~復讐しましょう~
~復讐しましょう~
「カージェス領でトラブルが発生しました」
「え?」
ミューズにそう言われたが、カージェス領はアネモネ時代よりかなり整備も進んでいるし、衛兵も多い。治安だってかなり改善されている。だって、スラムもないし、孤児は孤児院で面倒を見ている。
「どんなトラブルが起きたってのよ?」
カージェス領はアネモネが現れる所なのよ。ってか、孤児の中にそれっぽい子がいないのよね。いつ、どこからどうやって現れるのだろう。
「それが、イーキャ男爵の娘のモモハ嬢が誘拐されました」
はい?
「だって、ももちゃんはイーキャ男爵の部下が面倒を見ているのでしょ。どうして?何があったの?」
ももちゃんは私の代わりに失明し車いす生活になったと言っても過言じゃない。あの時私は理事長に呼ばれなかったら、ももちゃんの代わりに私が失明をしていたのだ。
だから、ももちゃんのこれからの人生を面倒見たいってイーキャ男爵に伝えたんだ。
それにイーキャ男爵も、ももちゃんの件で思う事があったみたいで拠点をオザーム東方連合国からイレスティア王国に移すみたいだ。
といっても、貴族としての地位もあるためそう簡単にはいかないようなので、イレスティア王国で新たに商会を立ち上げたという。
モモハ商会という娘の名前を前面に出した商会だ。私はこの商会の名前を聞いたことがないので、アネモネ時代にはなかった商会なのかもしれない。
なんて、そう思っていた。
「それで、相手は?リーリカが付いていたからわかっているんでしょ?」
どうしても聖ブブロ王国だとリーリカは活躍できない。そのため、ももちゃんにリーリカをつけたのだ。
まあ、こんなことを想定しての事ではない。ただ、目が見えないし、車いすだし絶対に生活が大変だと思ったからリーリカをつけたのだ。
「それが、犯人はわかっているのです。オザーム東方連合国のレイノルズ侯爵の配下だそうです」
誰その人?なんで気をつかうのかな?
あ、オザーム東方連合国の人だから外交問題になるかもってことか。でも、一応確認しておこう。
「そのレイノルズ侯爵の配下をさくっと倒したらまずいのかしら?」
私がミューズにそう確認するとこう言って来た。
「相手は逆恨みをしていますから。何をしでかすか。おそらく、この配下を倒したら、より強いものを送り込んでくるでしょう」
逆恨み?はて?レイノルズ侯爵って知り合いでもないのに。ああ、イーキャ男爵が個人的に恨みを買った相手なのかしら?
「ねえ、配下じゃなくそのレイノルズ侯爵を直接たたけばいいのでは?リーリカならできるでしょ」
私は地面を2回叩いてからそう言った。あれ?リーリカの気配が全然しない。あ、でも、なんか遠くでリーリカと繋がっているのがわかる。
「そこまで行いますか。まあ、モモハ嬢をあんな目に合わせた娘への仕返しですものね」
え?そうなの。それなら手加減なんかいらないじゃない。
「じゃあ、まず襲撃犯は速攻で倒して。これって証拠残さない方がいいのかな?ならば、モンスターの餌にでもして。そうね、レイノルズ侯爵についてはどうしましょう。当人とその娘の視力を奪い、歩けなくしてあげるのはどうかしら?ももちゃんが飲んだ毒と同じものを二人にも飲ませるの。くっくくく」
私がそう言うとミューズが「お嬢様。それは悪人の笑い方ですよ」と言われた。
リーリカならうまくやってくれるだろう。
無事、レイノルズ侯爵とその娘もももちゃんと似たような症状になってくれた。
うん、痛みを知れば落ち着くよね。
これで落ち着くかと思っていたのだけれど、変な思考の持ち主って伝染するのかしら?
「次は遠方から孤児を大量に送られてきました。送ってきたのはレイノルズ侯爵の血縁者だということはわかっています。やってきたのはやせ細った年端もいかない子供ばかりですが、おそらくその中子供の中に間者も紛れているのかもしれません。安全のために全員殺しますか?」
ミューズに言われて焦った。
孤児?このタイミングで?
「その子たちに罪はないでしょう。個別にわけて教育し、不審な行動をしないか確認してください。移民を殺害したなんて噂が流れるとカージェス領に移民はやって来なくなります」
それっぽい事を言ったけれど、その孤児の中に『アネモネ』がいるかもしれないのだ。簡単には殺せない。
「それに、私も一度カージェス領に向かいます。その孤児と面談します」




