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~追放されたけれど王都に行きましょう~

~追放されたけれど王都に行きましょう~


 イレスティア国王である父に手紙を送ったら返事が来た。それは予想と違う展開だった。


 同じような内容がイスファにも届いていた。それは私とイスファの二人でミルザ王国の王都である『ミルザイン』に向かうように言われたのだ。


 後、父からは『イレスティア王国ではお前は国外追放になっておるのじゃ。他国それも第一王子と婚約したいなとそう簡単に行くわけなかろうが』と記載されていた。


 あれ?それなのに、ミルザ王国に行くことは指示なんだ。一体何があったんだろう?


 こういう時は情報を持ってそうな人に聞けばいいんだ。


「ねえ、イスファ。どうしてミルザ王国に私たちは行くことになるのかしら?何をすればいいの?」


 私がそうイスファに確認するとイスファが少し困った表情をしてこう言って来た。


「え~と、それなんだけれど、実は本国にもエリーの悪い噂が広まっていて、そんな相手と婚約なんて認めないという意見が多いんだよね。僕が王位継承権を放棄するという話しもあってかなりミルザ王国内は騒然としているんだよね。だから、実際にエリーを見てもらえば大丈夫だと思うんだよ。エリーってほら天使みたいじゃない」


 え?天使?羽生えていたかしら。つい背中を確認してしまった。あれ?なんだかミューズが残念なものを見る目で私を見ている。


 いつも太ももにしか興味がないムネリがなんだイスファの肩を叩いていた。イスファって肩凝っているのかしら?


「ねえ、イスファって肩凝っているのかしら?マッサージしようか?」


 私がそうイスファに言うと「あの踏むやつ?」と返された。ああ、確かにムネリの背中とか肩とか頭とか踏んでいたのをイスファにも見られていたからな。


「違うよ。ちゃんとマッサージもできるから」


 そう言ったけれど、ミューズに止められた。おかしい。ミューズにもマッサージしたことあるのに。


「いや、あれは常人には耐えられません。もうちょっと力加減を覚えてからにしましょう」

「そ、そうなんだ。まあ、気持ちだけ受け取っておくよ」


 イスファにもそう言われた。


「それで、ミルザ王国に行ったらパーティとかあるのかしら?ダンスは大丈夫だと思うけれど」


 ここ最近ダンスの練習はかなりいい感じになってきているが、剣の練習はイスファに断られている。最初はイスファの方が強かったけれど、最後の練習で私イスファに勝っちゃったんだよね。それ以降、イスファは剣の練習は付き合ってくれなくなった。ダンスの練習はつきあってくれるけれど。


 剣の練習の組み合わせはイスファとミューズで行い、私はムネリと行う事が増えた。さっちゃんは剣の練習は行わない。「私に剣技は不要だから」と言われた。まあ、確かにさっちゃんが戦場に立つようなことは避けたいね。


 ちなみに、私はミューズと模擬戦を10戦すると8回くらい勝てるがムネリには10回に1回勝てるかどうかだ。


 イスファはミューズと模擬戦をしても1回も勝っている所は見たことが無い。


 この悪辣女王のスペックって高いんだよね。得手不得手はいっぱいあるけれど。


「そうだね。盛大なものは行わないけれど、何人かの有力貴族が開催しているパーティには出席する必要があるかな。僕たちには味方が必要だから」


 確かに味方は多い方がいいよね。



 というわけで、ミルザ王国に向かうための準備です。


 今いる聖ブブロ王国から直接ミルザ王国には行けなくてイレスティア王国を経由しないといけないんだよね。


 そして、ミルザ王国の第一王子がイレスティア王国を通過するというのは大イベントなのよ。


 なのでイレスティア王国の王都イースレティアにも寄る必要があるんだよね。


 気が重い。王都イースレティアってあまりいい思い出がないんだよね。それに、私ってイレスティア王国内だと国外追放という事になっているんだよね。


 離宮には案内されたけれど、ここって離宮っていうだけあって王宮から離れているんだよね。要人を受け入れる場所としてもちょっと適していないというか、隔離されている感じの場所なんだよね。


 何かあったのかしら?まあ、私は誰も近づいて来ないこの離宮の方がうれしいけれど。






「エリザベート王女は欠席で、イスファン・ドゥ・ミルザだけ歓迎会に出席ください」


「それならお断りします。エリザベート・フォン・イレスティアが出席しない歓迎会に意味はありませんし、僕が出席するのならエリーをエスコートします!」


 イスファが胸を張ってそう言い切った。ものすごく男らしかった。なんだかきゅんとした。きゅん?


 なんだろう。胸が一瞬苦しくなった。病気なのかしら。おいしいものをいっぱい食べて、いっぱい寝れば治るはず。体調が悪い時はそうするのが一番だってラナさんが教えてくれたものね。


「わ、わかりました。少し調整いたします」


 なんか説明に来た人が慌てて戻っていった。なんだどこかで見た事があるような顔だったんだけれどな。


「あの人は国王陛下の筆頭執事のミカエル様です」


 ミューズが教えてくれた。ああ、そうだった。なんか人の顔とか名前ってなかなか覚えられないんだよね。


「おそらくこれからお嬢様がパーティに出られるようにするため何らかの動きがあると思います。現在お嬢様は聖ブブロ王国ではイレスティア王家を名乗ることを許されておりますが、イレスティア王国ではただの『エリザベート』となっており平民扱いです。現状ではミルザ王国の第一王子が平民をエスコートしてパーティに出席する状況なのです」


 そう言われたら、国外追放とか言われていたのを思い出した。普通にイレスティア王国に何回も戻ってきていたから気にもしていなかったのよね。


 色んなことがあったからミューズから言われて「ああ、そう言えばそんなこともありましたわね」と思ったくらいだった。


「それで、どうするのかしら?」


「まあ、妥当な所だとカージェス領の領主として返り咲くのではないでしょうか?カージェス領がここ最近発展しているのはイレスティア王国内でも知られていますし」


 そう言えば、そう言う事を指示したわ。なんか指示したことはカージェス領は発展しているし、移民を受け入れますよということをアピールしてほしいだったんだけれど、なぜか悪辣女王である私が『いいこと』をしているという話しに変わっているんだよね。


 しかも、なんか吟遊詩人がかなり美化した話しを広めているというのも聞いたんだよね。小さい事をものすごっく誇張して広められているから気持ち悪いんだよね。


 私の知らない『エリザベート・フォン・イレスティア』が存在しているんですもの。


「大丈夫ですよ。計画通りです。というか、カージェス領の領主でもあり、王族復帰まで行けるかもしれません。それだけの準備と根回しもしていますのでご安心ください」


 さっちゃんが胸を張ってそう言って来た。え?これって褒めた方がいいのかしら。なんか犬が褒めて、褒めてとしっぽを振っているような感じに見えるんだよね。


 空気読むか。私、空気読める。片言になりそうだったけど、自分に言い聞かせた。


「さっちゃん、ありがとうね」

 そう言って私はさっちゃんの頭を撫でた。なでなでした。なんかそれがダメだったらしい。

 ミューズとムネリの目が爛々と光り怖くなった。後なんか影が少しだけ左右に揺らいでる。


「わ、私も何か功績を上げればご褒美をいただけますかぁぁぁあ!!」


 ムネリが壊れた。気が付くとミューズに抱きかかえられていた。


「私はご褒美はいりません。いつだってぷにぷにさせてもらえたらそれだけで十分です」


 いや、だからおなかをぷにぷに揉まないでほしい。というか、痩せてやる。


「あ、痩せるとか無理ですからね。ちゃんと食事管理していますから。しているのはムネリですが」


「ええ、ばっちりです。そのむちっとしたふとももを維持できるよう調整しております。それに、お嬢様の好みも完璧に把握しています」


 ムネリの目が光っている。ちょっと、この状況を見てさっちゃんはなんとも思わないの?さっちゃんはなんだか諦めた目をしていた。


「こんな変態が私の未来の旦那でスミマセン。ただ、変態だけれど優秀なので諦めてください」


 さっちゃんいいの?変態さんだよ。まあ、ムネリは優秀だからなんとも言えないが。ちなみに、料理はミューズもさっちゃんもできない。家事スキルはムネリが一番高いのだ。


 裁縫だってできるし。ドレスのすそ直しとかムネリが行っているものね。



 こんな感じで平和に過ごしていたら離宮に国王でもある父がやってきた。しかも、なんか渋い顔をしているんだよね。


「ワタシモ ホメテ ホシイ」

 リーリカがそう言って来たので、後でこっそり呼び出して頭をいっぱい撫でました。

 え?ムネリですか?

 さっちゃんに対応をお願いしました。


「ひざまくらをしてあげるとおとなしくなりますの」

 いや、その胆力は私にはないわ。さっちゃん流石だ。

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