いらっしゃいませ、海老天国へようこそ
「いらっしゃいませ、海老天国へようこそ」
ぼくを迎えてくれたのは、エビもんの桜海老の小エビちゃんだ。
桜海老の小エビちゃんは、ちっちゃいけど明るくて、いっつも元気に飛び跳ねてるんだ。
パリパリしてて、おいしいけれど食べづらくてぼくが苦手なのはヒミツだよ。夢のなかの小エビちゃんは大好きなんだ。
「今日はどうするのかな?」
小エビちゃんが明るくぼくに聞く。
「へいボーイ! おいらの背中に乗ってぶっ飛ばないかい」
ザリガニバギーのおじさんは、陽気にいつもぶっ飛んでる。
ただ後ろ向きに飛ぶからあぶないんだよね。
よく泥沼に突っこむんだよ。
「わしの自慢の観覧車は安全だぞい」
車海老のじいちゃんは回すのが得意だ。老舗のおいしいお寿司さんでしか会えないから、回らないんだけどね。
「悩んで突っ立っているなら、ワタシのモデルになりたまえ」
オマールエビ先生が、パレットを片手にぼくと案内役の小エビちゃんを絵に描き始めた。
ロブスター先生と、ぼくは区別がつかないんだよね。
前に食べたボイルしたものが好みだけど、この世界では内緒だよ。
「エヘへ、、このまま小エビとデートする?」
小エビちゃんがかわいい。
「おうおう、見せつけてくれるの〜」
まずい、ブラックタイガー団だ。ぼくが一番食べるから怒っているみたい。すぐに絡まれるんだ。
でもエビフライにするとおいしくて、パクパク食べちゃう。
ぼくたちが逃げだすと、白海老姫に絡み出して、ガス海老の護衛隊長に蹴散らされていたっけ。
少し可哀想だけど、しっぽ巻いて逃げる姿は可愛くて面白いんだ。
「わしの海老天国はどうかね」
伊勢海老の王様が出てきた。大きくて立派な海老の中の海老。
お正月のおせちにいるけど、ぼくはお味噌汁も好きだよ。
王様が出てきたので、ぼくは夢の中から大好きな海老天丼の前に戻る。
誰も知らない、ぼくだけの海老天国は幸わせな夢の中にある。
アレルギーで食べられない友達のために、ぼくはいろんな海老を食べて、海老の違いをを言葉でわかるように教えてあげるんだ。
〜 〜 おしまい 〜 〜
お読みいただきありがとうございます。公式企画【冬の童話祭2024】の初参加投稿となります。
海老の種類、調理方法などは、簡単なイメージして書いております。主人公の子供が、海老アレルギーを持つ友達に、食べなくても海老についてわかる方法を模索している童話になっています。
子供向けの童話という事で、なるべくひらがなを使い、漢字にはルビを振りました。抜けていたらその都度修正致します。
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※ 誤字報告ありがとうございました。