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~暗躍している人を捕まえてみましょう~

~暗躍している人を捕まえてみましょう~


 父上はスチュワートを連れて出て行った。その時にこう言われたのだ。


「まだ手引きをしているものが潜んでいるかもしれない。誰一人として外に出すな!」


 力強く言われたからよほど気にしているのがわかった。


「わかりました」


 逃がすだけじゃなく、ちゃんとスチュワートにつながる相手をあぶりださないとね。リーリカには怪しそうな相手を監視するように言っているのよね。


 リーリカは影から確認するからばれることもないし、結構便利な部下が出来てよかった。まあ、ちょっと聖水には気を付けないといけない。


 それと神殿勢力の人たちは気配でリーリカに気が付く可能性が高い。影に向かって聖水をかけてもダメージを負う可能性だってあるからね。


 相手を見て行動しなきゃだわ。



 私の周りには比較的信用できそうな人で固めている。といっても、全然顔も名前もわからなくても困っています。


 というか、スチュワートに拘束されていて、暴行を受けたのか顔や体に痣が多かったものを私の周りに置いたのよね。


 本当は回復魔法が使えたらいいのだけれど、私は光属性も持っているはずだけれど、うまく発動しなかったのよね。


 ひょっとして私の適性って『暗』属性なのかしら?本当に悪辣女王って感じだわ。


 ただ、本当に見た目が痛々しかったから『クリエイトウォーター』で冷水をちょろちょろ出したのを布にしみこませて腫れあがったほっぺたとか頭を冷やしてもらったんですよね。


 そしたらちょっと良くなったみたいでみなさん私を崇めるようになったんですよね。やめてください。


 だって、5歳児に跪く大人たちって絵図らが悪すぎなんですよ。わかります?


 精神ががりがり削られる感じなんですよ。


「皆さん。私はただの5歳児です。そして、たまたま魔法で冷水が出せただけです。だからそのような対応をしないでください」


 そう言ったけれど駄目だったけれど、私のことを守ってくれているし、怪しい人の情報もくれるので助かっている。


 その情報の中で私の誕生日を祝う会の前後で私腹を肥やしたものがいるというのだ。というか、なんでみんなそんなわかりやすい行動を取っているのだろう。あからさまなことをしていたら不審がられるとか思わないのかしら?


 そして今もそうだ。折角仕事を割り振ったのに無視しているものが2人いるのだ。それもあからさまに使われていない部屋に入って何かしているのだ。


 外への出入り口は信用できるものが封鎖しているし、離宮の外は父上が手配した兵士がぐるりと囲んでいる。


 まあ、外に出ることなんてできないのに何をしようとしているのでしょうかしら?


「あそこは倉庫として使っています。鑑定が済んでいないものを置いているためどういうものがあるのかわからないので触らないようにとスチュワート殿が言っていました」


 信仰心が厚そうな侍女がそう教えてくれた。何への信仰かは布施させてください。なんか本当に怖い人が増えました。それに報告の度に跪くのを辞めてもらえませんかね


「わかりました。そこに行ってみましょう」



 というか、そんな怪しそうな場所に何を保管しているんでしょうね?そう思っていたら男性の叫び声が響きました。向かっている先でもあるので加速したいのですが、体は5歳児。手足が短いので走っても全然おいつけそうにありません。


「お嬢様、失礼いたします」


 先ほどの侍女が私を抱えて走ってくれました。倉庫前に着くと一人の男が何か濃い紫というか黒というか変わったサークレットを身に付けて苦しんでいる。


 あれ絶対に呪いのアイテムとかだよね。叫びながら苦しみ方が普通じゃない。そして、その横に二人の男性がいる。


「おや、どうかしましたか?」


 私を見て何事もなかったように横にいた男性二人のうち一人が声をかけてきた。だが、サークレットを身に付けて苦しんでいるものが暴れ出したのだ。しかも、その横にいた男性に向かって殴りかかったのだ。


「おいおい、こっちじゃない。向こうに行け!」


 ギルティ!そのセリフで私の敵認定ですわよ。ってか、浄化魔法とか使えないし困ったな。


「誰か、誰か聖水をもってきてください!」


 私は聖水を使うのでリーリカには離れるように指示しました。もし、リーリカに聖水がかかったらとんでもないことになるからね。


 ここ最近ずっと私の近くにいた侍女のサーシャが聖水を持ってきてくれた。


 ただ、小瓶に少しだけの量だった。手に持ち私は「クリエイトウォーター」を発動させた。できるだけこの聖水に近い効果があるような水を想像した。


 苦しんでいる男性にプラス横に居た男性の上に水の塊が現れた。そのまま私は水で押し流した。


 サークレットは砂になり消えて行き、暴れていた男性はそのまま倒れた。というか、水圧で倒れたみたいだった。


「な、なんだと。あの呪物をどうやって」


 多分物量ですよね。あの大量の水圧で倒されたみたいです。どうやら全部聖水になってくれていたみたいですから。


 ってか、あの量をリーリカが受けたら絶対に消滅しちゃいますわ。


 というか、今この場所もなんだか神聖な感じが漂っているのでリーリカが来たらダメな場所ですね。


 近くにリーリカを感じませんし。


 いつの間にか倒れながら震えていた人たちを拘束してくれました。皆さん、仕事が早いです。


「お嬢様、大変です!」


 少年執事のエルリックがやってきた。あれ?おかしいなエルリックには私の代わりに執務室に待機を命じたはずなのに?心配して来ちゃったのね。


 そう言う時は「来ちゃった(ハート)」とか言うのが礼儀だって革命軍にいた先輩が教えてくれたのに。やり直してもらおうかしら。


「ここは大丈夫よ。あの拘束したものたちから尋問しなきゃだけれど」


 うん、言わなかったわよ。私だって空気読みますからね。エアーリーディングくらいできます。エルリックは大きな声でゆとりなくこう言い放ったのだ。


「この離宮の周りを囲んでいた衛兵が火を放ってきました」


 私は過去に起きた出来事を思い出した。



 悪辣女王は5歳の時、エリザベートは女神の祝福で得た魔法を暴走させ離宮に居た使用人50人を焼き殺したのだ。



 私が行わなくても歴史が修正するということなのかしら?


 そんなの私がどれだけ頑張ったって無駄ということなの?


 認めない。ってか、絶対に回避してやる。こういう離宮には絶対に隠し通路があって、どこからか逃げることができるはずだ。


 まあ、その逃げ道の先も包囲されている可能性は高いけれど。


 でも、どうして誰がこんな愚行をしでかしたのよ?絶対に黒幕がいるはず。



 ってか、よく考えたら『魔薬』と『私の毒殺』が同じとも限らないのよね。別々の黒幕とかじゃないわよね?


 そんな面倒なことじゃなく、悪人ならすべての悪を引き受けてくれたらいいのに。


「もう、終わりだ。やっぱり儲かるからといってご禁制の『魔薬』に手を出すべきじゃなかったんだ」


 取り押さえた男性がそう言いだした。


「ねえ、どうしてそう思ったのかしら?」


 私がそう男性に声をかけると「当たり前だろう。王として身近な場所で『魔薬』なんか取り扱っていたことがばれたら大問題になる。確実に証拠隠滅に走る」と言われた。


 私のあの行動が裏目に出たと言うのか。だが、魔薬については放置もできなかったし。う~ん、こっそり焼却した方がよかったのかしら?


 父上が動いたという線もあるのか。でも、娘も一緒に焼き殺すのかしら?


「誰かこの離宮にある隠し通路がどこにあるか知っている方はいますか?」


 私がそう聞いたが誰も首を横に振る。


「知っているとしたらスチュワート様くらいだ」

「あの人なら知っているだろうが、ここにいないし」


 こう言うのってマニュアルとかこの離宮の図面とかないのかしら。


「そこの皆さんはスチュワートの部屋を探してください。それと何名かは壁、床など調査を。窓側の部屋の調査は不要です。中心の部屋や私の寝室、執務室などを重点に調べてください。それと、火が周ってきています。空気が流れるように気を付けて。後はハンカチで口を押えて煙を吸わないように!後、姿勢は出来るだけ低くね」


 私がそう言うと皆さん行動を開始してくれた。縛られている男性二人にこう声をかける。


「ここでこのまま火に焼かれて死ぬか、煙に巻き込まれて死ぬか、私の元で働くかどちらか選びなさい」


 まあ、死を選ぶ人は少ないよね。


「ここから逃げ出せると思っているのか?」

「ええ、私は生き延びるわ。絶対に。こんな所で死ぬつもりはないから」


 胸を張ってそう言った。言い切った。だって、こんな所であの悪辣女王が死ぬなんて思えないですもの。


 それに、ここにいる人たちを助けたい。50人の焼死体なんてトラウマになりそうですもの。


「わかった。協力しよう」

「ここを脱出するまでだ。それ以降は私の好きにさせてくれ」


 個性なのか二人は違う対応だった。まあ、いいか。


「ならばあなた達も隠し通路を探してちょうだい。何か情報はないの?」


 そう言うと、悪態をついていた方の男性がこう言いだした。


「倉庫の地下に通路があったはずだ。ただ、どこにつながっているのかは知らない」


 倉庫か。秘密裏に荷物を動かすための通路かしら。魔薬もあるし。


「倉庫に行きましょう!」


 その先でまさか自暴自棄になったスチュワートに出会うとは思ってもみませんでしたわ。


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