~勝利条件を考えてみましょう~
~勝利条件を考えてみましょう~
色々あっても生きている限りお腹はすくし、眠くもなる。
そのため離宮にある部屋でゆっくり休ませてもらった。私とイスファは護衛のため衝立はあるけれど同じ部屋で眠ることになった。
「緊張するね」
イスファにそう言われたけれど、部屋には私の近くにはミューズもいるし、サイドベッドにはさっちゃんも眠るから問題ない。
イスファの近くにはイスファの侍女とムネリが控えている。この部屋の外には見知らぬ侍女が10名いるのだが、これは父が用意した人たちだ。
朝起きるとムネリとミューズは疲れた顔をしていた。二人は寝ずの番だったのだろうか?
「何かあったの?」
「ああ、ちょっと夜中に襲撃があったんだ」
あれだけごろつきを排除したのにまだ居たんだと思った。どうするのが正しいのだろう?殲滅?でも、今王都中でかなりの数の衛兵が調査している。どこでリーリカが目撃されるのかわからない。
「どうするのがいいのかしら?やっぱり殲滅?」
私がそう言うと周囲から残念そうな子を見るような目で見られた。だって、襲ってくる奴らは全員殲滅がいいでしょう?
「お嬢様。殲滅は簡単です。刃向ってくる貴族を倒したら何がこのイレスティア王国に残りますか?」
さっちゃんがそう聞いてきた。何が残る?え?
「私に敵対しない人じゃないの?」
「それは具体的にどなたになりますか?」
具体的に?そう言われて思った。私には味方と呼べる人がほとんどいないことがわかった。
「そういう味方ってやっぱり必要?」
「これから王都で生活することも増えますよ」
さっちゃんが絶望するような事を告げてきた。
「カージェス領でひっそりと暮らしたいだけなのにダメなの?」
「ええダメですね。カージェス領だと男爵にしかなれません。おそらく領地なしの中央貴族になると思います」
中央貴族?何それ?よくわからないんだけれど。
そうさっちゃんに伝えるとムネリとさっちゃんですごく丁寧に教えてくれた。
貴族には領地を持っている貴族と領地を持っていない貴族の種類いるんだって。貴族ってみんな領地を持っているものだと思っていた。
領地を持っていない貴族は中央で何らかの要職についているらしい。これも知らなかった。聞くとウィンザー公爵も領地なしで要職についているらしい。あんな仕事ができない人なのに?
貴族には大きく王権派と、貴族派にわかれるらしい。
貴族派というのは領地を持っているもののことで、地方分権や権限移譲を主張するのだという。王権派は王が絶大な権力を持ち地方の権力を削ぐことを目的としているのだという。
王権派の多くは第一王子を支持し、貴族派は第二王子を支持している。
「思うんだけれどあの第一王子であるソリューシュ・フォン・イレスティアは傲慢だし、こう言っちゃ悪いけれどバカ王子だと思うんだけれどどうして王権派は第一王子を支持しているの?」
ムネリが教えてくれた中で疑問だったんだんだよね。私ならあんなおバカちゃんに王位についてもらいたいなんて思わない。
「そりゃ、現状王権派はおいしい思いをしているからです。地方からの税を好きなように分配していますから。それに優秀な王だとこうはいかないですからね。愚鈍な王を求めるものも多いのです」
バカが王をすれば配下は不正しまくれるということか。まあ、ソリューシュならおだてておけばいいだけだものね。
ちなみに、イレスティアの第二王子は会ったことない(と思う)けれど、優秀らしい。名前はレストール・フォン・イレスティアと言うらしい。
私はてっきり長男を王位につけたい歴史を重んじる人と、優秀な次男を王位につけたい人で分かれているのだと思っていた。
「あれ?それならベルティック侯爵はどうして私の支援してくれているの?」
地方貴族の多くは次男であるレストールを支持しているはずだ。優秀な次男を支援しない理由は何なんだろう?変わり者だから?
「第二王子のレストールと言う人物がどういう性格なのかを知るとわかるかもしれません」
ムネリがなんだかすっきりしない言い方をする。
「そうだな。私は会ったことがあるがあれは冷徹なんだ。ミスを一回でもしたものは派閥には戻れない」
ミューズがそう言って来た。何それ?ミス1回で排除とかありえない。
「まあ、レストール自身はかなり優秀なのですが、自分基準でしかものが見られないので周囲は息苦しいでしょうね。だから、貴族派の中でも主要街道の領主は離れて行っていますね」
ムネリが言う主要街道の領主って何だろう。解らなかったので聞いてみた。
「イレスティア王国は四方を大国に囲まれています。王都はその中心で、王都から東西南北に伸びているのが国道と呼ばれる道路だ」
うん、それは知っている。
「そして、その主要道路に沿って街が栄えている。特に栄えているのが他国と接している領だ」
カージェス領もその一つだよね。今まであまり発展していなかったけれど。
「その中でも特に発展しているのが北のイース帝国と接しているダールトン領だ」
あれ?ダールトンって辺境伯とか呼ばれていなかったっけ?そう声に出した。
「ええ、中央がダールトン卿に権力が集中しないように、侯爵ではなく辺境伯という役職を与えたのです」
実際ダールトン辺境伯はイース帝国と協力してイレスティア王国に攻め入ったのだ。できればダールトン辺境伯の力はそぎ落としておきたい。いや、違うか。その先にあるイース帝国。ここが問題だ。イース帝国の方に注意した方がいいのかも。
私が考えていたらムネリがこう言って来た。
「貴族派を切り崩すのが一番ですが、貴族派だけでは王国はまわりません。内務の大半は王権派が仕切っていますから」
え?どういうこと?私がきょとんとしていたらこうさっちゃんが教えてくれた。
「王権派の中で第一王子を見限り私たちに協力する貴族を探す必要があるということです」
まじで。めんどうです。そんな貴族としてハイレベルなことを私に求めないでよね。
「だから、全てを叩き潰すのではなく、懐柔する方法を探さないと行けないです。それも、出来れば能力の高いものを」
ムネリがそう言ったけれどそんな相手知らないわよ。そもそも王都に友達もいないのだから。
「だから、夜会で交流をしてもらいたいんですよ。お嬢様ならできます」
さっちゃんの期待が痛い。というか、その自信はどこからくるの?
「出来なかった場合、言われない罪をなすりつけあっれるかも知れません」
あ~なんかその未来は想像できるわ。
「候補は?候補はいるのかしら?」
私がそういうと何名かリストはもらえた。なんか大臣クラスは声をかけるだけ無駄で、実際の実務を司っている者たちに声をかけるのがいいと言われたんだよね。
でも、そういう人たちって忙しくて夜会に出てこないというのよ。いや、どうしろっていうのよ?




