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革命軍の一兵士だった私が悪辣女王に転生したんだけれど  作者: ミナセ。
(イレスティア王国編 そのいち)
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~プロローグ~

~プロローグ~


 イレスティア王国の王都『イースレティア』に戻ってきた。私は『イースレティア』にいい印象がない。


 アネモネ時代はこの『イースレティア』でよくわからない状況で殺されたし、転生してからの幼少期では火事から逃げるために地下を走り回った事が強く残っている。


 できれば早く立ち去りたいな。私のその雰囲気を察してか横にいるイスファが私の手を握ってくれた。


「大丈夫だよ」


 イスファは普通にそう言っているが常に辛そうでもある。聖水で悪魔化は止めることはできているけれど、どうも倦怠感がかなり強く、すぐに息切れをするというのだ。


「ありがとう」


 つらそうなのにそれを頑張って隠しているイスファを見ると助けたいと思う。けれど、私は回復魔法が使えない。というか、回復魔法は秘匿されているんだよね。神殿と聖ブブロ王国に。


 まあ、それがあるから神殿は成り立っているのはわかる。けれど、回復魔法を知れたら私は多分改良に改良を重ねて別物にするのだろうな。


 今までもそうやって魔法の概念を変えてきたらしいし。というか、なんで皆そういうことをしないんだろう。


「お嬢様。王宮に着きました。このまま登城します」


 御者をしているムネリがそう告げた。気乗りはしないけれどさくっと国王に報告をしてカージェス領経由で聖ブブロ王国の学園に戻るのだ。


 まあ、あの聖ブブロ王国のジャミラ・フォン・ブブロ王女殿下に会うのは憂鬱だけれど回復魔法に長けている人を紹介してもらうにはジャミラ王女にお願いするか学園長にお願いするかの二択しかない。


 どっちにしても学園に行ったらジャミラ王女には挨拶しないといけないだろうしね。


 イスファのためなら頑張れる。だから、この国王への報告もさくっと終わらせたい。


 だって、ちゃんとムネリが事前に調整をしてくれていて、国王への報告ができる算段をつけてくれているのだから。


 それに、私一人じゃない。まあ、太もも大好きムネリと私のお腹を隙あらばぷにぷにしてくるミューズもいるし、頼りになるさっちゃんもいる。


 だから大丈夫だ。



 なんて思っていました。国王への報告に従者は不要。私だけで別室で行うと連絡がありました。


 いや、確かに話す内容はもう決まっていますよ。でもね、でもね。なんで私一人なのよ。なんかこう護衛的な人が背後につくとは普通じゃないの?


「おそらく我等が信用されていないということなのでしょうね?」


 ミューズにそう言われた。


「私はラース帝国の出身ですから別室なのは理解できますが・・・」


 さっちゃんがそう言ってイスファを見つめる。


「そうだね。僕も同席できないというのは不思議だと思う。まあ、何となく想像はつくよ。ミルザ王国の僕が居ない方がいい話しなんだろうね」


 イスファがそう言って来た。王都に戻る前にベルティック侯爵に気を付けるように言われていたからだ。


 宰相は敵。そして、私が王位継承権を持つことを良く思っていないものは多いと。後はアルダーブ公爵に気を付ける様にと。


 まあ、リーリカを通じてウィンザー公爵家が隠しもっていた金貨はかなり奪ったんだけれど、なんだかウィンザー公爵はいくつかの商会に献金を求めていたそうで、そのため何か近いうちに事を起こすから注意するようにと。


 実際、リーリカが奪ったと言う証拠はないけれど、多分何か思う所があるんだろうな。イスファと婚約をしたことで、自分の息がかかった商会以外とも取引を始めていることから。


 そう思っていたら声がかかった。国王の準備が整ったとのことだ。



 通されたのは謁見室ではなく、談話室?というか、少し小さ目の部屋で6人くらいが座ることが出来るテーブルと椅子が用意されていた。


 テーブルの上にはお菓子が置かれてある。私は奥に座るように言われた。背後には騎士が3人控えている。


 不安だけれど、私の影にはリーリカがいる。これくらいの距離だと何かあってもリーリカなら対処が可能だものね。


 そう思っていたら扉が開いて国王と知らないおっさんの二人がやってきた。国王の前なので椅子から立ち上がり跪く。


「よい、公式の場ではない」

「ありがとうございます」


 私はそう言って顔を上げた。国王の横にいたおっさんはくすんだ黄色の髪をくるくるして太っているからか目が細く、顎は二重になっていたし、おなかもかなりたぷたぷしていた。


「こちらの方をご紹介いただいてもよろしいでしょうか?」

「な、何?儂を知らぬのか!!」


 なんだか太ったオッサンが叫んでいた。


「ええ、存じ上げません。どちらかでお会いいたしましたでしょうか?」


 多分会っていないはず。知らないもの。


「ふん、物を知らない野蛮人はこれだから。儂はディートマー・フォン・リッツハルトじゃ」


 その名前は覚えている。ベルティック侯爵が教えてくれた敵。このイレスティア王国の宰相の名前だ。そして、私が注意すべき敵。どうしてこの場にこのおっさんがいるんだ。


「リッツハルト卿。本日は私の婚約の挨拶の報告を父であり国王に報告をする場ですが、どうしてこの場に同席されておられるのでしょうか?」


 いや、いきなり介入してこないでよ。びっくりするじゃない。だからつい言ってしまった。


「リッツハルト侯爵たっての願いだったから同席させたのじゃ。先に報告をいただいておるが、今後ミルザ王国から毎月結納として金400万ゴールドがエリザベートに届けられると。そのうち金300万ゴールドを国に寄付と聞いておるがあっておるか?」


「ええ、合っています」


 お金の流れはもう少しだけ違う。イレスティア王国から聖水を届ける。その護衛はミルザ王国が出している。金400万ゴールドとあるが、本当は500万ゴールドだ。そのうち50万ゴールドが護衛を雇い入れる費用。残り50万は各関所を通過する時の費用だ。


「なぜ全てを寄付せぬのじゃ?いやしいのう」

「そうですか?護衛の往復に50万、各関所を通過するのに50万かかります。それからすると差額分の300万ゴールドの寄付しかできませんが、何か問題がございますのでしょうか?それとも、リッツハルト卿がかかる経費を立て替えていただけるのでしょうか?それであれば非常に助かります」


 実際は差額分100万ゴールドがある。これは政治にはお金がかかると言われこのような形にしたのだ。ミルザ王国からの書面も500万ゴールドではなく400万ゴールドにしてもらっている。


「ふん」


 え?それだけ?なんなのよそれ。


「報告は以上でしょうか?まだ学生という身分ですのでよければこのまま聖ブブロ王国に向かえたらと思っておりますがいかがでしょうか?」


 報告する内容は事前に書面で送っている。その確認だったんだからもう終わったよね。じゃあ、もう用事はないはずだ。


「国内でエリザベートの婚約発表とイスファン王子殿下のお披露目は必要だ!」

「そ、そうですね。必要ですな」


 国王がそう言い、宰相が追随する。ってか、まじで?そんなのいらないじゃない。


「え?必要ですか?1日くらいでよろしいですかね?」

「いや、貴族に対しての召集通知をするのじゃ。開催は今から2週間後じゃ。それまで王都でゆっくりするがいい」


 はい?2週間後とか。まじで?絶対にいやだ。ってか、どうにかできないかしら?

 あ、そうだ。休む場所がない。


「私は王都で泊まるタウンハウスがありません。そのため・・・」

「ならば、昔住んでいた離宮を作り直しているのでそこに住むがいい」


 あ、あそこか。いい思い出なんてあるわけないじゃない。


「わかりました。ご配慮ありがとうございます」


 立場上感謝を伝えたが、幼少期の辛い思い出しかない。



 報告会は終わり、私とイスファは同じ離宮に滞在することになった。まあ、婚約をしているからいいのかしら?


 実際、聖ブブロ王国に居た時は一緒の建屋の中で暮らしていたから気にならないけれどなんか緊張する。


 緊張する理由は周囲にいる侍女が知らない人たちばかりだからだ。知らない人たち。そして、見慣れない景色。けれど、どこか思い出してしまう。


 リーリカもそわそわしているのがわかる。

 落ち着けるかしら?


 とりあえず、私はできるだけイスファと一緒にいるようにして、身の回りはさっちゃんとムネリがしてくれる。


 そして警護はミューズがメインでサブがリーリカだ。まあ、リーリカは影の中にいるだけだけれどね。


 ちょっと一息つけるかと思ったら知らない侍女が「お客様が来られました」と言って来た。


 いや、私王都に親しい人とかいないんですけれど。


「どなたが来られたのかしら?」


 そう聞くと告げられた名前は今までほぼ接点がなかった私の母であるカーラ王妃と乳母のミレイだった


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