~閑話 セリナ・フォン・イレスティアの独白~
~閑話 セリナ・フォン・イレスティアの独白~
第四王妃セリナ。私の肩書だ。だが、本来王妃になる予定ではなかった。
私の父はミストラル子爵。そう子爵家だ。本来王妃は外交的戦略で国外から選ぶか、国内の有力貴族との関係構築のために選ばれる。
私は後宮の下女として働いていた。私自身水魔法に適性があったこともあり、第一王妃が住まう北宝宮のお風呂場の掃除やお湯入れを行っていた。
ある日、お湯を張り終えた時に、湯気で見えなかったのか国王にお情けをいただけたのだ。おそらく誰かと間違えたのだろう。誰と間違えたのかは今となってはわからない。
ただ、行為が終わった後に「ん?誰だ?」と言われたのでそう思ったのだ。
一回の行為があった場合、手当が支給される。それも後宮で働く上では理解をしている。そう言う事もあるからだ。だが、その一回で私はケイトを妊娠してしまったのだ。
そのため、子爵家子女にも関わらず私は第四王妃という地位についてしまったのだ。
場違いな肩書だ。
第一王妃は聖ブブロ王国の高位神官の娘だ。回復魔法が使えるだけでなく、聖ブブロ王国、神殿との関係構築で選ばれたのだ。
まあ、その位の高さから第一王妃はかなり傲慢だ。そして第一王子も傲慢だという噂を聞く。
第二王妃はオザーム東方連合国の大家の娘だ。第二王妃は計算高く正直何を考えているのかわからない。
第一王妃はおだてておけば問題はないが、第二王妃はどこに地雷があるのかわからないのだ。第二王子はかなり優秀だし、王位を第一王子から奪うことも考えているという噂もかなり流れている。
第三王妃は王国の最西に位置しているミズガルド侯爵の娘だ。だが、ただの宿場町であり寒村だったカージェス領が発展をしてしまったため、ミズガルド侯爵領は最西ではなくなっている。
困ったミズガルド侯爵はかなりの投資を行ったようだが、いい結果につながっていないようだ。噂ではかなりミズガルド侯爵は借金をしているという。
そのため第三王妃は色んな方面に金策をしているというのだ。
この3人の後に私が第四王妃としているのだ。
本当に産んだ子が女の子で良かった。国王からは次はないと言われた。私はそれでいいと思っていたが、周囲から男児が産めない石女だと言われ、父も第二王子派閥から追い出されてしまった。ただ、王妃になることで得たこともある。ある程度の商品の購入や政治への介入が可能なのだ。
といっても、私にできることは限られているし、木工品を宣伝しようとしたら第一王妃から「木の商品なんて貧乏くさいわ」と言われ頓挫してしまった。
どうも第一王妃からは嫌われているようだ。元々第一王妃が居た所で働いていたのだから関係性は悪くないと思っていたのだが、そうでもないようなのだ。
困ったことだ。
「あなたはおとなしくしておきなさい。誰かに呼ばれたら出向いてもいいけれど、自分から誰かを呼ばないようにね」
そう言われてしまった。娘の教育も最低限のことしかしてもらえない。だから私が教育を行った。
私たち親子に接点を持とうなんて変わった人はいなくなった。第一王妃がにらみをきかせたからだ。
孤独は辛い。でも、娘がまだいる。けれど、このままだと娘はただの政治の道具として使われるだけだ。
そう思っていたらお茶会のお誘いが来たのだ。
エリザベート・フォン・イレスティア。
赤い悪魔。虐殺王女。
いい噂なんて何も聞かない。だが、お茶会を断ることもできない。覚悟を決めてお茶会に出席したら普通の女性だった。
しかも木工品にも興味を持っていて購入したいと言い出したのだ。びっくりした。更に寒い地域でも育つ小麦があることを教えてもらえた。
父に手紙を書いておこう。
「ねえ、ママ。またお茶会に行きたい」
「そうね。いいわよ」
娘のケイトも喜んでいた。ただ、この後宮というのはすぐに情報が広まるところだ。
第一王妃から呼び出しが入った。
ああ、あのエリザベート王女殿下に何も起きない事を願います。




