真っ白な部屋
「あれ、ここは…」
気がつくと、何時か見たような真っ白な空間にいた。本当にいつの間に。
「うん、これは夢ですね」
多分、何時かに見た異世界ものだか何だかの影響だろう。普段夢は見ない体質だから珍しい。目でも瞑って横になっていたらすぐにノンなレム睡眠になるだろう。
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おかしい、体感ではもう何時間もたっている。体感が信用できるかと言われると微妙だが。このままでは明日(もしかしたら今日)寝坊確定では?明日はやることが…あったっけ?あった気がするたぶんおそらくきっと。
眠りの本質は記憶の整理と聞いた覚えがあるし、今日したことを思い出せばわかるだろう。
今日は確か…確か…あれ何も思い…出せない?
というか寝た覚えもない!寝た覚えがないということは、もしかしたらこれは現実で、私はこのだだっ広い白い部屋に誘拐でもされたのかもしれない。
…いや、冷静に仮に誘拐されていたとしてもこれでは逃げれるものも逃げれない。
「目を閉じてる場合じゃなさそうです」
目を開けこの部屋を観察する。本当に部屋じゃなく空間って表現すべきかも。
天井も壁も見えない。確かに思い返せば声の類いは反響していなかった気がする。…ここから動かずに得られるのは
・部屋がバカ広いこと
・それが真っ白いこと
あと人の気配もなさげ
これくらいだろう。
「人がいないなら、情報整理もかねて一人言多めでいきましょう。野生生物よろしく己を誇示しながらこの部屋の端でも目指すことにします。さて、うん?何か目線が低いような?」
何気なく手足を見やる。そこには子供みたいな手足となっがい白髪があって?
「ハッ、えっ?こんなに手とか小さかったですっけ?それに髪も?いやいやいや、え、ホントに?」
思わず二度三度見をする。…現実は非常である。
「夢じゃなさそうなのに、夢みたいなことになってます…だいたい10とか11歳くらいでしょうか。今19なので7、8年前ですね。ただ、疑問なのはこれまでの人生でこんなに地面に着くんじゃないかってくらいに、まるで女の子みたいに髪を伸ばしたことも染めたこともないんですよねぇ…いや古い考えかも知れんけど」
歩きながら考える。時々慣れない体だからか転びそうになる。
「しかし、夢でないならこんなアポト●シン4869+毛生え薬みたいなのやって誘拐って何がしたいのやら」
「おや、やっと目覚めたのですね」
突如、後ろから声をかけられる。思わずその声の主にかしづく。なにやら逆らってはいけないそんな予感がしたからだ。声が震えそうなのを堪え答える。
「ハッ、ハジメマシテ…」
ゆっくりと顔を上げ声の主を見る。そこには不思議そうな顔をした「女神」とでも形容すべき、銀に輝く髪と透き通った碧い色の瞳の恐ろしいほどに美しい女性がいた。女性が口を開く。
「『はじめまして』とは?」
…どういうことだ?以前にあっていたなら忘れるわけないと思うが…まぁ謝っておこう。
「す、すいません。以前に御会いした事があったでしょうか?」
今度はさっきほど震えなかったと思う。
あとこれまさかイセカイモノ特有の定番ですか?!