首都攻防 後編
-ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港-
「では、中将。気を付けて向かってください。」
着陸したグラーフ・ツェッペリン3世から、トール中将は降りる。
「心配は無い。そっちこそ、絶対に墜落させるなよ。」
トールは振り向かずに、部下に命じる。
「了解しました。勿論ですよ、中将。」
見送りに来ている将校全員が直立でナチス式敬礼をする。
「勝利万歳!!。」
「勝利万歳。」
-ホワイトハウス-
「だ、大統領閣下。敵が、どんどん侵入してきます。」
シークレット・サービスをはじめ、ホワイトハウスに残っている者は、女子供関係なく全員が武装して防戦を行っている。
「息子さんも、戦死しました。」
「・・・・・そうか。父親として、立派な息子だと思う。」
大統領は悲しみに暮れるが、直ぐに振り切る。今は、悲しんでなどいられない。
「空軍から、連絡は?」
「何処の基地も、応答しません。今や、国内全てが混乱状態。通信は、役に立ちません。」
「直接行きたいが、行ける状況ではないな。」
「はい。」
突撃隊などが、幾度と無く総攻撃を掛けてバリケードを突破しようとするが、その度に弾幕を張って阻む。
「弾薬にも限りがあります。地下避難用列車も、電気系統が破壊されている為動きません。」
ホワイトハウス地下にある、大統領緊急避難用特別列車。それも、電気が通ってなければ動くことは出来ない。
「最悪は、鉄パイプとか、硬い物を持って突撃覚悟だな。」
大統領は死を覚悟する。
「それも、カッコイイ死に方かもしれませんね。」
「ホワイトハウスは、まだ墜ちないのか?」
玄関前に現れたトール中将は突撃隊員を見て、呆れる。
「ハッ、申し訳ありません。」
「対戦車兵、パンツァーファウストを構えろ。」
トールは武装親衛隊員の対戦車兵に命じる。命令を受け、2人がパンツァーファウストを構える。
「撃て!!」
パンツァーファウストを放った。弾頭は、バリケードに命中して破壊する。
「突撃しろ。」
それを合図に、残り少ない突撃隊員が突入する。
「だ、大統領。破られ、ました。」
難とか中で反撃できているが、時間の問題である。
「敵兵力は不明ですが、だいぶ数は減っているはずです。これを絶えれば。」
その瞬間、話していた側近は頭を撃たれる。
「手を焼かせやがって。なあ、劣等人種。」
最大銃身2mまで伸ばした、ワルサーP38を構えたトール中将は言う。
「負け、犬か。」
執務室にある椅子に座り、トール中将と相対する。
「負け犬には、負け犬の根性ってのがある。」
「フン、理屈は良い。言い残すことがあるなら、聞いてやろう。」
トールは銃身を下げずに、大統領に向かって言う。
「そうだな。」
その時、大統領はある事を思い出す。
「フフフ、そうだな。」
「何が可笑しい?」
「いや、なに。大統領になった時、軍に初めてある事を命じたのを思い出してな。もし、アメリカ首都が攻撃されたとき。」
「された時?」
「ホワイトハウスに、戦車を突撃させろと。」
それを合図にしたかの様に、壁が崩れる音がして、続いて重い、しかし限りなく頼もしいエンジン音が聞こえる。
「な!?」
執務室の左側の壁が崩れ、M1A2が突撃してきた。その崩壊した壁や戦車の覆帯に巻き込まれた兵が絶命する。
「言い残すことはあるか、と聞いたな?。言ってやる。お前は言い残すことはあるか?」
その瞬間、戦車の主砲同軸機銃がトール中将と残りの突撃隊員、武装親衛隊員に向かって火を噴いた。
「ハ、ハハハ。言い残すことか。そこの戦車の戦車長を殺したかったぜ。」
血を出しながら、床に倒れる。
「大統領閣下、ご無事で?」
戦車から戦車長が顔を出す。
「ああ。よく、命令を守ったと言いたいが、どうやってここまで来れた?」
「連中、突然指揮系統を失ったかのように完璧だった動きが乱れ始めたので、反撃を開始しました。既に首都奪還作戦を各部隊合同若しくは、独断で行っております。」
「そうか。それで、市民は?」
「首都郊外に居た者は大勢避難できて無事ですが、中心部に居た者は、全員。」
大統領は、胸の前で十字をきる。
「神よ、我の罪を許したまえ。」
そう言った時、戦車長が射殺される。
「な?」
戦車長の後ろを見ると、ワルサーP38を構えたトール中将が何事も無かったかのように立っている。
「ハア、ハア。流石に、連射は効くな。傷は癒えたが、痛みとか残ってる。」
そう言って大統領に狙いを付けようとすると、再び戦車の主砲同軸機銃が火を噴いた。
「ぐ、があ。う、うっとしい!!」
手榴弾を出し、ピンを抜いて戦車砲の中に放り込んだ。そして、トールは戦車が崩した壁の反対側。機銃で穴だらけになり、脆くなっている所を思いっきり蹴って崩し、脱出した。大統領も、執務机を倒して壁にし、そこに隠れる。
「酷い、ありさまだな。」
砲弾に引火した戦車は爆発し、ホワイトハウス半壊。大統領は、爆風で割れたガラスに、盾にした机にしがみ付く形で押し出され、多少のやけど等を負っただけで済んだ。
-ナショナル・モール-
「地対空部隊、集結!!」
ナショナル・モールに、M163自走対空砲やホーク、チャパラル・ミサイルランチャー、アベンジャーシステムなど、空を飛ぶ目標を迎撃できる兵器で周辺に配備されていた物を集結させる。
「目標、敵飛行船。一斉攻撃開始!!」
その瞬間、まず初めにザクセンに向かって攻撃が開始された。
-ザクセン-
「な、何事だ!?」
突然の攻撃を受け、艦内は混乱する。
「敵からの攻撃、回避不可。弾幕激しく、推進器等に命中。第2フラッペン、脱落。推進力15%ダウン。」
「艦長、特殊軽金装甲言えど、長くは持ちません。」
M61の攻撃で、各所が穴だらけになる。おまけに、ミサイル攻撃で気嚢に入っているヘリウムが爆発の危険性も増している。
「艦を回頭。奴らに突っ込ませろ。」
その瞬間、ミサイルが気嚢に命中。遂に限界を迎えた気嚢は耐え切れずに破断。ヘリウムが引火し、爆発をしながら降下を始めた。
-グラーフ・ツェッペリン3世-
「ザクセン、沈黙。炎上しながら下降中。及び、パシフィックからも連絡途絶。上空を、米軍機が飛び始めた模様です。」
旗艦には次々に情報が入り始める。
「くそ。アメリカが息を吹き返した。」
「ヒンデンブルク2世、防戦を行うも攻撃を受けて炎上。下降中。」
元々、飛行船は脆い。しかも、この作戦に投入されたのは旧式ばかり。それに新式でも、もはや無用の長物で、輸送や勢力圏内での支援のみ行っている。今回は、無理をし過ぎた。
「アトランティック、火災を起こしながら降下しております。ボーデンゼーは既に墜落。ヘリウムが爆発し、火柱が昇りました。」
右側では、巨大な火柱を上げてボーデンゼーが炎上している。V1改などの火器を積んでいる為、火災は他の艦よりも少し大きい。
「結局、V2改は撃ち仕舞いか。」
「ええ。」
その瞬間、グラーフ・ツェッペリン3世も攻撃を受け、炎上しながら降下して行った。
「全艦、損失か。」
橋の上で自分の飛行船団が全滅する様を見ていたトール中将は残念がる。
「降下した部隊も、各個撃破されて、今や壊滅状態。」
ポトマック川に潜水艦が浮上する。その艦橋には、鉤十字が描かれている。
「酷い様じゃない、トール中将。」
「そう言わんでくれ、戦乙女中将。旧式の飛行船団を率いて、アメリカ首都にここまでのダメージを負わせたんだ。それ位の苦労は労ってくれよ。」
「弱点に中らないだけ良かったわね。総統閣下は良くやったと褒めてるわ。私は褒めもしないし、責めもしない。」
「そうかい。」
そう言って、その潜水艦の甲板に降りる。
「早く艦内に入って。」
「了解。」
トール中将は言われるがまま、艦内に入った。
「攻撃したいけど、今回は中将を迎えに行けとしか言われていないから、攻撃できないのよ。幸運に思いなさい、アメリカ。」
そう言って、戦乙女中将は艦内に戻り、潜行してアメリカを脱出した。
作者「プロローグをようやく終えた。」
?「早く、私たちを出して。」
作者「そういえば、まだまともに出てる艦魂はフォードだけだった。」
?「早く出してくださいよ。」
作者「分かった、分かった。次は初瀬が艦隊司令長官になります『史上最年少の艦隊司令長官』です。」




