~仲良くしましょう~
~仲良くしましょう~
昨日は家までイスファンが送ってくれた。ゲストハウスは結構立派だと思っていたけれど、イスファン的には「こんな古くて狭い所でいいの?」とか呟いていてびっくりした。
古いといっても手入れはしっかりされているし、カージェス領の建屋に比べたら広い。
昔住んでいた離宮と比べたら狭いけれど、住んでいる人数も違うものね。離宮は50人もわらわら人がいたしね。
というわけで、帰ってから友達ができたと自慢していたら、ジャミラ・フォン・ブブロから庭園に来るようにとの手紙が届いた。
庭園ってどこだろう?戦うのかしら?
攻撃魔法は制御が難しいから使うとしたらやっぱり上から硬いパンをぶつけるしかないのかな。
なんて思っていたらミューズもムネリも慌ただしく動き出した。
まず、ムネリが速攻で出かけたかと思うと奴隷を二人購入してきた。女性だった。
ムネリのあのよくわからないテンションが分散するならいいかと思ったのだが、ムネリは新しく来た奴隷の侍女二人には普通に接していた。
そこから礼儀作法をずっと繰り返し教えられた。ってか、庭園に呼ばれるって戦いじゃなくてお茶会なの?
ただ、お茶飲むだけなのに、ルールがいっぱいあることを知った。
座る位置、食べるもの、飲み方、食べ方。お土産。ちょっとわけわからないんだけれど。
詰め込み教育を受け続けた。このエリザベートのスペックは高いのでなんでもすぐに覚えてくれる。それだけは非常に助かっているのだ。
助けっているけれど、横になったら耳から覚えてことが抜けて行きそうだ。
付き人となってくれるような貴族の知り合いはいないので一人で行くことなる。お土産を四角い薄いピンクのリボンが付いた白を基調とした手持ちのカバンの中にいれる。
勉強道具は白いショルダーバックに入れる。
「お嬢様。もめごとは増やさないでくださいね」
「う~ん、私はもめたくないんだけれどね」
変なのに付きまとわられるんだよね。
「お、お嬢様!ミルザ王国の第一王子がお迎えに来られています!」
昨日から侍女になった女性の二人のうち娘のラピスがそう教えてくれた。
もう一人の侍女のリズは黙って私の髪を整えてくれていた。なんか見た事ないクリームを髪につけてくれるのだけれと艶っつやになったのよね。
まあ、立て巻ロールはしなくていいわと言った。だって立て巻ロールって悪人っぽくない?そう思うの私だけかしら?
だって、アネモネの時に見た悪辣女王が立て巻ロールだったからね。
あ、今日会う聖ブブロ王国、王女のジャミラも立て巻ロールだったわ。あれもひょっとしたら悪人なのかしら?
「じゃ、行ってきますね」
そう言って私はイスファンが城門前に着けている馬車に乗り込んだ。
「おはよう、エリー!」
なんでこんなにイスファンはかわいらしい顔をしているのだろう。美男子だ。半ズボンから見える太ももがすべすべだ。うん、ちょっとだけムネリの気持ちがわかった。
「おはようございます。イスファ」
「敬語禁止。エリー。今日も一緒に帰ろうね」
気が付いたら向かいに座っていたはずのイスファンが横に移動していた。いつのまに?
そして、距離も詰めてくる。うん、なんかフローラルないい匂い。甘酸っぱく、でもちょっとどこか強めの匂いがする。
「あ、今日はちょっと、お茶会?的な何かに聖ブブロ王国、王女のジャミラ様に呼ばれているんだよね。中庭ってどこにあるのかわからないけれど、放課後そこに来るようにって。だから、うちの従者たちがお土産を用意してくれたんだ」
そう言って白い四角のカバンを見せる。
「ふ~ん、そのお茶会僕も参加するね。王族同士なんだから仲良くしたいものね」
あれ?なんだかイスファンの顔が一瞬怖く見えた。なんというか、口が三日月のような感じで笑ったんだよね。
不穏だ。
学園に着くと色んな噂が広まっていた。
イレスティア王女は聖ブブロ王女にケンカを売った。
イレスティア王女はオザーム東方連合国にもケンカを売った。
イレスティア王女はミルザ王国の王子を誑かしている。
噂は大きくわけて3つだ。
うん、事実無根だ。
「ひどい噂も多いね。それに僕って誑かされているって思われているだ。どうして・・・意識もされていないのに」
イスファンが小声で何かつぶやいていたけれど、うまく聞き取れなかった。
「イスファ。安心して。噂なんて嘘ばっかりなんだから。じゃあ、私は教室に行くね」
「あ、エリー。そこは違う教室だよ。エリーの教室はこっち」
似た見た目が悪いのだ。
教室に入ると、一瞬私を見たかと思うと、目線を外され皆さっていった。それまで色んな声がしていたはずなのに、いきなり小声で何かを話しているのだ。小さすぎて何を言っているのか聞き取れない。
あ、教室の隅っこででこちゃんが私の事をちらちら見ている。そうだよね。でこちゃんも私としてもないケンカをしたって噂流されて困っているよね。
ここはちゃんとケンカしていないアピールをしなきゃ。
というわけで、私は自席から立ち上がってでこちゃんの方に向かって歩いて行った。
「え?ちょっと、待って。誰か、盾になりなさいよ!」
なんだかでこちゃんが騒いでいる。そんなに騒いだら周りが誤解するでしょ。
「どうしたのでこちゃん。そんなに脅えて。私たちって仲良しだよね?」
身のこなしはミューズから教わった。この3年でかなり運歩がうまくなったんだよね。ちょっとの隙間を縫うように進むことができる。人にぶつからずスムーズに。なんかでこちゃんの周りに人がいたけれど間が空いていたからするっと避けてみた。
でこちゃんの肩を叩く。
「ねえ、お互い変な噂が流れて困っちゃうよね。私たち仲良しだってアピールしないと国際問題になっちゃうし。よろしくね。でこちゃん」
精一杯の笑顔ででこちゃんに笑いかけた。
「そ、そうよね。うん、そうそう。仲良くよね。あ、当たり前だよね」
そう言ってでこちゃんと握手することができた。
仲良くできたのに、なんだか私がでこちゃんを恫喝したとか、恐喝したとかいう噂が流れてしまった。
う~ん、解せぬ。




