プレゼントと本
前回のあらすじ
世界はペットだった
しかし、世界は育てるのが難しいとはとんでもない表現ができる存在がいるものなんだなぁと、変に感心してしまった。あれ、でも魔法については話していないような?
「あぁ、忘れてました。この辺りの話しは色々と複雑で…。あ、いいことを思い付きました」
な、何ですかニヤリとして。右手をグッとして…バチン!!ひゃう!な、なんなんですか、指パッチンなんてして!なんかの力が作用してるのか、とんでもない音でしたよ!
「驚きましたか?」
「驚きましたよ、ええ驚きましたとも!なにがしたいんですか!」
「いえ、あなたにプレゼントついでに、前のあなたにできなかったので」
「う…」
そう言われると怒るに、怒れないではないか…。…まぁ一旦おいておこう。しかしプレゼントって?
「『収納』と言ってみてください」
「あの鑑定と並んで超有名な収納ですか?」
「有名だと思います。私の世界で一番使いやすい『収納』を選びました」
そっか色んな異世界にあるならその数だけ同名のスキルが増えるのか…。あと使おうと思わなければ言ってもスキルは発動しないらしい。
「こほん、では『収納』!」
さてスキルの初体験だ。おぅ、目の前になんか白いブラックホールみたいな渦が出てきた。あと疲労感が~なんてこともなさげだ。よくあるのだとこの渦に手を突っ込むのだが…なんか怖いな…。 思わず躊躇ってしまう。
「安心してください」
こうなったら一思いに突っ込む!
「おお変な感じ、手の感覚はちゃんとあるのに目に映らないから手がなくなったみたい。なんかゴム手袋と鏡に映った手を誤認させて~みたいな実験を思い出すな」
「…。…~い。おーい!」
「はいっ!」
ビックリした。
「さっきから無意識でしょうが全部声に出てますよ」
えっまじで?はずかしいな//
「それは恥ずかしいですね」
「同意すれば良いものではないんですが」
「…。収納の奥に何かありませんか?多分一つしかないと思いますが」
スルーしましたね。まぁ聞かれても困るからいいか。あっなんかある、これは…紙の感触となんか…革かな?
「よい…しょっと!うわなんだこれ、なんですかこれ」
手の中にはなんか紙の束?凄まじい数の紙が…何千枚いや万単位かもしれない、あと一番下と上は材質が違っていて持ちやすい。あと全然重く感じないパッと見てKg単位の重さがありそうなのに天使の体すごいな。
「見ての通りですよ。それはこの世界の本です。世界の歴史がまとめられてます」
「え、本ですか!?」
持ち方によってはアコーディオンみたいになるこれが?
「向きが逆ですね」
え、あほんとだ。一番下と思っていたのが表紙でタイトルに『世界史書』と書いてある。こんな物理的な厚みのある『世界史』はなかなかないだろう。
「そこには私の世界の歴史が書いてあります。そう言う概念で創ったので勝手にページが増えますし、思うように形も変わります」
なるほど…では、この本は電子書籍…この本は電子書籍…うわほんとに変わった、しかも変形する感じではなくあたかも最初から電子でしたよ?みたいに変わってる。少し不気味だ。
「それには全ての歴史が書かれているので今までの疑問の答えは全てそこにあります。例えばなぜ魔法が初期装備かや私の名前とか。スキルの一覧とかもあります」
ぽんと、プレゼントとして渡すにはとんでもないもの渡しますね。
現状の最後のページに『創造の神イデアが『世界史書』をウィム・ロストに譲渡』と書いてあって少し嬉しくなった。