~ミルザ国王に謁見しましょう~
~ミルザ国王に謁見しましょう~
イスファからミルザ国王との謁見の日取りが決まったことを教わった。その間にあったことは、ディートリンデ王妃の拘束が解かれたことだ。
だが、かなりミューズがOHANASIをしてくれたので、ディートリンデ王妃はおとなしくなっていた。というか、ミューズを見るとぷるぷる震える様になって。
何をしたのかは教えてくれなかった。
「ええ、知らない方が幸せなこともあります」
ミューズに抱きかかえられ、おなかをぷにぷにされながらそう言われました。
まあ、おとなしくなったからいいか。
というか、ディートリンデ王妃にそこまでの余力はない。なぜかディートリンデ王妃が隠し持っていた金銀財宝は不思議と何者かに奪われたらしいんですよね。
後ろ盾となっていたウィンザー公爵もなぜかお金がないようですし。後は関係ない話しかもしれませんが、リーリカが最近お疲れみたいなんですよね。
夜な夜な色んな所に行ってもらっていたからね。ごめんね。いっぱいお願いしちゃって。
というわけで、私とイスファの周辺は落ち着いたので、ミルザ国王との謁見が決まった。
ミルザ王国は色彩がかなり独特なのだ。床に敷かれている絨毯が赤色なのはわかる。イレスティア王国も赤い絨毯を使っているからだ。
だが、壁にかかっているタペストリーが青、黄色、紫と単色ではなくカラフルで、でもデザイン性も高い感じなのだ。
そして、おそらく来賓を迎えるための服装なのだろう。この服もかなり派手なのだ。なんというか、目がちかちかする。そんな感じの色がいっぱい使われているのだ。
虹のように円弧を描いた模様の人もいれば、幾何学模様を複数の色で表現した服を着ている人もいる。
なんだこれ。王の周囲にいる人の服がちかちかする。そして、目の前のミルザ王国の国王だが、白を基調にしている服なのだが、太陽をモチーフにしているのか金色で縁どり赤がまざった円が胸に描かれている服を着ていた。後は袖や襟なども金色で縁どられている。
私はミルザ王国の臣下ではないので膝は付かない。そのまま所定の位置でまっすぐにミルザ国王を見つめる。
「お初にお目にかかります。エリザベート・フォン・イレスティアでございます」
そう伝え、少しだけ頭を下げる。深くは下げない。それが王族としての礼儀だ。ミルザ国王を見る。あんまりイスファに似ていないな。あごに髭があり、顔にも皺が多い。歳よりも老けて見えるのは気苦労が多いからなのかしら?
「うむ、我がミルザ王国、国王ラシード・ドゥ・ミルザじゃ」
あれ?それだけ?ああ、今日って顔合わせだけでしたっけ?それとも婚約発表の話しまでしていいんでしたっけ?
なんかさっちゃんが色々説明してくれたけれど、いっぱいありすぎて覚えられなかったんだよね。
内容は一つにしてほしい。複数言われても覚えられないし。思い出せ、私ならできるはず。ダメだ。思い出せない。とりあえずイスファをくださいと伝えるのがいいのかしら?
「ミルザ国王。私がこのミルザ王国に来たのは第一王子であるイスファン・ドゥ・ミルザ殿下についてです」
いきなりイスファを婿にくださいって言うのは違うよね。それくらいの常識は持っている。あれ?なんか周囲がざわつきだした。なんか私の後ろで膝をついて頭を下げているさっちゃんとミューズが焦っている。
ムネリは男性というだけで控室にいる。なんか男性の襲撃者が過去にあったとかで謁見での従者は女性限定らしいんだよね。変なの。
「それはどういったことかな?」
あ、これは事前打ち合わせじゃない内容をぶっこんだっぽい。しかもなんかミルザ国王の機嫌が悪そうだ。少し段が違う所で立っているイスファの顔が蒼白だ。
どうにか挽回しないと。
「ええ、イスファン・ドゥ・ミルザ殿下とは、聖ブブロ王国の聖エリューサ学園で一緒に学ばせていただいております。ただ、何度か私のタウンハウスにもお越しいただいておりましたので非常に懇意にさせていただいております」
笑顔でそう返した。これなら世間話に聞こえるだろう。あれ?なんか周囲がざわついている。
「ふむ、それは息子から聞いておる。なんでもイレスティア王女殿下のタウンハウスに何度も訪問するだけでなく、宿泊までみとめられておるとか?」
なんか目つきが鋭いな。何?息子を奪っただろう的な感じで腹を立てる父親ですか?子離れは大事ですよ。
「ええ、どうも色々と危険なこともあり私も怖かったので共に身を守りながら学園生活を過ごしておりました」
私が怖かったという風にすればイスファの顔も立つよね。ってか、ディートリンデ王妃の横には私がこの謁見室に来てからずっと顔面真っ青のイスファを苛めていたフェリアルが立っている。微笑み返しておこう。目力を込めて。たっぷりに。
「ひっ!」
なんかフェリアルが一歩後ろに後ずさった。
「そうか、そのことも聞いておる。我が一族の事について大変感謝しておる」
ミルザ国王がそう言ったけれど、顔は感謝をしているという感じではない。そもそもディートリンデ王妃とは政略結婚だよね?愛情はなかったはず。
ディートリンデ王妃から権力を奪ってもミルザ国王は困らないはずなのに、どうしてそんな微妙な表情なのだろう?
「いえいえ、感謝されるようなことは何もしておりません。それでお願いがあるのですが、私はたいそうイスファン・ドゥ・ミルザ殿下の事が気に入りましたの。もし恩義を感じられているのでしたらこの後にお茶会にお誘いすることをお許しください。いっぱいお話したいこともありますので」
ここ最近イスファと落ち着いて話しができていない。というか、イスファはいつだって疲れ切っているのだ。多分ミューズが悪いんだよね。色々と暴れているから。
だから、ちょっと落ち着いてお話ししたいんだよね。
「ふむ、よかろう。ただし、その場には儂と王妃二人も同席しよう。以上だ」
「は?」
いや、さっきの「は?」は承諾した時の「はっ!」じゃないからね。ってか、どっちの王妃もお茶会楽しめる雰囲気じゃないんですけれど。
ひょっとしてミルザ国王、私のこと嫌いなんですか?




