~一緒に帰りましょう~
~一緒に帰りましょう~
「ちょっと。赤髪のあなた。さっきはよくもやってくれたわね!」
なんかよくわからない女どもに絡まれた。
「誰ですか?知らない人ですね」
冷たく言い放ってしまった。だって、入学式も終わり、自己紹介タイムもおわり、なんか色々教師が言って来たけれど、周囲からの視線が痛いから早く帰って癒されたいと思っていたら絡まれたのだ。
しかも見覚えのないし。
「硬いパンを頭にぶつけたじゃない」
う~ん、今日だけで2回ぶつけたからな。どっちだろう?
「ちょ、ちょっとまだわからないって言うの。こいつバカじゃないの!」
「ちょっと、アイリ。この赤髪って噂になっているイレスティアの赤い悪魔じゃないの。ヤバいって」
また、その呼び名だ。赤い悪魔ってひどいな。こんな美少女を捕まえて。まあ、エリザベートはちょっと釣り目だし、きりっとした美人だったからね。
「何言っているのよ。こんな残念なヤツが赤い悪魔なわけないでしょ。赤い悪魔って残虐で、人を人と思わない人間のクズなんでしょ」
そんな風に噂が広まっているの?違うからね。
「それに、あれでしょ。この中央学園で絶対に敵にしちゃいけない聖ブブロ王国の王女のジャミラ様を敵にまわす向う見ずなバカでしょ?」
いや、あれは誤解なんですよ。敵対するつもりなんてないですからね。
「こいつが赤い悪魔だったら私たちは多分燃やされているわ。だから違う。こいつは赤い悪魔に似ているからってだけで強気になっているだけよ。それに私たちはどうしてもミルザ王国と接点を持たないといけないのよ!こんな奴が私たちの王子様と仲良くするなんてありえないわ!」
ん?どういうことだ。ってか、この子たちって何者なんだろう?
「え~と、ちなみにあたなはどちらさまなのかしら?何者なの?」
私がそう言うとずっと憤慨していたものを見た。ってか、今まで興味がなかったらあまりちゃんと見て来なかったけれど、ずっと怒っているのは緑の髪の女性。おでこ全開のおでこちゃんだ。でこちゃんととりあえず名付けよう。
目つきも悪く人相も悪い。あ、それは私に向かってずっと怒鳴っているからか。その横に3人も取り巻きがいる。あ、一人は桃色のハーフツインの子だ。この子だけは少し後ろに立っていて申し訳ない表情をしている。
「な、なんなの。まさか私を知らないとでもいうのかしら?」
「ええ、知らないはでこちゃん。あ、おでこ全開だからでこちゃんね。で、でこちゃんは有名なおでこなの?」
私がそう言うと取り巻きの人たちが噴き出しちゃった。みんな思っていたんだよね。
「わ、私はデコール・フォン・オザームよ。オザーム東方連合国の盟主の娘よ」
「なんだ。名前もあってるじゃん。じゃあ、でこちゃんね。んで、でこちゃんは何?おでこが光るのが悩みなの?」
そう言うと取り巻き立ちは大爆笑した。まあ、このでこちゃん。ぴかって感じでおでこ光っているものね。
でも、なんでこうイレスティア王国の周辺国の王族は皆この中央学園にいるのかしら?
王族はこの中央学園に入学するっているルールでもあるのかしら?
そう言えば、革命軍の装備だった槍と丸盾はオザーム東方連合国から提供されたってきいたことがあるな。
革命には参加しなかったけれど。ってか、やばいじゃん。こんな所でヘイト勝ったらダメじゃん。
でも、なんかイレスティア王国の王女ってばれてないから問題ないか。それに、まだ出会ったばっかりだもの。誤解が解ければなんとかなる。
私って人付き合い上手な方だし。
リーリカと、ミューズとか、リムバとか。まあ、友達というか皆部下だけれど似たようなものだよね。
「あ、エリー。そんなところにいたんだね」
よく通る声で呼ばれた。その声はイスファン王子の声だ。
「あら?イスファン様。どうかされたのですか?」
「いや、またエリーが迷子になっているのかと思って迎えに来たんだよ。そこの子たちはお友達なのかな?」
イスファンが笑顔ででこちゃんたちを見ている。
「いえ、知らない子たちですね」
別に紹介するほどの中じゃないし。それにでこちゃん以外は名前もわからないしね。それに私なかなか人の名前と顔って覚えられないのよね。
「そうなんだ。じゃあ、帰ろうか。また迷子になられたら困るし。それと、僕の事だけれど、イスファって呼んでね」
なんだこの笑顔。天使か?
「わかりました。イスファ様」
「イスファ」
そう言ってイスファンが顔を近づけていた。
「身分が違いますよ」
「学園内では身分は関係ないよ。それにエリーだって王女じゃない」
イスファンがそう言ったらでこちゃんたちはびっくりしていた。
「ちょっとあんた。まさかだと思うけれど本当に『赤い悪魔』なの?」
でこちゃんが絡んできた。
「エリー。やっぱりこの子たちは友達なんじゃないの?ちゃんと自己紹介した方がいいと思うよ」
「教室でしましたわよ。あ、でも、『エリザベートと申します。宜しくお願いいたします』とだけ名乗ったわ。家名を言うとざわつきそうだったから」
わざとだけれどね。だって、悪名高いんですもの。どうにか誤魔化したいじゃない。
だからえこちゃんたちに向かってにっこり笑いかけてあげた。やさしく。
なのに、私の笑顔をみてでこちゃんたちは叫びながら走り去っていった。
失礼な。
「なんだっただろうね。帰ろうか」
「そうですね」
私とイスファンは一緒に帰った。
迷子になるといけないからと言ってイスファンが私の手を掴んだんだよね。いや、どこかにいきなり走り出したりなんかしないから。
まあ、学園から門の外に出るまでに屋台とかあったから食べたいってなったけれど。
串焼きとコーン茶を一緒に食べたけれどね。
だって、いい匂いだったんだもの。美味しかった。
「なんかこの学園があるここって大きな街みたいですね」
「エリー。何も知らないんだね。ここは街を再現するために色んな建物があるんだ。今後一緒に探検する?」
「うん、したい!」
楽しかったからついそう言ってしまった。あれ?おかしいな。
私はこのイスファンとは距離を開けようと思っていたんだけれど、いつの間にかイスファンが距離を詰めて来るんだよね。
「じゃあ、今度の休みに一緒に出掛けよう。迎えに行くから宿泊場所を教えてね」
「うん、わかった」
ということで、今度の休日に一緒に出掛けることになった。これから私が宿泊している場所まで送ってくれると言う。
紳士だ。この笑顔が眩しすぎる。こんな純粋な笑顔を前にしたら距離をあけようとなんてできないじゃない。
でも、私はそこでひらめいたんだよね。そもそも、私が誘拐しなければいいだけなんだし。今回はちゃんと自分が注意していればいいだけだものね。
このまま平和だといいな。なんて思っていました。
翌日。
赤い悪魔は聖ブブロ王国だけでなく、オザーム東方連合国にもケンカを売ったという噂が広まった。あのでこちゃん。勝手に変な噂流したな。ゆるすまじ。
そう思っていたら、手紙を渡された。呼び出した。相手は金髪立て巻ロールのジャミラ・フォン・ブブロだった。手紙の内容は「放課後、中庭にある庭園に来ること」とあった。
え?中庭ってどこなんだろう。ってか、庭園なんてあるんだ。でも、そう書いているってことはすぐに見つかる所なんだよね。私はそう信じていたんだ。




