~解決方法を考えましょう~
~解決方法を考えましょう~
翌日、王宮から連絡があった。イスファへの面談依頼をしていたら、イスファからではなくタリークから連絡があった。
しかも王宮ではなくミルザ王国の王都にある神殿に来てほしいと言われた。
この時点でものすごく嫌な予感がしていた。
神殿にはムネリとミューズで行くことになった。
戦うのが苦手なさっちゃんとブルーノ、それと神殿なのでリーリカは念のためお留守番をしてもらうことにした。
ミルザ王国の王都の中心にある神殿にたどり着くと廊下に倒れている者が多く野戦病院のようだった。
案内してくれている神官が言うには回復待ちのものがかなりいるとのことだ。この時点で私の心はざわざわしていた。
倒れている者は兵士だったからだ。しかもなんというか、皆かなり苦しんでいるのだが、けがをしているとかそういうのではない。
目が血走り体を抑えているが病気とかなのだろうか?ただ、多くは髪の一部が黒色になっていたくらいだ。なんだかそういうおしゃれなのかしら?
そう思っていたら一人が真っ黒にいきなり染まったかと思ったら暴れ出した。
「危ない!」
ムネリが黒く染まった男を蹴り飛ばしたが、男はなんというかおかしかった。あの一撃は確実に気絶させられるレベルだったはずだ。どうしてこの男はまだ動けるのだろう。
「仕方がないですね」
そう言って次は蹴りで後頭部を蹴りぬいたがそれでも、倒れなかったので、ムネリは膝が折れ曲がるように斜め上から蹴りを入れ最初は右ひざを破壊し、次に左ひざも破壊した。
「ここまでするつもりはなかったんですが」
ムネリがそう言うと「いえ、こうなるともう助けることができませんので」と神官がそう言った。どういうこと?私が疑問に思っていたが神官はそのまま前に進んでいく。
「こちらです」
神官が最奥の部屋に案内してくれた。ノックをして中に入るとタリークが迎えてくれた。そして、その奥に寝台に寝そべっているが苦しんでいるイスファがいた。しかもイスファの髪の右側半分と右目が黒色になっている。というか、ゆっくり黒色が浸食していると言う感じだ。
「イスファ!大丈夫なの!」
「・・・ああ、だ、大丈夫だ。うぐぁ」
全然大丈夫そうに見えなかった。
「神殿長!回復魔法を!」
「無理です。これは悪魔に魂を乗っ取られようとしているのです。聖水があれば少しは抑えられるでしょうが、昨日からかなり使っており、もうこの神殿には在庫がございません」
え?聖水って教会に大量にあるものじゃないの?
「じゃあ、私が作ります『クリエイトウォーター(聖水)』」
「おぉぉぉぉ!!!神の奇跡だ!」
神殿長が歓喜した。かなりの量をイスファに飲んでもらった。髪や目で黒くうねうねと浸食していたものとまったけれど、イスファが辛そうなのは変わらない。
「イレスティア王女殿下。感謝申し上げる」
タリークにもそう言われた。
「魔法でもっと聖水を出せますか?」
神殿長がそう言って来た。なんかテンションが高すぎる。というか、目が血走ってる。
「・・・ええ、まあ、できますけれど」
「なんと!聖女か!」
いえ、赤い悪魔とか言われています。
「売ってくれ!買う!買うぞ」
「待て、神殿長。彼女はイレスティア王女殿下だ。流石に聖水だけを作ってくれとは言えない。それに、神殿が聖水を購入だけるだけの予算もないだろう。これはミルザ王国とイレスティア王国で話し合う問題だ」
辛そうなイスファがそう伝えてくれた。けれど、その横でムネリとタリークがなんかこそこそ話し合っている。
「それで行きましょう」
「それならよろしいかと」
いや、ちょっと待って。そこ何話し合っているの?しかも勝手に決めているし。
「お嬢様。月に10樽を納品。ただし、ミルザ王国としては聖水の購入は非開示にしたいため、イスファン王子殿下との婚姻の祝い金として取り扱うことになります。こちらでよろしいでしょうか?」
いや、よろしくないし。それって、悪辣女王エピソードにあるやつじゃん。ミルザ王国に定期的にお金を要求するとかいうやつ。
「それは助かりますね。ありがとうございます!!」
私の返答の前に神殿長がそう言って私に握手してきた。いや、もう断れないじゃない。何よこれ。
そう思っていたら扉がドンって開いた。
「あんたが元凶ね。死ね!」
飛び込んできたのはフェリアルだ。右側の髪と目が黒色になっている。いや、うねうねと動いていて気持ち悪い。
「クリエイトウォーター(聖水)」
大量の聖水をぶっかけたら動きが止まった。
「取り押さえて」
私が言う前にすでにミューズが取り押さえていた。早いね。というか、ミルザ王族って何人が被害にあったのだろう?
ただ、わかったことがある。聖水は現状を抑えることはできるけれど根本的な解決にはなっていないのだ。
だって、かなりイスファは苦しそうだからだ。それに、1日1回は聖水を飲まないと髪も瞳も黒くうねうねし出すのだ。
「ここでは出来ることがもうありません。本国なら対応できるかも知れませんが」
神殿長にそう言われたので私はイスファと共に学園に戻ることを決めたのだ。
それが、悪辣女王のエピソードにつながるなんて思っていなかった。
頑張っても悪辣女王のエピソードからは逃げられないのだろうか。




