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~友達を作りましょう~

~友達を作りましょう~


 今日から授業がはじまった。座学についてはばらつきがある。


 算術についてはアネモネ時代に教わっていたから問題ないし、読み書きができない貴族がいることの方がびっくりした。


 歴史や地理については知らないことばかりだった。こういうのは教わってきていなかった。そして、私がウキウキしたのは実技魔法についてだ。


 ミューズたちはどうしてかわからないけれど、私にあまり魔法を教えてくれないんだよね。それに、カージェス領にあった魔法書についても見せてもらえなかったし。


 なんか「お嬢様が新しい魔法を知ると色々と危険ですから」とミューズに言われたのだ。おかしい。エリザベートって魔力量が多いから制御は出来る方だと思うんだよね。


 それに攻撃魔法は人に向けて撃たないし、というか撃ったら大変なことになるのわかっているしね。


 だから、この実技魔法の授業にずっとテンションがあがっていたよ。



 まず、防御魔法が張られている実習場で授業をするらしい。


「今日はストーンバレットを学習してもらいます。地面にある土を素材にして、魔力を練り上げてもらいます。親指の爪くらいの大きさになったら、的にめがけて魔力を射出させてください」


 指導者は若い女性だ。メガネをかけて紫のショートヘア。教師は紺のベレー帽をかぶって青い法衣を着ている。ゆったりとした青い法衣の下は白いズボンをはいている。


 生徒のみんながうんうん言いながら魔力を込めようとしている。ってか、詠唱も教わったのだし、魔力を練ればいいのに、多くの人が魔力を無駄に霧散させている。


 とりあえず、親指の爪くらいの大きさの石つぶてを作ればいいのよね。


 的はなんかカカシに鉄の鎧を着せたやつがあるからあれか。あれを貫通させるとなるとどういう形状がいいのだろう。


 先がとがっているほうがいいのかしら?そう言えば、家屋を建築する時にらせん状のねじを使っていたな。


 あのねじみたいにらせん状にすればいいか。後は強度かな。ただ、石に魔力を纏わせるだけじゃ強度が足りないものね。カンってあたって弾き返されちゃう。


 鉄を貫くには土の中から成分を選んだ方がいいのかも。あ、砂鉄があるみたい。ならば、この砂鉄だけでまず石つぶてを作り、熱を加えて加工していく。


 大きさは親指の爪程度。らせん状に溝もできた。これならあの的を貫けるはず。


「行け!ストーンバレット!」


 らせん状の黒々とした石つぶては私の狙い通りに貫通したけれど、後ろの壁も貫通しちゃったみたい。


「先生。これでいいですか?」


 そう言うと、先生の目が点になっていた。


「イレスティアさん。今のは何ですか?何をしたんですか!」


 そして、いきなり先生が怒り出した。なんでよ。言われた通りやったじゃん。というわけで、的を貫通させるために行ったことを説明した。


「おかしい、おかしい、おかしいのよ。普通はストーンバレットといったら初級魔術でこれくらいしかできないのよ」


 そう言って先生が見本を見せてくれた。不純物いっぱいで、形も不恰好な石つぶてが的に当たると、カンって音がして跳ね返った。


「これがストーンバレットよ。初級攻撃魔術なのよ。イレスティアさん。しばらく見学していてください!」


 なんか怒られた。そして、同学年の生徒から恐怖の対象という感じで見られた。


 見学と言われても、先生のように石つぶてをちゃんと作れるものもいないし、作れても射出したらぼろぼろと崩れるものも多い。


 そんな中、一人だけ的に当てることができた子がいた。


 桃色の髪をしたハーフツインの女の子だ。そう言えば、入学式の時に寝ていた私を起こしてくれた子だよね。


 そして、でこちゃんのお友達。ということは私もお友達ってことになるのかしら?


 暇だったので、土にある成分のうち、どういう組み合わせだったら硬くなるのか実験していた。


 まあ、ストーンバレットとして飛ばさなきゃいいのかなって思っていたから、おはじきみたいなものを何個も作ってみた。


 土だけれど、色々と頑張ったら色もちょっと白っぽいものとか、透明に近いものとかも作れちゃったね。


 ボロボロ崩れるのもあれだから魔力でコーティングしておいた。うん、これならちょっとやそっとで壊れない。


 そうやって遊んでいたらなんか言い争いをしているのが見えた。


「ちょっと、下賤なあんたが私より先に成功しているなんて不遜だわ。絶交よ!」


 騒いでいたのはでこちゃんだった。そして、絶交と言われた子は桃色の髪の子だ。ハーフツインがそんなに気に入らないのかしら。


 でこちゃんにはこれからでこでこビームとか開発してもらいたいのに。



 けれど、授業後、桃色の髪の女の子はでこちゃんたちの輪から外されただけでなく、わざとぶつかったり、物を奪ったり、捨てたりをしていた。


 あ、これ小説で見たことがある。いじめだ。


 いじめ、絶対、ダメ。


 そうラナさんも言っていた。というわけで私は解決のため桃色ハーフツインちゃんのところに向かった。



「ねえ、ちょっとこの子と話しがしたいんだけれどいいかしら?」


 私が桃色ハーフツインちゃんの肩を掴みでこちゃんを見つめる。


「は、え、ちょ、どういう?こと?」

「なんでそんなにたどたどしい話し方なの?でこちゃん。私たち友達でしょ?私思ったのよ。友達の友達ってことは私の友達でもあるんじゃないかって。だからこの桃色ハーフツインちゃんとお話ししてみたいの。ちょっと借りるね」


 そう言って無理やりいじめの現場を壊してみた。ラナさんはいじめはまず、苛められている子を隔離して、ケアしてあげるのが一番だって言っていたからね。


 アネモネ時代のことだけれど、ちゃんと覚えているのよ。えらいでしょ。えっへん。



 というわけで、桃色ハーフツインちゃんの手をとって教室の外に出てみたのですが、ここどこですかって迷子になっています。


 なんか見たことない場所についた。なんか庭っぽいのだけれど、これがひょっとしたら中庭なのかしら。色とりどりの花が咲いている。何の花かは知らない。


「うん、ここどこだろう?」


 私がそう言って桃色ハーフツインちゃんを見つめる。むっちゃ脅えている。


「も、燃やさないで」

「花とか燃やしたりしないよ」


 そう言って花を見る。あ、木々にも花が咲いていてこの庭園って結構いい感じだ。


「わ、私を燃やすの?けしずみにするの?」

「しないよ。しない。私がそんな怖いように見えるの?」

「さっきの実技魔法の授業見て改めて思った。イレスティアさんって化け物なんだよ。コ怖いに決まっているじゃん!」


 まじか。凹む。地面に突っ伏してしまった。


「怖くないよ。それに私は平和主義者だし。握手しよ。はい、これで友達!」


 そう言って桃色ハーフツインちゃんと握手した。


「え?な?と、友達?いじめられる?」

「ってか、あのでこちゃんにいじめられていたじゃん。私はいじめなんてしないよ。ださいし。あ、そうそう名前なんていうの?ももちゃんでいいのかな?」


 そう言えば、友達になったけれどこの桃色ハーフツインちゃんの名前を知らないや。

 なんかももちゃんがきょどっている。理解が追いついていないって感じだ。


「な、名前はモモハ・イーキャといいます。家は男爵です」

「なんだ。ももちゃんであっているじゃん。これからよろしくね。ももちゃん」


 なんで爵位とかも言ったのかしら?


「え?私男爵令嬢なんですけど?」

「それが何か?あ、名産がないとか?別に名産なんかなくたって問題ないわよ」


 食べれる名物とかこだわらなくたっていいんだもの。飢えを経験した私からすれば胃に入ればなんだっていいんだからね。雑草とか、虫とかも食べていたもの。


「め、名産ですか?ひょっとしてイレスティアさんって変わった思考の持ち主なんですか?」

「あ、エリーって呼んで」

「・・・エリーさん」

「エリー!」


 あれ?なんかこういうやり取りに既視感がある。なんだろう。まあいいか。


「・・・エリー」

「うん、よろしくね。ももちゃん。で、ところでここどこかわかる?なんか勢いで来ちゃったけれど、どこかわからないのよね」


 ここがあれかな。お茶会をする予定の中庭なのかしら?


「ここ結界が張られていて普通入れないはずですよ」


 そんな結界とかあったかな。まあ、いいか。


「じゃあ、ばれないうちに戻らないとね。場所わかる?」


 そう、私は知らなかった。この場所に入ったことが違う問題を起こすなんて。

 とりあえず、それを知るのはもう少し先のお話し。



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