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~集団お見合いを開始しましょう~

~集団お見合いを開始しましょう~


 まず、わかったこと。


 猫人族の10人は名前がない。というか、私にはこの10人の見分けがつかないんだよね。そう言ったらジェムスから「何言っているんだ?あの子だけ別格に可愛いだろう?」と言われた。


 うん、わからない。ただ、ジェムスが猫ちゃんにご執心なのがわかった。


「とりあえず、ここから移動しますわよ。ここはどうしましょうか?」


 見渡すがほとんど燃え尽きた集落だ。家屋、田畑から備蓄していた食糧まで『厄災のシュラ』に焼き尽くされている。


 残っているのは建物の基礎となっていた石垣と一つだけ残されていた家屋だ。


「あの家屋は?」

「私たちの住居です」


 猫ちゃんの一人がそう教えてくれた。見分けがつかない。困った。残されていた家屋にあった布でリボンを作って首につけてもらった。


 もちろん、色や模様を変えてもらった。赤、白、黄色、青、緑を基本として、単色と水玉にしてもらった。うん、これでちょっと見分けがついた。


「私たちはこの集落でも異端とされていたにゃ。だから、名前はなかったにゃ」


 赤いリボンの猫ちゃんがそう言って来た。


「ここはどうするのにゃ?私たちはここにいい思いはないにゃ」


 白リボンの猫ちゃんがそう言って来た。すでに家屋が一つ以外は燃え尽き灰になっている。いや、黒い塊もあるけれど、あまり触れたくない。


「お嬢様。このままだとゴブリンなどのすみかになってしまう可能性があります」


 ミューズにそう言われた。はいはい、わかりましたよ。すべて焼き尽くせばいいんでしょ。悪辣女王のエピソードのようにね。はぁ。


 私は超特大のファイアーボールで集落を焼き払ったら大きなクレーターだけが残った。やりすぎたかしら?


 イージェ村に帰ってきたら猫ちゃんズのテンションは上がるし、独身の男どものテンションも上がっていた。


 でも、猫ちゃんズと結婚して生まれる子供って人寄りなのか、猫よりなのかどっちなんだろう?


「とりあえず、今回の事は流石に国王に報告しないといけません。早馬を出しましたので数週間後に王都から呼び出しが入るかと思います」


 ミューズが最悪なことを言って来た。


「そうですね、ダークエルフ絡みですからね。いい結果にはならないでしょうね」


 リムバがまるでこの門をくぐる者は一切の希望を捨てよとでも言いたいように絶望を私に押しつけてきた。


 いや、そういう門があるってラナさんが昔教えてくれたんだよね。どこにある門なのか知らないけれど、多分イージェ村に入る門がそうだったに違いない。


「だが、生きて帰って来られた。あの時は生きた心地がしませんでしたな」

「そうだ、そうだ」

「お嬢様のおかげだ」

「お嬢様に乾杯!」

「生きていることに乾杯!」


 あの時四つん這いになっていた衛兵が私を褒めちぎってくれた。あれは偶然なんだけれど、褒められるのっていいものだよね。


 流石にお酒は飲めないけれど、私はその盛り上がっている雰囲気を眺めていた。



 気が付くと、何名かの兵士が猫ちゃんズに声をかけ、仲良くなっていた。種族の差なんて関係ないんだなって思った。


 特にジェムスが張り切っていた。どうやら、お気に入りは青の水玉の子らしい。相変わらず見分けがつかない。


 集落に向かった衛兵たちはなぜか見向きもされず、イージェ村の守護をしている者たちがもてていた。


 吊り橋効果的にくっつくのかと思ったけれど、そうじゃなかったみたい。後は集落にむかった犯罪奴隷たちも見向きもされていなかった。


「本能的にわかるんじゃないですか?」


 ミューズがそう話してくれた。ミューズも黙っていればクール系美女だが、誰もミューズを口説こうとするものはいない。


 そんな命知らずはこのイージェ村にはいないからね。あの戦っている時の猟奇的な笑みを知っていれば大抵の男性は腰が引けるだろうし、眼力で何かを察する。


 本能的にわかるんだろうな。納得した。


「で、なんでミューズは私を抱きかかえているんですか?」


 そして、おなかをぷにぷにしている。


「護衛ですから」

「え?」

「護衛ですから」


 いや、聞こえなかったわけじゃないよ。護衛だからって抱きかかえてお腹をぷにぷにするのがわからないし、そもそも、ここイージェ村の中だから安全ですよね?


「ほう、面白そうな宴ではないか。混ざるぞ」


 振り返るとダークエルフの『厄災のシュラ』が居た。ってか、シュラの登場で場の空気が固まった。


 みんながひれ伏したのだ。


「よいよい、そうだ。お前。おいしい食事とうまい酒を持ってこい」


 そう命令されたのはリムバだった。リムバはラナさんと付き合っているから猫ちゃんズを口説く必要ないから私の側にいたんだよね。ご愁傷様。


 ぎこちなくリムバは動き、料理と酒を持って戻ってきた。


「うむ、これだと楽しめぬか。仕方ないな。場所を変えるぞ」


 私の首根っこを掴んで厄災のシュラはジャンプした。


 領主館の屋根に登る。そう言えば、前にもここに登ったことがあったな。


「ちゃんと繁殖に向けて動いておるな。褒美をやろう。欲しいものはあるか?」


 シュラは屋根に腰掛け酒をのみ、肉料理を喰らいながらそう言って来た。

 欲しいもの。平穏だが、それは得られないみたいだ。


「ふむ、ないのか。ならこれをやろう」


 そう言って首にシュラが首に掛けていた木の細工が施されたネックレスを渡された。


「これは?」

「それをつけていれば1回だけ即死攻撃を受けても死なずに済む。それだけのものだ。無くすなよ。他人に取られるなよ。もし、奪われたらわかっているな」

「は、はい!」


 殺されるやつだ。絶対になくさない。


「奪ったものとその関係者を皆殺しにしてやる。まあ、ちょっと加減を間違えて周辺一体を更地にするかもしれんがな」


 もっと物騒だった。巻き添えになって私も更地の仲間入りするやつなんじゃないのかしら。


「まあ、しばらくここを離れる。まあ、お前なら大丈夫だろう。また会おう。面白い女よ」


 そう言ってシュラは消えた。ネックレスは肌身離さず身に付けておこう。無くしたらヤバいし、奪われたら、相手もろもと殺されてしまう。


 そう考えていたら影が動いた。


「リーリカどうしたの?」

「クロイミミ、コワイ」


 怖かったよね。私だって怖かったよ。リーリカは優秀で出来ることは多いけれど苦手なものも多い。


 まあ、あの厄災のシュラが苦手でない人はいないと思うけれどね。


 しばらくすると、ミューズたちがやってきた。


「お嬢様!大丈夫でしたか?」


 ミューズはそう言って私を抱きしめ、おなかをぷにってきた。何の確認をしている。そして、「よし」とか言わないで欲しい。



 1週間後。予定通り私は王都への召喚命令が下った。

 行きたくないな。



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