~敵対者を倒しましょう~
~敵対者を倒しましょう~
ウィンザー公爵からの手紙だけれど、私に渡される前にムネリが事前にチェックをしてくれている。
手紙に毒針とかしこんでいる可能性もあるし、なんからの呪いなんかもあるかもしれないと言う。
怖い世の中だ。ってか、呪いって何?そういうのあるのかしら?
リーリカに聞いてみたが「ワカラ、ナイ」と返ってきた。まあ、知らないことを聞いてしまったのだから仕方がない。
ムネリがチェックしてくれている間、私はさっちゃんとマカロンを食べていた。椅子に座っていたはずが、いつの間にかミューズの膝の上にかかえられ、おなかをぷにぷにされていた。
いや、確かに食べ過ぎなのはわかっているけれど、少し前まで拘束されていたし、色々と我慢していたから甘いものが欲しかったのよね。
なのでついつい色とりどりのマカロンを食べてご満悦に浸っていた。なんかさっちゃんが色々と説明してくれていたけれど、マカロンがおいしすぎて生返事をしながら目の前にあったマカロンをすべて食べきってしまった。おいしかったね。
至極ご満悦だったのに、そこにやってきたムネリの表情は怒っていた。
いい内容の手紙ではないことはわかっていたけれど、これは波乱の幕開けですね。
「一応、お嬢様にも読んでいただきたく思います」
なんか爆発寸前のムネリなんて久々に見た。
「さっちゃん、癒してあげて」
「わかりました。ムネリさんこちらに」
さっちゃんは靴を脱いだ。さっちゃんの前にムネリが跪き顔を上げる。え?そこからだと下着見えない?大丈夫?そう思っていたらさっちゃんはムネリの顔を踏み出した。
私は頭を踏むことはあっても顔は踏んだことはない。ってか、下着見えているよね。それっていいの?二人ともなんかテンションあがっているからいいのか。愛の形って色々だよね。というわけで手紙を読みました。
わなわな震えた。
「ミューズ。これを読んで。それと、わかってるかと思うけれどカージェス領に至急連絡を入れること」
そう、ウィンザー公爵からの手紙はこうだった。
カージェス領の更地にされたくなかったらディートリンデ王妃一同を今すぐ解放し、謝罪金として白金貨100枚を献上しろ。
なるほど。こう来たか。というわけで、全面戦争です。というか、地面を2回蹴ってリーリカを呼びました。
「リーリカ。今すぐイレスティア王国に戻って、ウィンザー公爵を見張ってきて。そうね、とりあえずウィンザー公爵が所有している財宝を奪ってきて」
命を奪うのは簡単にできる。リーリカが影からさくっとナイフで一刺しで終了だ。だが、それだと私の怒りは収まらない。
カージェス領に手を出すと言って来たのだ。私が怒りで震えていたらムネリがこう言って来た。
「すでにカージェス領のリムバ殿にはワイバーンをつかって手紙を届けております。また、周辺の警戒、防衛に集中するようにと伝えています」
「ムネリ。ありがとう」
ムネリを見るとほっぺたをぐりぐりとさっちゃんに蹴られていた。だが、なんというかすごく幸せそうな顔をしていた。うん、変態を理解するのは辞めておこう。
そして、なぜか蹴っているほうのさっちゃんも高揚している。そういう趣味に目覚めたのかしら。戻ってきてほしい。
「この手紙は証拠ですな。では、ディートリンデ王妃一同を切り捨ててきていいですか?いいですよね?まだ捕まえていない泳がせているものたちもいます。そいつらを斬り捨ててきてもいいですよね?」
ああ、手紙を見てミューズが血塗れのミューズになっている。もう、表情が殺戮者のそれにしか見えない。
「ダメよ。まだ。後で暴れさせてあげるから」
「本当ですか?私は最近何の活躍も出来ていません。暴れたいんです。斬りつけたいんです。悪を成敗したいんです。わかりますか?わかりますよね」
どうどう。ミューズ落ち着いて。もはやそれは大量殺人者の考え方だから。でも、確かにどこかでミューズが活躍できる場を作ってあげないと爆発するかも。
ほら、ムネリは私に後頭部とか背中を踏まれて落ち着くみたいだし、さっちゃんもなんか楽しそうだものね。理解はできないけれど。
ミューズは暴れるくらいしかストレス発散がないからな。
「ねえ、さっちゃん。ディートリンデ王妃一派の主力ってどこの貴族がついているのかしら?」
私がそう質問したらミューズの目が爛々と輝きだした。
「そうですね。あやしい動きをしているのは治安維持部隊を管理しているリドワーン侯爵でしょうか。お嬢様を捕まえる時に兵を動かしていましたし」
なるほど。だから、私を簡単に捕縛できたというわけか。
「ミューズ。倒すのは最後。まずはリドワーン侯爵とその周辺の調査をお願いするわ」
「わかりました。何名か捕縛して尋問して情報を集めます」
ミューズはそう言うとすぐに飛び出して行った。あれ?なんか思っている調査と違うんだけれど大丈夫かしら?
私はムネリとさっちゃんを見つめたけれど、二人とも天を仰いでいた。
「ああ、とりあえず、イスファにも連絡を入れておいて」
数時間後。
リドワーン侯爵はよほど怖い思いをしたのかわからないけれど、自首してきたそうだ。イスファが教えてくれた。
そして、すっきりした表情のミューズが戻ってきた。
「ええ、いい情報を聞き出せました。どうやら、ディートリンデ王妃一派は王妃や王女を救出するため、国王が戻る前にこの王都を占領するつもりだったみたいです。指示を出していたのがリドワーン侯爵でその関係者をすべて捕縛してきました」
なんか、ミューズがほめて、ほめてという表情をしている。
私はミューズの頭を撫でながら王都内のタウンハウスが2棟、宿舎1棟がほぼ全壊。訓練場に集まっていた武装した兵士100名が負傷したという報告をムネリから聞いていた。
うん、ミューズには適度にストレス発散をしてもらった方がいいんだって理解した。
後始末はイスファが泣きそうになりながら駆けずりまわっていたみたい。後、無表情クール弟のタリーク君は飄々と仕事をしていたみたい。
とりあえず、落ち着いてお茶が飲みたいなと思っていたらリーリカから報告が入った。
なんか思っていた展開と違っていたんだけれどどうしましょう?これって勝手に進めたらまずいよね。
そう、財宝を抑えにいったはずのリーリカは厳重に管理されている倉庫の中から大量の『魔薬』を発見しちゃったんだよね。




