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~王と面談しましょう~

~王と面談しましょう~


 王都にたどり着きました。


 メンバーは私、ミューズの二人だ。馬車は王都から手配をされており、御者だけでなく護衛として無口な兵士が2名つけられた。


「監視ですね」


 ミューズがそう言ってくれた。カージェス領はリムバとラナさんに任せている。この二人が居ればカージェス領の運営は問題ないだろう。それに今のカージェス領は猫ちゃんズの受け入れでお祭り状態になっているしね。猫ちゃんズのうち一人はジェムスと付き合いそうだけれど、残りの9人は争奪戦になっているそうだ。


 いまだに私には見分けがつかない。


「全然違いますよ。ぷにっと感とか」


 ミューズがそう言っていたが聞き流すことにした。どうしてこんな残念女子になってしまったのだろう。



 王都への移動は何事も起きなかった。モンスターも盗賊も出くわさなかった。平和が一番だ。



 そして、王都につくと、懐かしい王城の一角に押しやられた。ただ、前と違うのはミューズも同じように閉じ込められていることだ。


「どうやら、私が裏切ったと思われているみたいですね」


 まあ、確かに国王への報告内容については便宜を図ってもらっていたからね。まさか、監視が他にも居たのかしら?そうだとしたらミューズに悪い事をしたと思ったが、ミューズが近くにいてくれて安心できた。


 武器は当たり前だけれど取り上げられているけれどね。まあ、武器なら影に潜んでいるリーリカ経由で取り返せるからいいか。


「リーリカは出しちゃダメですよ。それでなくてもダークエルフと接点がるというだけで邪神の信者と思われているのですからね」


 邪神の信者って何だ?


「そんなことも知らないのですか。邪神を信仰していると思われたらそれだけで火あぶりの刑ですね」


 まじか。ってか、私って暗魔法つかえるし本当にヤバいんじゃないの?でも、邪神なんて信仰していないし、そもそも神自体もあまり信じていないんだよね。


 神の奇跡とか言われても知らないし。


「取り合えず、神を信仰していると絶対に言ってくださいね。祈りの方法は教えますから」


 そこからしばらく神への祈りをずっとさせられ続けた。ずっと正座していたから足がしびれた。



 謁見の間ではなく、会議室のような場所に通された。


 そこには父と知らないおっさんが二人横に居た。誰だあのおっさんたち。


 一人はなんかくすんだ赤い髪をしているから遠い血縁者のような感じだ。体は細いけれど、筋肉が付いている感じ。なんというか触ると切れるような感じの怖い雰囲気のものだ。


 もう一人は青い法衣を着ているが、かなり太っている。態度もデカい。国王である父よりも偉そうだ。なんだこいつ。髭を撫でながらこちらを見ている。


「ふむ、これが邪神の遣いと接触したという少女かね」


 でぶっちょの法衣を着たオッサンが私を舐めまわすように見つめる。視線が気持ち悪い。全身がぞぞぞってなったわよ。


「キューブ枢機卿。彼女はまだ堕ちていないかと」


 はい?落ちる?どこから?椅子に座っているじゃない。この視線がいやで椅子からずり落ちるとでも思っていたのかしら。


 ってか、キューブって名前なの。四角って感じじゃなく球体って感じの体形なのに。面白いわね。


「エリーよ。今の状況がわかっているのか?」


 父上にそう言われた。あ、しまった。ついにやっと笑ってしまったのだ。


「ええ、わかっておりますわよ。私が罪と汚名を被ればよいのですよね」


 悪辣女王のエピソードは変わらなかった。ならば、その汚名を被るのは決定しているのだからおとなしく受け入れるしかない。


「・・・エリーよ。言っている意味が解っているのか?」


「ええ、それが神からの試練であれば」


 この返答はミューズが教えてくれた。何を言われてもこの言葉で乗り切れる魔法の言葉だと。

 そう言った所、まるまる太ったキューブ枢機卿と、細マッチョなおっさんが目を見開いた。


「噂とは違うようですな」

「ふむ、ここまで信仰心が厚いとは思っておらなんだ。だが、言葉だけかもしれぬ」


 何を言っているのだろう?よくわからないけれど魔法の言葉で返しておこう。


「ええ、それが神からの試練であればすべて受け入れます」


 私はそう言い切った。まさかあんな結果になるなんて思っていなかった。



 神の試練って何か知らなかったのよね。


 針の試練、火の試練、水の試練というのがあるらしいの。言われた時びっくしたんだからね。ってか、でぶっちょ枢機卿がそう言った時、ミューズもびっくりしていた。

 まあ、言ってしまったものは仕方ありませんわ。試練をうけようじゃないですか。


 というわけで針の試練です。


 針山の上を素足で歩くと言う意味不明なのが針の試練。そんなの足の裏が傷だらけになるでしょうが。


 そう思っていました。リーリカがこっそり防御してくれたので歩けました。


「奇跡だ!」

「何かいかさまをしたに違いない!」


 丸いのにキューブとかいう詐欺っぽい名前の枢機卿が騒いでいた。まあ、ズルしてますけれど、ばれなきゃいいんですよ。ばれなきゃ。


 次は火の試練。


 これはゆで上がった釜の中に1分つかるというものだった。


 クリエイトウォーターで熱湯を適温に変更したのだ。まあ、釜はずっと火の上にあるので魔力消費量が大変なことになった。


「耐えているぞ。すごい。奇跡だ」

「何かいかさまをしたに違いない!」


 いや、そろそろ丸キューブよ。諦めてくれないかな。ってか、この人殺意高すぎでしょ。

 最後の水の試練は重りをつけて水の中に漬けられるのだ。


 これもクリエイトウォーターを駆使して、顔の周りに薄い空気の膜を作ったのだ。


「奇跡の行使だ!聖女に違いない!」

「何かいかさまをしたに違いない!」


 とりあえず、丸々キューブが言い出した試練はクリアした。


 ただ、カージェス領の一角の村を焼き払った事は私がしたこととなり、広く国民に周知された。


 そして、私はイレスティア王国から追い出されるような形で、聖ブブロ王国内にある中央学園に入学することになった。


 中央学園は各国から学生を受け入れているが、教育が厳しいのでも有名だ。


 この中央学園で入学することはある意味の国外追放でもあると告知された。


 ただ、父であり国王からこう言われた。


「流石に不憫なので、お前の身分を王女に戻しておく。学園では、エリザベート・フォン・イレスティアと名乗ることを許す。ただし、このイレスティア王国内では違う。イレスティア王国内ではお前はただの『エリザベート』だ。それを忘れるな!」


「はい、ご配慮ありがとうございます。父上」


 私はそう言って頭を下げた。


 やっぱり、悪辣エピソードは変わらなかった。民にも広くひどい王女だと知れ渡っている。被害にあったものもいる。救えなかったものもたくさんいる。


 けれど、助けられたものだっているし、私を慕っている人もいる。本当のことを知っている人もいるのだ。だから私はまだ『なんとかなる』と思っていたのだった。


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