~お父様に報告しましょう~
~お父様に報告しましょう~
イレスティア王国は『魔薬』を禁制にしたのには歴史がある。そう教えてくれたのはさっちゃんだった。
え?私そんな歴史知らないんだけれど。
「そうですね。禁書庫に記録がありましたので」
ってか、なんで禁書庫に入れているの?何があったの?
「ええ、ちょっとした伝手で入らせてもらいました。私も入っております。最高でした」
ムネリがそう胸を張っている。え~と、ムネリが喜んでいるということはふとももに関する記載でもあるのかしら?
そう思っていたら禁書庫は座るところがないらしいので、ムネリが四つん這いになって椅子になっていたらしい。
あ、そういう最高ですか。間に合っています。
「それでどういう歴史なの?」
話しを聞くと一つの領で『魔薬』が蔓延したという。徐々に中毒者が増えていき、最後には領内のほとんどの人間が人ではない、化け物になり暴れたと言う。
その場所は廃墟となり今でも人は住んでいないと言う。魔薬は私たちの身体にある魔素を狂わせるというのだが、その地は魔薬がしみ込んでおり、その地に長く居ると体調が悪くなるらしい。
「へえ。そうなんだ。そんな場所イレスティア王国にあったかしら?」
まあ、そう言いながら人が立ち入ってはいけないと言う禁足地はいくつかあるのを思い出した。
「ええ、場所はいくつかあるみたいです。ただ、元々は小麦の収穫に適していた土地だったりしたため、他国からの破壊工作だという意見もあります」
そう言えば、『魔薬』をラース帝国は使っているんだよね。捕虜とか奴隷兵につかい、最後は化け物にその一帯を襲わせるという戦術があったのを思い出した。
「解ったわ。今回の事はお父様に報告して終了としましょう」
あんまりよくわからなかったけれど、そういう危険な案件お父様に丸投げしましょう。ぽいです。ぽい。それで解決でしょう。
なんて思っていました。
「まさかこういう形になるとは思いませんでしたね」
ウィンザー公爵邸から見つかった『魔薬』は押収したもので、憲兵に連絡が遅れていただけだと主張をしたのだ。
その主張が認められたのはウィンザー公爵邸やその近辺から魔薬を使った症状があったものが居なかったからだという。
ちなみに、不当に徴収したと思われる金品もウィンザー公爵邸から見つからなかったので私腹を肥やしていたわけでないと主張につながってしまった。
いや、いっぱい金品はあったんだけれど、その金品はカージェス領の発展のために使用されました。
後、余ったお金はムネリと相談した結果、あの演出大好きなインパクトの強い『ベルティック侯爵』に献上することになった。なんでも、優秀だけれど権力争いから敗れたものを雇い入れるための費用として使いたいとの申し出があったと言う。
そう言えば、革命前には優秀な人材は他国に流出していたんだよな。誰かがそういう風に影で動いていたという話しを聞いたけれど、誰だったかは覚えていないけれど、関係ないよね?
結果、ウィンザー公爵はおとがめなしとなったのだが、なぜか私は恨みを買ってしまった。いや、私がウィンザー公爵邸から金品を盗んだ証拠もないのに勝手に犯人に仕立てあげて来たし、いやね、たまたま同時期にカーティス領が発展しただけだし、歌劇的なベルティック侯爵が裏工作を何かしたかもしれないけれどそれだって噂だもの。
ただ、これまた奇跡的に同時期にウィンザー公爵の子飼いだった貴族が離反したけれど私は知らないことだ。
ウィンザー公爵の息がかかった商会ばかり盗賊に狙われたのとかも私は知らないし。誰も目撃者はいませんもの。
月夜の夜に影が動いたとかいう噂話しは流れましたけれどね。それに、奪ったといいながら私はお金を派手に使っているわけでもないですもの。
ちょっと結納代わりにイスファ達にいくばくかのお金は渡しましたよ。ディートリンデ王妃一派の中には借金があるため、仕方なく従っている人たちがいるみたいでしたから、その借金を肩代わりしたくらいです。
おかげで、ミルザ国王が王都に戻られて落ち着かれるまでの間、平和に過ごせましたもの。
平和でしたよね?
「ミューズ様が暴れるのをどうにか止めてください。大変なんですからね」
さっちゃんにそう言われた。おかしいな。ディートリンデ王妃一派にいた何名かの貴族が借金を返しに行くときにミューズに護衛させただけだよ。
ちょっと王都にある商会の本店が数か所全壊したみたいだけれど、それって立てつけが悪かっただけだものね。
うん、きっとそう。ミューズがそう言っていたもの。
「それ、私の目を見て言えますか?」
今日のさっちゃんは強い。お茶会なのに椅子はムネリを使っているのだけれど、これ大丈夫なのかしら?まあ、当人がいいのなら止めないけれど。
ようやく落ち着いたのかミルザ国王との謁見が決まりました。
戻られてから1週間か。かなり待たされたな。
謁見するとなんか歓迎モードじゃなかったんだけれどなぜ?




