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~報告を待ちましょう~

~報告を待ちましょう~


「タリークはどこにいるの大丈夫なの?」


 というか、ブルーノってどういう頭しているのだろう?


「そうだね。ずっとわからなかったんだ。でも、さっきのリーリカを見て解った。こんな人外の相手ができるものを抱えている国って限られると思うんだ。まず、絶対にありえないのが聖ブブロ王国。この国が邪悪なものを雇い入れるとは思えないもの。それはわかるよね?まさかわからないとか言わないよね?」


 なんでブルーノは毎回こう煽ってくるのだろう。


「それくらいはわかるわ。だって、聖ブブロ王国は結界が張られているからリーリカとかは立ち入るのが難しいから」


 本当はリーリカと一緒にいたいけれど聖ブブロ王国では難しいものね。


「理由は違うけれどイレスティア王国でもない。理由はあの国にそんな技術はないからね。イレスティア王国は悪いけれど各国の通行料で成り立っているだけの国さ。独自の技術なんてない。あるのは見栄とかプライドとかどうでもいいものばかり。ああ、後は数だけ多い兵士だね。本当ろくでもないね」


 それは知っている。だからこそ、民衆が蜂起して革命が起きたのだ。


「そして、王位継承者を狙っていることからこのミルザ王国でもない。そうなるとどちらかだ。オザーム東方連合国かイース帝国。この二択だけれどどっちが犯人かわかるよね?わからないことなんてないよね?わからなかったら王女失格だと思うんですけどどうですか?」


「イース帝国ね」


 それくらいはわかる。イース帝国はこの近郊の国で唯一『魔薬』の使用を認めているし、よくわからない人体実験をしているという噂もある。


 イース帝国は倫理観よりも純粋な強さを求める国だという認識を多くの人が持っている。だが、そんなイース帝国出身の子もいるのだ。


「さっちゃん。どう思う?」

「まあ、あの国ならあり得ますね。それに、私も今回はイース帝国の者が関わっているのだと思っていましたから」


 ってか、思っていたのね。


「イース帝国だとわかってもタリークがどこにいるのかはどうしてわかるの?」


 私は素朴な疑問を伝えた。


「他国のものが拠点にするならどういう所?元貴族が使っていた館を使うかな?そこって傍から見て使われているかどうかわかるものなのかな?だとしたらここなら大丈夫という所を使うよね?別荘だっていつ使いにくるかわからないよね?だとしたらどこを使う?」


 この近くで拠点となりそうな所。元貴族の館、離れた別荘、そして廃村。


「廃村ね。しかもどこかの貴族が出資をしている」


「その資金はどこから出ているんだろう?その貴族が出していると思う?それとも、どこか他国がミルザ王国を調査するために出資している可能性はないのかな?まあ、推測だけれど、そこくらいでしょうね?確証はないけれどさ。これくらいは誰だって推測できるよね?できないわけないよね?」


 腹が立ったけれど、内容は理解ができるから嫌だったのだ。


「今すぐにどうにかしなきゃ」


 私がそう言うとブルーノがにやにや笑いながらこう言って来た。


「廃村の場所も僕らは知らないよ。今それにヌーフは出かけているしね。さて、どうする?誰かに廃村の場所を聞いてここにいる誰かがタリークを助けに行くの?それはおすすめしないな?だって、おかしいじゃない。相手の狙いは誰なんだろう?タリーク?イスファン?それともエリザベート殿下?僕らは誰を一番に守らないといけないのかな?僕が敵ならイレスティア王国で守られているエリザベートを狙うのは難しくて諦めるけれど、護衛者数が少ない他国に居る時なら狙いやすい環境だと思うね。しかも、護衛者が少なくなると木なんか特に。それにさ、そのリーリカを撃退した相手ってのがいるんでしょ?おかしいよね?そんな人外がいるのなら誘拐じゃなく暗殺でもいいのに。あえて誘拐にしたということは理由があるんだよ。ちょっと考えなよ。バカじゃないからわかるでしょ?わかるよね?」


 なんだこのムカつく生き物は。


「じゃあ、どうしろっていうのよ!文句しか言えないの?それとも解決方法もなくグダグダいうことしかできないの?」


 つい感情に任せて怒鳴ってしまった。


「ふ~ん、まだまだ子供だね。感情も制御できない王族なんているんだ。もっと仮面をかぶることを覚えないと王族失格だよ。まあ、お子様だからしかたないですよね。何したってゆるされるって思っているお子様ですものね。それと、解決方法なんて思いつくにきまっているじゃん。それとも、思いつかないの?そんなことないよね?そこまでバカじゃないと思うんだけれど」


 ああ、イライラする。そう思っていたらムネリが助け舟を出してくれた。


「お嬢様。おさえてください。このブルーノの性格は最低ですが、頭は切れます。それに、対処方法は簡単です。私たちはこのミルザ王国では来賓です。勝手な行動をすれば外交問題になります。だから、この情報を伝えてミルザ王国のものに動いてもらいます」


 というか、すでにさっちゃんが一回部屋を出たかと思ったら、すぐに戻ってきたから屋敷の誰かに伝えたんだろうな。


「ふ~ん、そういう選択か。まあ、それも一つだね。でもさ、ビクビク脅えながら過ごすより相手を釣り上げた方がいいと思うけれどね。ちょうどここに食いつきがいいエサがいるんだし」


 ブルーノはそう言って私を指差してきた。


「それとも、コワイの?赤い悪魔とか言われているけれど、やっぱりただの女の子なんだ。怖いよね。そりゃ、血塗れとかいう頭のおかしい女騎士に抱きかかえられなきゃプルプル震えるくらいのお子様だものね」


 むっきー。むかつく。むかつく。


「お嬢様。落ち着いてください」


 後ろから私を抱きかかえているミューズにそう言われた。うん、おなかをぷにぷにするミューズが平常運転なおかげで少し落ち着いた。


「というか、どうしてみんなは落ち着いているのかしら?」


 私はその疑問をぶつけた。


「私たちはお嬢様を第一に守ることを考えていますから。このミルザ王国で問題が起きてもそれは関わらない方がいい案件ですから」


 さっちゃんがそう言って来た。


「けれど、お嬢様は納得されないですから出来るだけのことはさせていただきます。ただ、お嬢様を囮にするような方法は私たちは絶対に選びません」


 ムネリがそう言ってきた。ムネリの目はでも私の太ももにロックオンしている。ムネリが守りたいのって私なのかふとももなのかわからなくなる時がある。


「まあ、いいけれどね。さて、僕はヌーフが戻ってくるまでこの部屋にいなきゃいけないんだよね。そのうちいい結果がやって来るんじゃないかな?できれば人外との戦いを見たかったんだけれど、そういう仕込みが出来なかったのが残念」


 いや、そこ残念がるところじゃないよね。



 実際、ナジーブラは無事に保護されたし、見つからなかった王妃印も見つかったという。けれど、何か重要な書類が2通と古い指輪が見つからなかったと教わった。


 アルダーブ公爵は道に迷っていたということで、すぐに連絡が取れたとのこと。


 タリークについては無事に見つかったけれど、こちらは盗賊が身代金目的での誘拐であったとのことで落ち着いた。


 単なる盗賊が簡単に王宮に入れるとも思えないが、そのあたりは誰も何も言わないことで落ち着いた。


 ただ、行方不明になった侍女だけは見つからなかったという。


「ふ~ん、なんかちょっと思っていた結果と違うな。まあ、いいか。それで、僕の事は信用できるようになった?」


 ブルーノがそう言って来たがまったく信用できないと思った。


「大丈夫。近いうちに僕の知恵を必要とするよ。楽しみだね」


 そんな未来は来てほしくない。そう思っていた。


 解決したはずと思っていた。けれど、夜中に私は大きな影に襲われ、攫われたのだ。


 その相手の顔を見て私がぎょっとしたのだった。


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