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~もうちょっと考えてみましょう~

~もうちょっと考えてみましょう~


「ちょっとよくわからないんだけれど、アルダーブ公爵が行方不明なのにどうしてアルダーブ公爵が誘拐の犯人だと思われているの?何のメリットがあるのかよくわからないんだけれど」


 私たちをアルダーブ公爵邸に迎え入れてくれているんだ。多分いい人なんだろう。会ったことはないけれど。


 なんか私がそう確認と思い話すと周囲の空気が変だ。あれ?なんか変なこと話したのかしら?みんなは理解しているということなのかしら?


 イスファがこう話し出してくれた。


「まず、現在ミルザ王家の直系男子は僕、弟のタリーク、異母兄弟のナジーブラしかいないんだ。今回エリーと婚約をすることで、タリークが第一王位継承者となり、ナジーブラが第二王位継承者になる予定だったんだ。けれど、今タリークとナジーブラの二人が行方不明のままだと僕が第一王位継承者にならないといけないんだ」


 まあ、そうなるよね。


「それで、僕が第一王位継承者になってしまったら、イレスティア王国には当たり前だけれど行けないんだ。だから、その場合エリーにはミルザ王国で生活をしてもらわないといけない」


 その場合どうなるんだろう?これは私が一人で勝手に判断できる内容じゃないわよね。


「その場合は私だけで判断できないわ。でも、そうね、イスファとは一緒に居たいわ」


 出会った時はかわいい子としか思っていなかったけれど、毎日毎日会っていたらそれが当たり前になってしまう。


 そして、学園から離れるとふいにイスファがいることを当たり前だと思ってしまうんだ。つい「ねえ、イスファ」とか言ってしまってはミューズにくすくす笑われていたからな。


「僕は王の器じゃないって思っているんだけれど、貴族の中には僕を王にしたいっていう人は多いんだ」


 イスファはいい人だけれど、いい人過ぎるんだよな。なんというか、簡単に操れるとかでも思っているのかしら。もし、そんな貴族がいるのなら私が倒してやる。がるるるるる。


「元々僕が王位について、サポートをタリークが行うということを考えている人は多かったからね。その最たる人物がアルダーブ公爵なんだ」


「そうなんだ。でも、イスファが私と結婚すること、イレスティア王国に来ることは承諾したんでしょ?だから館を貸し出してくれている。これはあっている?」


 こんなに親切にしてくれているのだ。私の協力者に違いない。


「・・・この館については僕が母上であるスィーリーン王妃にお願いをしたからなんだ。それと、アルダーブ公爵だけれど、僕のことを王位につけたい人なんだ。ただ、曲がったことは嫌いな人だから、誘拐なんかするとは思えないんだよね」


 よくわからないけれど、イスファがお願いすればいう事を聞いてくれるやさしいおじいちゃんということなのかしら?


「でも、イスファには優しいおじいちゃんなんでしょ?」

「アルダーブ公爵の性格は厳格だね。スィーリーン王妃の上位互換って感じかな?」


 え?あれよりもきついのか。それって優しいおじいちゃんじゃなく、ただの気難しいおじいちゃんじゃん。


「でも、それだとなんで疑われているの?ってか、アルダーブ公爵って自領にいるんでしょ?それにそういう性格の人だったら疑われるのもよくわからないの?一体誰がそんなことを言っているの?」


 まあ、気難しい人なら敵も多いのかしら?


「ディートリンデ王妃とその周辺の貴族だよ。それに自分の息子も行方不明だからかなり怒り狂っているんだ。もう物は投げるし、暴れるし王宮はかなり大変だよ」


 イスファがかなり憔悴しているのがわかった。


「なんか、今回の行方不明事件っておかしいことだらけだよね?犯人が複数いるんじゃないかな?」


 甘ったるい感じの話し方でブルーノがそう言って来た。なんというか企んで言うと言うかいやらしい表情なんだよね。だからブルーノって信用しにくい。


「それは現場を見てきたからそう思うのですか?」


 ムネリがブルーノにそう尋ねる。ブルーノが話す度にミューズが私をちょっとだけ強く抱きしめてくる。お腹はずっとつままれているけれど。なんかストレス発散的に揉まれているのかしら?


「現場をちゃんと確認できたのはタリーク殿下の寝室だけだよ。まあ、ナジーブラの所はちらっとしか見えなかったけれどね。そうだよねヌーフさん」


 ブルーノがにやにやしながらヌーフに声をかける。


「ブルーノ様。あの行動は問題です。次回からは慎んでください」


 ヌーフが強めにそうブルーノにそう伝える。


「え~。でも、わかったこともあったじゃない。それは言わないの?言わないのならアルダーブ公爵も信用できないってことになるけれどどうなのかな?ねえ、どうなの?どうなの?」


 なんというか、私がされているわけではないけれど腹が立つ感じだ。これがわざとこういうキャラを演じているということがわかっているからこそ、ブルーノのことを信用できないんだ。


「はあ、推測で話しをするのは好ましくはないのですが、少し見えたナジーブラ殿下の寝室はどう見てもここ数日使われた痕跡はありませんでしたし、掃除や手入れが行き届いているとも思えません。数日ですが、おそらく侍女や執事も立ち入りを制限されていたのだと思われます。理由はわかりませんが」


 なんだかどんどんわからなくなってきた。けれど、ブルーノが言う今回の行方不明事件は犯人は複数いて、しかも目的が違うのかもしれない。


 まあ、こういうのは私じゃなくムネリやさっちゃんに任せるのがいい。


「さっちゃんはどう思う?」


 こういう時まずさっちゃんに確認だね。さっちゃんが言う。


「まず、情報が足りません。それと行方不明や誘拐なんかは王族の場合は自国だけが犯人とも限りません。他国の介入も考えられます。そのため情報が足りなさすぎます。それに、リーリカさんがやられていることから考えると私たちが警戒すべきはイスファン殿下についてです」


 情報が足りないけれど、大事なのはイスファだ。


「そうだね。大事なのはイスファだもの。でも、情報ってどうやったら集まるのかしら?というか、どういう情報があれば判断がくのかしら?」


 情報が足りないと言われて、理解はできるけれど、対処方法がわからない。


「そうだね。なら他国から人が来ているのなら何らかの痕跡があると思うんだ。そうだね、この王都付近で根城に出来そうな場所の情報とかあるといいんじゃないかな?そういう情報って持っているよね?よね?」


 ブルーノがそう言ってヌーフに詰め寄っている。ヌーフは目を閉じているがこめかみ付近がぴくぴくしている。怒っているのがわかる。


「まさか、そういう情報を持っていないなんてありえないよね?でも、持っていないのなら誰かが探しにいかないといけないよね。僕さぁ、ちょっとこの王都付近って興味があるから観光したいんだよね。でも、一人だとでかけることは許されていないみたいだから誰か案内役つけてよ?それが嫌なら情報ちょうだい」


 なんというか、殴りたくなってしまった。


「ブルーノ。失礼ですよ。それ以上口を開くのなら強制的に本国に戻します」

「ええ?いいの?なら帰っちゃうよ。まあ、その途中で僕も行方不明になっちゃうかもだけれど」


 ああ、逃亡する気だ。と言うか、余計に面倒事が増えそうだ。


「ヌーフ。情報の開示を認める」


 イスファがそう伝えた。ヌーフはそれでも渋っていた。多分、ブルーノに情報を渡す怖さを感じているのがわかった。


 でも、どうしてそこまで渋っているんだろう。この時はその理由がわからなかったのだ。


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