた機にも被害が出ており、燃料が僅かなので爆発の危険は無いが、それでも今後の使用は不可能だった。



「酷いな。」


艦橋のデッキから、炎上する飛行甲板を見下ろす三隈と高天原は、甲板の惨状を目の当たりにする。


「整理中の航空機の被害が多い。作業員の死傷者は居なかったが、何人かは負傷した。」


「怒ったのかな?」


「多分。」



「着艦は無理ですね。」


ヘリで周回しながら、高天原の様子を見ている初瀬は操縦手が言ってきた言葉を聞く。


「甲板の先の方に着艦して。そこなら、火災が起こっていない。」


「む、無理ですよ。」


「なら、貴方は別の艦に着艦しなさい。」


「あ、貴方はって・・・中将!!」


後ろを見ると、サイドドアを開けてパラシュートを掴んで初瀬は飛び降りていた。




「遣られっ放しで撤退じゃあ、大和海軍の威信に関る。」


高天原は20cm主砲に装填し、狙いを付ける。


「放て!!」


4基の20cm主砲は、攻撃してきた戦車目掛けて発射した。




「来るぞ!!。」


車内に居るロキは、急いで対衝撃姿勢を採る。腕で確りと体を固定し、じっとする。暫くして、辺りに着弾が来て、車内は揺れて、車体はひっくり返った。




数時間後


-高天原-


「消火完了です。」


艦橋に、士官が報告に来た。


「そう、ご苦労様。」


初瀬が報告を受ける。士官は敬礼して、艦橋を立ち去る。


「初瀬中将、無茶でしたよ。あと少しで、火災に呑まれるところでしたから。」


初瀬は、ヘリから飛び降り、同時にパラシュートを開いてヘリの下降気流を見事に乗って直ぐに下降したが、それでも多少風に流され、予想以上に炎に近づいてしまった。途中でパラシュートを外し、ギリギリで甲板に着地しなければ、今頃はパラシュートと同じように燃えていた。


「わ、私は、運が良いのよ。だから、あれ位じゃあ死なない。」


「わ、分かりました。・・・・それにしても、何とか上手く脱出できましたね。先行する輸送船団は、既に敵勢力圏外。本艦隊も、勢力圏外にもうじき到達します。」


「三隈さん、少し長官室に来てください。」


そう言って、初瀬は三隈を長官室へ連れて行く。



-フィリピン-


「・・・・生きてる?」


ひっくり返ったシュバルツ・パンターの下部脱出口から中に入ったフェンリルは、倒れているロキを見つける。


「死んでるなら、食べないと。」


将官野戦服の上着を脱ぎ、腹を出す。


「待ってくれ。まだ、生きてる。」


目を覚ましたロキは、フェンリルを急いで止める。


「まだ、生きてるよ。喰わないでくれ。」


「・・・・早く食べたいのに。」


「え?」


フェンリルは立ち上がり、外に出る。フェンリルの能力をロキは知っている。だから、理由を想像できるが、なんだかんだ言っても仲の良い友を食って力を欲しいとは思えなかった。


「酷いな、フェンリルは。」

作者「幻滅。小説を書き始めて、こんなにも幻滅したことは無い。」


高天原「例の通知?」


作者「うん。作者は断固反対を宣言する。あれでは、二次創作物にも少なからずある表現の自由の侵害だ!!」


高天原「はいはい。分かりました。署名反対運動に参加する意思だけは分かりました。」


作者「もちろん。参加してくれと言われたらやる。幾らなんでも酷すぎる。」


高天原「あまり、事を大きくしないで下さいよ。まだ、私たちの作品には影響ないのですから。」


作者「時間の問題。」


高天原「・・・・長くなりますから、次回の予告を(と、作者にお茶を出しながら言う)。」


作者「(お茶を飲んで)次回は、フィリピン仮政府を国内に作る『両国の奔走』です。・・・・これ、もしかして(お茶を見ながら言う。)。」


高天原「はい。睡眠薬入りです。長い話はちょっと苦手なので。」


作者「ひど・・・・い。zzzzz。」


高天原「お休みなさい。」

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